生成AIの企業活用が移行期にある現状が明らかになりました。株式会社帝国データバンクは、2026年3月に実施した調査で、活用実態や効果、リスク認識を把握しています。活用企業は34.5%で、効果実感は86.7%に達する一方、情報の正確性やノウハウ不足、活用範囲の定義など運用面の課題が浮き彫りとなりました。主な活用領域は文章作成や要約、校正で、情報収集やアイデア出しが続きます。悪影響やトラブルは多くの企業で発生していない一方、使いこなし格差の拡大が課題として顕在化しています。調査は全国2万3,349社を対象に、1万312社が回答しました。
生成AIの活用率と規模別の傾向

業務で活用している企業は34.5%で、「非常に活用している」4.4%と「やや活用している」30.2%の合計です。「あまり活用していない」13.6%、「ほとんど活用していない」23.3%が続き、低活用層は約4割にのぼります。「いまは活用していないが、今後の活用を検討している」は14.2%で、活用余地も確認されました。「活用を禁止している」は0.4%にとどまっています。企業規模が大きいほど活用は進み、大企業46.5%、中小企業32.4%、小規模企業28.0%でした。従業員数別では1,000人超63.6%、301~1000人51.9%、5人以下29.6%と、体制の差が表れています。業界別ではサービス47.8%が最も高く、金融38.6%、不動産34.9%が続き、建設26.4%、運輸・倉庫27.5%は相対的に低水準でした。
活用の中心は文章作成と情報収集 専門業務への広がりも

活用企業3,560社の主な用途は、文章の作成・要約・校正が45.1%で最多でした。次いで情報収集21.8%、企画立案時のアイデア出し11.0%が続きます。データ集計・分析7.4%、コード生成などのプログラミング支援5.9%は限定的でした。大企業では文章作成等が47.8%と高く、小規模企業では情報収集25.2%が全体平均を上回りました。サービス業ではプログラミング支援が13.3%と突出し、専門業務への展開がみられます。企業からは契約書の確認、議事録作成、プレゼン資料やメール返信、ウェブ構築など具体的な利用も挙がり、複合的な活用が進んでいます。活用の是非より使い方への関心が高まっていることが企業の声からもうかがえます。
効果実感は86.7% 悪影響は限定的だが格差拡大を懸念


活用企業の効果実感は「大いに効果が出ている」25.2%と「やや効果が出ている」61.5%の合計で86.7%でした。「どちらともいえない」は10.3%、「効果が出ていない」は合計で約1%です。小規模企業では「大いに効果」29.7%が大企業20.8%を上回り、少人数体制での効率化が寄与している可能性があります。悪影響やトラブルは「ない」が67.7%で最多でしたが、出力誤りによる損害1.3%、機密や個人情報の流出0.7%といった事案も報告されています。注目されるのは、AIを使いこなせる社員とそうでない社員の間で能力や成果の格差が拡大したが18.8%に上った点です。大企業では23.6%とさらに高く、人材育成や検証負担への懸念も示されています。
主要課題は情報の正確性と運用設計 体制強化が鍵

懸念や課題として最も多かったのは情報の正確性50.4%で、専門人材やノウハウ不足41.3%、活用すべき業務の範囲40.0%、情報漏洩のリスク33.5%、トラブル時の責任所在などのルール整備25.5%が続きました。大企業はノウハウ不足や情報漏洩リスクへの意識が相対的に高く、小規模企業はシステム導入の資金不足が課題となっています。企業からは、誤情報によるトラブルや、確認と検証の手間増への指摘もみられます。活用が広がるほど、ツール選定よりも利用目的の明確化や確認手順、社内ルールの整備が成果を左右すると認識されています。調査期間は2026年3月17日から31日で、全国2万3,349社が対象、有効回答は1万312社、回答率は44.2%でした。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















