「自社のDXは競合より進んでいる」。そう考える企業が多い一方で、テクノロジーへの投資が期待した成果に十分つながっていない――。企業のDXをめぐる理想と現実のギャップが浮き彫りになりました。PwC Japanグループが2026年8月6日に公開した「オペレーションのデジタルトレンド調査2026」によると、米国企業のオペレーションおよびサプライチェーン担当リーダー767名のうち、85%が自社のデジタルトランスフォーメーションは多くの競合他社を上回っていると回答しました。
その一方で、89%はテクノロジー投資によって期待どおりの成果を完全には得られていないと回答しています。
85%が「競合よりDXが進んでいる」、成果とのギャップも
企業はAIをはじめ、さまざまなデジタル技術への投資を進めています。しかし、新しい技術を導入するだけで、期待した成果が得られるとは限りません。今回の調査では、テクノロジー投資が期待された成果を十分にもたらさなかった理由として、最も多く挙げられたのが「統合の複雑さ」でした。これにデータの問題、ユーザーへの定着に関する課題が続きました。
新しいシステムやAIを導入しても、既存のシステムやデータなどとうまく連携できなければ、その価値を十分に引き出せない可能性があります。PwCは、デジタル投資から価値を引き出すには、個々のツールを導入するだけではなく、システム、プラットフォーム、データを連携させることが重要だと指摘しています。
AIを全事業部門に完全に組み込めているのは27%
AIへの期待も高まっています。調査では83%が、AIエージェントと自動化によって、従来の機能別に分断された「サイロ」の解体が加速すると回答しました。しかし、AI戦略を全事業部門にわたって完全に組み込んでいる企業は27%にとどまっています。
さらに、オペレーションにおけるエンドツーエンドの全プロセスをAIエージェントに任せることに抵抗がないとした割合も37%でした。AIによって組織や仕事が変わることへの期待は大きい一方で、企業全体の業務にAIを組み込み、実際のプロセスを任せる段階まで進んでいる企業はまだ限られていることが分かります。
87%が「データ品質」による影響を経験
AIやデジタル技術を生かすためには、その土台となるデータも重要です。調査では87%が、データ品質の低さによって、デジタル施策から価値を生み出すための進捗が妨げられてきたと回答しました。一方、過去2~3年間でデータの品質と信頼性が「大幅に改善した」と回答した企業は30%でした。興味深いのは、73%が「価値を生み出すためにデータは完璧である必要はない」と考えていることです。PwCは、完璧なデータ環境が整うまで待つのではなく、現在利用できるデータを活用しながら、継続的にデータ品質を改善していくことを提言しています。
4つの条件をすべて満たした先進企業はわずか4%
では、デジタル投資で成果を上げる企業には、どのような特徴があるのでしょうか。PwCは今回の調査から、4つの重要な条件をすべて満たした企業を先進企業群として分析しています。その条件は、AIを事業全体に完全に組み込んでいること、自律型エージェントの拡大に重大な障壁がないこと、協働的で水平的な運営体制を構築していること、そしてテクノロジー投資が期待された成果を完全に上げていることです。これら4つの条件をすべて満たした企業は、調査対象のわずか4%でした。
さらに、この先進企業群の87%はデジタル機能をエンドツーエンドで統合しており、83%は最近のデジタル投資について、オペレーション面と財務面の両方の効果を測定しています。
「何を導入したか」だけではDXの成果につながらない
今回の調査から見えてくるのは、DXを進めるうえで、新しいAIやシステムを導入するだけでは十分ではないということです。自社のDXが競合より進んでいると考える回答者が85%に達する一方、89%はテクノロジー投資による期待どおりの成果を完全には得られていません。AIを業務に組み込み、システムやデータをつなぎ、組織の壁を越えて仕事の進め方を変える。そして、投資によってどのような成果が生まれたのかを測定する。企業のDXは「どんな技術を導入したか」だけではなく、「技術を使って会社全体をどう変え、成果につなげたか」が問われる段階に入っているといえそうです。
詳しくは「PwC Japanグループ」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















