企業の人手不足感が続くなか、全国2万3,083社を対象にした雇用過不足の最新動向では、正社員不足が50.6%となり、高水準で推移しました。4月としては4年連続で半数超となり、前年同月からはわずかに低下したものの状況は大きく変わっていません。非正社員は28.3%で、前年同月から低下し4月としては4年ぶりに3割を下回りました。調査は2026年4月16日から30日に実施され、有効回答は1万538社で回答率は45.7%でした。企業からはコスト上昇や人件費の高騰が続くなか、人材の確保難が受注や運営に与える影響が各所で表面化しているとの声が寄せられています。現役世代の高齢化や引退が進む構造要因も、需給の逼迫を長期化させる要素とされています。
正社員不足は情報サービスが最も深刻、運輸・倉庫も上昇

正社員の不足割合は業種別で「情報サービス」が66.7%と最も高く、AIやDXに関する案件増でスキル要件に合致する人材の確保が難しい状況が続いています。ソフト受託開発の現場では、生成AIで単純作業は減った一方、設計や安定運用を担う人材需要が増えているとの指摘が見られました。人員確保の単価上昇や、社員のリスキリングを含む体制整備が課題となっています。次いで「運輸・倉庫」は65.9%となり、上位5業種で唯一前年を上回りました。中東情勢の影響や燃料高、人件費の上昇が重なり、価格転嫁が追いつかないとの声があります。さらに「メンテナンス・警備・検査」や「建設」なども6割超となり、慢性的な人手不足が続いています。建設分野では高齢化が進み、若手の参入不足が受注の制約要因となっています。
非正社員は旅館・ホテルが改善傾向、人材派遣・紹介のみ6割

非正社員の不足は「人材派遣・紹介」が60.0%で唯一の6割台となり、正社員でも56.6%と高水準です。一方で「飲食店」は59.1%と3年連続で改善が続き、「旅館・ホテル」は38.5%まで低下し、2022年2月以来の3割台となりました。背景にはDXやスポットワーク普及による生産性向上、物価高や中国人観光客の減少に伴う来客数の落ち着きが挙げられています。非正社員でも「メンテナンス・警備・検査」や「飲食料品小売」が上位にあり、現場運営に不可欠な職種での確保難が続いています。非正社員の不足割合が全体として下がる中でも、特定業種では依然として求人確保の難易度が高い状態といえます。雇用の改善傾向がみられる分野と、逼迫が続く分野の二極化が進んでいます。
人手不足倒産の増加と構造的課題、今後の注視点
人手不足に起因する倒産は2025年度に441件となり、3年連続で過去最多を更新しました。年度ベースで初めて400件を超え、建設業が112件で25.4%を占めました。道路貨物運送業や老人福祉事業など労働集約型産業でも過去最多を更新しており、供給体制の維持が難しくなっています。現場からは、高齢職人や技術者の補充が急務である一方、人口構造や育成体制の制約が障壁となっているとの声があります。若手の参入が限られ、仕事量があっても受注できないという指摘も寄せられました。こうした状況から、正社員の人手不足割合は今後も高水準で推移すると見込まれます。人件費や資材費の上昇が続く中で、価格転嫁や業務効率化の取り組みが一段と求められる局面が続きます。
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