今治市と㈱SUNABACOの協力により、「AI人材育成講座」が開催されました。この講座では、AIやプログラミングに関する専門知識がない状態からでも、実践的なスキルを身につけることができるカリキュラムが組まれており、受講生は、造船、繊維、医療、農業といった多様な業種から集まり、それぞれ業界のニーズに応じたAI活用のアイデアを創出しました。
10月19日に行われた卒業制作発表会では、受講生たちの熱心なプレゼンテーションが行われ、その中から特に素晴らしい提案と評価されたのは、「パイプ部品AI予測システム」という造船部品の発注に関するものでした。大手造船会社の㈱新来島どっくの社員を中心としたこのチームは、AIを利用して部品の必要数を予測するアプリケーションを開発しました。これまで依存していた従業員の勘や経験による方法から脱却し、なぜ必要だった部品が過剰に発注されていたのか、データに基づいた理由を明らかにしました。このシステムの導入により、わずか2種類の部品で約1,000万円のコスト削減が実現できる見込みとされています。この成果は、造船業界の生産工程を大幅に効率化する可能性を秘めており、AI技術がどれほど業務改善に寄与できるかを証明する成功モデルと言えるでしょう。AI人材育成講座は、単なる講座の枠を超え、受講生たちが互いに学び合い、知識や経験をシェアする場でもありました。具体的な課題に対し、AIの技術をどのように活用するかを考えて実践する環境が整えられ、各企業の参加者は非常に意欲的でした。
今治市役所はこの取り組みを全国の地方創生モデルとして展開し、地方企業が直面する現実的な問題を解決していくことを目指しています。今後も今治市は地域のDX推進に向け、AI人材の育成を進めていく方針です。これにより、地域産業の競争力を高め、持続可能なまちづくりを実現していくための基盤が整いつつあります。この人材育成プロジェクトが成功を収めれば、他の地域にとっても貴重な参考となり、全国的に地方創生が加速することが期待されます。
レポート/DXマガジン編集部海道