行政手続きの複雑さ、および自治体ホームページにおける「チャットボットが役に立たない」という課題に対し、青森県庁は生成AIを活用した新たなアプローチで劇的な成果を上げました。株式会社ecbeingは、同県が導入したAIエージェント型チャットボット「AIデジタルスタッフ」が、窓口業務の効率化と職員の負担軽減を同時に実現していることを発表しました。
「満足度20%」からの大逆転。シナリオ不要でホームページを自動学習する高精度AI
青森県庁では行政改革およびDX推進の一環として令和5年頃からシナリオ型のチャットボットを導入していましたが、回答精度の低さからユーザーの満足度が約20%に留まるというシステム的な限界に直面していました。
- データ作成の工数をゼロ化:従来発生していた「ホームページの更新」と「AI用のシナリオ(Q&A)作成」という二重管理の運用が解消されました。他部署への調整コストや担当者の精神的負担が大幅に軽減され、「ホームページさえ最新化すれば良い」というシンプルな運用フローが確立されています。
- 曖昧な質問にも柔軟に対応:AIがホームページ内の情報を自動で読み込んで回答を生成するため、除雪や熊の出没情報、観光など地域特有の質問に対しても、ユーザーのニュアンスを汲み取った的確な自動応答が可能になりました。また、ざっくりとした質問でも適切な情報を提案してくれるため、職員が他部署の情報を探す「庁内検索ツール」としても機能しています。
コストは月額22万円から5万円へ。自治体に優しい「定着の定額制」
予算管理が極めて厳格な地方自治体において、このシステム移行は財政面でも絶大なインパクトをもたらしました。
- 運用コストを7割強削減:2025年度の実績において、従来の月額約22万円かかっていた運用コストが月額5万円となり、7割強のコスト削減に成功しています。
- 定額使い放題による安心運用:他社のAIサービスに見られるような従量課金が発生しない完全定額制のため、アクセス集中を気にすることなく24時間365日の窓口を維持できます。結果として、月間の利用件数は従来の約1,600件から約3,700件へと倍以上に増加しました。
PR事業への「見えない誘導」と、災害時のリアルタイム情報発信
単なる受け答えの窓口に留まらず、県の重点施策を後押しするマーケティングツール、そして防災インフラとしての側面も備えています。
- 国スポ・障スポへの自然な導線:2026年開催の「青の煌めきあおもり国スポ・障スポ」に関し、多くの利用者が抱く質問をあらかじめ「質問例文」としてチャット画面に配置し、県の重点事業へスムーズに案内する導線として機能させています。
- 突発的な災害への機動力:地震などの災害時においても、ウェブサイトに情報を掲載するだけでAIが即座に回答へ反映できる機動力を実現しています。将来的には、マニュアルやPDFなどのオフラインデータを読み込ませる「オフラインデータ連携」の活用も視野に入れています。
見解として、手動でのQ&A更新という従来の運用負担を、既存ウェブサイトの自動学習によって完全にゼロ化した点が極めて画期的です。さらに自治体が予算を組みやすい完全定額制を採用したことで、費用を気にせず住民へ高精度な体験を解放できており、これからの地方自治体におけるAI運用の標準モデルとなるでしょう。
詳しくは「株式会社ecbeing」の公式発表まで。 レポート/DXマガジン編集部





















