調査・リサーチ

    2022.08.16

    コロナ禍で対人機会は減少したが「仕事に関する学び」時間は増加/リクルートマネジメントソリューションズ調べ

    リクルートマネジメントソリューションズは2022年8月5日、「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」を2022年2月に実施した結果を発表しました。調査は、新型コロナウイルスの発生以降、テレワークの頻度が週または月の半分以上に増えた会社員832人に対し行われました。

     新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、仕事や学習のリモート化は大きく進みました。リクルートマネジメントソリューションズでは今回、「リモート下の会社員の学びに関する実態」を調査しました。

     調査の対象は、コロナ禍前と比較して、勤務形態が「出社ワーク中心」から「テレワーク中心」へと変化した会社員です。以下の2項目について検証が行われました。

    1. テレワーク中心になったことで、「仕事に関する学びの満足度」「仕事に関する新しい学びの有無」はどのように変化したか
    2. 「学習資源」としての「仕事に関する学びに使える時間」「対人ネットワーク」「学習機会」はどのように変化したか

     調査概要は、以下の図の通りです。
    図1:「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」の概要

    図1:「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」の概要

    ※調査実施は株式会社マクロミルに委託
    ※この調査では「学び」について、知識やスキルの習得だけでなく、職場での経験や対人関係からの学びなども含め、広く捉えて質問をしています。


     主な調査結果とその分析結果として、以下が挙げられています。

    ●「仕事に関する学びの満足度」は、変わらないか高くなった人が多数派
    ●過去1年で「仕事に関する新しい学びを得た割合」を2019年調査と比較
    ●仕事に関する学びに使える時間は約半数が増加、対人ネットワークは約半数が減少
    ●学びの機会は「上司・職場」「会社」に多い
    ●リモート下での学びの機会は増加の傾向。特に社外の学習機会が増加
    ●「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」は、減少した人より増加した人が多い
    ●仕事に関する学びに使える時間や学習機会の増加は、学びを促進している


     以下に、それぞれの調査および分析結果の詳細を説明します。

    ●「仕事に関する学びの満足度」は、変わらないか高くなった人が多数派
     まず「過去1年の仕事に関する学び」について、コロナ禍前と比べ満足度がどのように変化したかを聞きました。その結果、以下のような回答割合になりました。

    ・最も多いのは「あまり変わらない」で42.4%
    ・「高くなった」「どちらかといえば高くなった」の計は43.4%
    ・「低くなった」「どちらかといえば低くなった」の計は14.3%
    図2:「図表1 仕事に関する学びの満足度の変化(単一回...

    図2:「図表1 仕事に関する学びの満足度の変化(単一回答/n=832/%)」

    ●過去1年で「仕事に関する新しい学びを得た割合」を2019年調査と比較
     次に「過去1年で、仕事に関する新しい学びがあったか」についてたずねました。

     同社では、コロナ禍前の2019年にも、今回と同様の以下調査を実施しています。
    ・リクルートマネジメントソリューションズ(2019)「職場での個人の学びに関する実態調査」

     「過去1年で、仕事に関する新しい学びがあったか」の質問項目に関し、2つの調査を比較した結果も発表されています。なお、2019年調査は、今回の調査の対象に揃えて同社が集計し直したものです。

    ・「現在携わっている仕事に直結する学び」が「あった」「どちらかといえばあった」
     〇2019年調査:62.5%
     〇2022年調査:64.5%

    ・「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」が「あった」「どちらかといえばあった」
     〇2019年調査:43.8%
     〇2022年調査:54.9%

     2019年調査では、テレワークを行っている程度によって条件付けをしていません。したがって単純に比較はできないものの、結果は以下のように考察されました。

    ・2022年調査で「テレワーク中心」の働き方をしている人が、過去1年で仕事に関する新しい学びを得た割合は、「中長期的にキャリアに役立つ学び」を中心に、以前の調査に比べてやや増加傾向にある。
    図3:「図表2 過去1年の新しい学びの有無(単一回答/...

    図3:「図表2 過去1年の新しい学びの有無(単一回答/n=832/%)」

    ●仕事に関する学びに使える時間は約半数が増加、対人ネットワークは約半数が減少
     また、「過去1年での仕事に関する学び」について、以下の項目で変化があったかをたずねました。

    ・「仕事に関する学びに使える時間」(増えたか/減ったか)
    ・「社内の対人ネットワーク」(増えたか/減ったか)
    ・「社外の対人ネットワーク」(増えたか/減ったか)

     結果は以下のようになりました。

    ・いずれも「あまり変わらない」が最も多い。
    ・「仕事に関する学びに使える時間」については、「減った」「どちらかといえば減った」が極めて少なく(5.4%)、「増えた」「どちらかといえば増えた」が約半数(48.5%)に迫った。
    ・「対人ネットワーク(社内)(社外)」は共に、「増えた」「どちらかといえば増えた」が少なく(15%前後)、「減った」「どちらかといえば減った」が多かった(45%前後)。
    図4:「図表3 学びの資源(仕事に関する学びに使える時...

    図4:「図表3 学びの資源(仕事に関する学びに使える時間・対人ネットワーク)の変化(単一回答/n=832/%)」

    ●学びの機会は「上司・職場」「会社」に多い
     調査ではまた、「社外」「会社」「上司・職場」それぞれにおける学習機会(10項目)について、「過去1年において経験したかどうか」を聞きました。回答が多かったのは、以下の項目です。

    ・「上司と部下の間の1on1ミーティング」:41.5%
    ・「社員対象の研修」:35.3%
    ・「上司や同僚からの業務支援やフィードバック」:30.8%

     いずれも、3~4割の人が経験していました。一方、社外の機会である以下の項目は、経験した人が少なかったと見られ、回答が少なかったとのことです。

    ・「社外の社会人向けの専門教育プログラム」:7.6%
    ・「副業、ボランティアなど社外活動」:10.9%
    図5:「図表4 学びの資源(学習機会)の実態(複数回答...

    図5:「図表4 学びの資源(学習機会)の実態(複数回答/n=832/%)」

    ●リモート下での学びの機会は増加の傾向。特に社外の学習機会が増加
     さらに、先の質問での学習機会10項目それぞれについて、変化(増えた/減った)をたずねました。

    ・「増えた」「どちらかといえば増えた」の計が特に多かったのは「副業、ボランティアなどの社外活動(70.3%)」「社外の社会人向けの専門教育プログラム(69.8%)」「社外のセミナーや勉強会(59.6%)」と、社外の学習機会だった。
    ・反対に学習機会について、「増えた」「どちらかといえば増えた」の計が少なかったのは「上司や同僚の仕事ぶりを見て学ぶ機会(30.8%)」「上司や同僚からの業務支援やフィードバック(33.6%)」と、職場での学習機会だった。
    図6:「図表5 学びの資源(学習機会)の変化(単一回答...

    図6:「図表5 学びの資源(学習機会)の変化(単一回答/%)」

     また、自由記述で以下のような回答があったとのことです。
    「社外の学習機会」具体的な内容や増えた背景について
    ・「通勤など仕事のための時間が減り、自由に使える時間が増えたため、通信制大学に入学し卒業を目指して学習中(20代開発)」
    ・「在宅勤務で日中の時間調整がしやすくなったため、2カ月に1回程度、組織改革についてのセミナーに参加(50代企画事務)」
    ・「オンライン開催で参加しやすくなり、月に一度程度、社外のビジネスセミナーに参加している(30代営業)」
    「職場での学習機会」具体的な内容や増えた背景について
    ・「電話で1対1で話す機会が増え、周りを気にすることなく話せる。業務に関することや仕事の仕方についてフィードバックをもらうことが増えた(30代開発)」
    ・「上司の管理職研修などがオンラインに切り替わり現場へ関わる時間が増えたため、上司の営業同行が増えた(20代営業)」
    ●「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」は、減少した人より増加した人が多い
     同社では、「学びの資源(学習機会)」についての図表4と図表5の結果を、マトリクス化して分析しました。以下の各軸での分析です。

    ・横軸:「経験度」(過去1年に経験した割合)
    ・縦軸:機会の「増加度」(機会が「増えた」+「どちらかといえば増えた」の割合)

     結果は、以下のようになりました。
    図7:「図表6 学びの資源(学習機会)の経験度と増加度...

    図7:「図表6 学びの資源(学習機会)の経験度と増加度(単一回答/n=832/%)」

    結果 項目 同社の分析
    経験度も増加度も高い 「上司と部下の間の1on1ミーティング(経験度41.5%、増加度51.9%)」
    「社外のセミナーや勉強会(経験度27.0%、増加度59.6%)」
    ⇒リモート化に後押しされて増加し、最も経験しやすい学びの機会であるといえる
    ​経験度は低いが増加度が高い 「副業、ボランティアなど社外活動(経験度10.9%、増加度70.3%)」
    「社外の社会人向けの専門教育プログラム(経験度7.6%、増加度69.8%)」
    「社内の情報共有システムの利用(経験度23.7%、増加度56.3%)」
    「社内の自主的な勉強会や実践グループ(経験度18.8%、増加度49.2%)」
    「社員全体会議など会社のビジョンや方針の共有(経験度20.7%、増加度49.4%)」
    経験度は高いが、増加度が低い 「社員対象の研修(経験度35.3%、増加度36.4%)」
    「上司や同僚から業務支援やフィードバック(経験度30.8%、増加度33.6%)」
    経験度も増加度も低い 「上司や同僚の仕事ぶりをみて学ぶ機会」(「減った」「どちらかといえば減った」という回答が他に比べて多かった) ⇒リモート化で減少した学びの機会といえる
    ●仕事に関する学びに使える時間や学習機会の増加は、学びを促進している
     同社ではさらに、図表2「過去1年の新しい学びの有無」でたずねた、以下のそれぞれの学びについても深く掘り下げました。

    ・「現在携わっている仕事に直結する学び」
    ・「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」

     それぞれの学びに対して、「仕事に関する学びに使える時間の増加」および「学習機会の増加」がどの程度、影響を与えたかを分析しました。2つの結果変数それぞれに対して、重回帰分析を行った分析結果を示したものが、以下の図です。
    図8:「図表7 学習資源の変化と学びの程度(重回帰分析...

    図8:「図表7 学習資源の変化と学びの程度(重回帰分析/n=832)」

    結果
    ・「仕事に関する学びに使える時間の増加」「学習機会の増加」は、いずれの学びに対しても、有意な関係が見られた。
    ・「社外の対人ネットワークの増加」は「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」に対してのみ、やや有意の関係が見られた。
    結果分析
    ・「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」は、減少した人より増加した人が大幅に多いことが示された
    ・「対人ネットワーク(社内)(社外)」は増加した人より減少した人が大幅に多いことが示された
    同社の考察
    ・「仕事に関する学びに使える時間」「学習機会」の増加は、「対人ネットワーク(社内)(社外)」の減少よりも、学びの程度に対して強い影響を与えた。結果的に、リモート下での学びを維持・促進したと推測される。
    ・「中長期的に自分のキャリア形成に役立つ学び」に対する「社外の対人ネットワーク」の減少が与える影響は、今後懸念されるところである。しかし、リモート化以外の要因である外出や会食の規制が緩和されることで、状況が変わってくると思われる。
    関連リンク
    株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

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