生成AIの拡大で注目が高まる中、AI関連上場企業の収益実態に関する定量データが示されました。一般社団法人日本AI導入支援協会は、自団体が運営するAI CATALOG掲載企業のうち国内上場を確認した60社の直近通期決算を横断集計し、公表しました。前期と比較可能な54社では42社が増収かつ営業黒字となり、比率は77.8%でした。増収企業は90.7%に達し、増収率の中央値は16.5%でした。営業黒字は60社中50社で83.3%となり、営業利益率10%以上は45.0%という結果です。成長と利益の両立が多数派であることがデータで可視化されました。
調査の位置づけと方法 増収率は中央値で16.5% 利益率の分布にも厚み
調査は、2026年6月30日時点でAI CATALOG掲載かつ国内取引所に上場する60社を対象に、有価証券報告書や決算短信などの一次資料を基に横断集計しています。集計対象の決算期末は2025年6月から2026年4月の範囲で、増収率は前期と会計上比較可能な54社のみで算出しています。結果として、増収は54社中49社で90.7%、増収率の中央値は16.5%、四分位範囲は7.5%から26.5%でした。二桁増収は35社、20%以上の増収は23社とされ、直近期の成長の広がりが示されています。営業黒字は60社中50社で83.3%、営業利益率の中央値は9.1%で、黒字50社に限ると10.6%でした。営業利益率10%以上の企業は27社で45.0%、20%以上も11社で18.3%と公表されています。数値はいずれも一次情報に基づき算出され、比率は小数第一位まで表示されています。
高成長と高収益の両立企業が12社 個社名や市場区分別の傾向も明確化
増収率20%以上と営業利益率10%以上の条件を同時に満たす企業は12社あり、前期比較可能54社の22.2%でした。該当例としてPKSHA Technology、サイバーセキュリティクラウド、アイドマ・ホールディングスが挙げられています。営業利益率20%以上の企業は11社で、ユーザーローカルが43.0%、pluszeroが33.4%、フツパーが31.6%とされています。増収と営業黒字を同時に達成した42社に限定した増収率ランキングでは、フツパーがプラス108.4%で首位、Sapeetがプラス56.9%、JDSCがプラス40.1%でした。市場区分別では、対象60社のうちグロースが46社で76.7%を占め、プライムが8社、スタンダードが6社でした。増収率の中央値はグロースが21.5%、プライムが13.3%、スタンダードが6.5%とされ、新興市場ほど成長率が高い傾向が示されています。一方で営業黒字率はプライムが100%、スタンダードが83.3%、グロースが80.4%でした。
対象範囲と留意点 業績は全社連結ベース AI単独の成長を示すものではない
本集計はAI専業に限定せず、AI関連事業やサービスを展開する上場企業を含んでいます。対象60社の売上高規模は中央値が約45.3億円で、100億円以上が16社、50億から100億円が12社、10億から50億円が29社、10億円未満が3社です。最大の1社が60社の売上合計の87.9%を占めるため、平均値や合計値ではなく中央値と分布での提示が採用されています。代表理事の藤岡充輝氏は、対象企業の多くで増収と営業黒字の両立が確認できた一方、本調査の数値は各社の全事業を含むものであり、AI事業単独の成長性を示すものではないと述べています。協会は今後も公開情報の整理を継続し、AI関連市場を客観的に把握できる情報基盤の整備を進めるとしています。調査は2026年7月13日に集計され、対象企業の一覧は社名を省略形で開示されています。
何が分かったのか 成長と収益の同時達成が主流 赤字成長は少数派に
今回の横断集計では、赤字を伴う先行投資型の成長イメージと対照的に、増収かつ営業黒字が多数派である実態が示されました。比較可能54社のうち、増収だが営業赤字は7社で13.0%、減収だが営業黒字は3社で5.6%、減収かつ営業赤字は2社で3.7%でした。営業赤字は合計で10社となりましたが、前期比較可能な9社のうち7社は増収でした。利益率の分布にも厚みがあり、10%以上が45.0%、20%以上も18.3%と、一定の収益水準を確保する企業が広がっています。市場区分別では、グロース市場の成長率が突出しつつ、黒字率ではプライムが最も高いという構図が見られました。対象の業種構成は情報・通信業が46社で76.7%を占める点も明示され、AI関連銘柄の裾野と偏りが併記されています。一次資料に基づく横断集計であることから、企業ごとの個別要因を超えた全体の傾向を把握できるのが特徴です。
詳しくは「一般社団法人日本AI導入支援協会」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















