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ドコモgaccoなど3者、VR空間で作品を作る企業オンライン研修の実証実験

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ドコモgaccoは2022年8月25日、立命館大学およびAVR Japanと3者共同で、VR(仮想現実)空間における企業オンライン研修の実証実験を行った結果を発表しました。研修は、VR空間内で3Dモデルを使用した作品を作るというもので、2022年3月に2回に分けて開催されました。各回の実施後に行ったアンケート調査の結果も併せて公表しています。

 今回の実証実験は、NASA(米国航空宇宙局)の安全対策チームでも採用されている「ブロック」を使ったチームビルディングトレーニングを題材にしたものです。  アンケート結果では、研修参加への積極性にポジティブな影響があることや、VR空間においてブロックを使用することの効果が分かりました。  実証実験結果のサマリーとして、以下が挙げられています。 ●VRの活用で、従来の対面研修より運用コストを抑えてチームビルディング研修の実施が可能に
●VR空間ならではの物理的に制約のない表現が生まれ、各受講者がより自由に自身の内面を表現できるように
●VRによってオンラインでのチームビルディング研修を効果的に実施できる
図1:VR空間における企業オンライン研修の実証実験イメ...

図1:VR空間における企業オンライン研修の実証実験イメージ画像/ドコモgacco提供

 実施された実証実験の概要は、以下の通りです。
目的 VRを活用した企業研修の提供に向けた検証を行い、新たなサービス創出を目指す
研修名 「VR空間で開催!ブロックを使って考えを可視化・共有するチームビルディングトレーニング」
研修内容 VR空間において、ブロックを使って自身の考えを可視化・共有し、チームのビジョンのすり合わせや、メンバー間の思い違いをなくすために必要な能力を養成するためのトレーニングを実施
講師 湊 宣明 立命館大学大学院 テクノロジー・マネジメント研究科教授
開催日時および参加人数 1回目 2022年3月11日:13名
2回目 2022年3月23日:9名
場所 任意の場所から各自のPCで参加
所要時間 各回180分
 実証実験の参加者の年代およびVRツール利用経験の有無は、以下の図の通りです。
図2:実証実験の参加者の年代およびVRツール利用経験の...

図2:実証実験の参加者の年代およびVRツール利用経験の有無//ドコモgacco提供

 実証実験とその後のアンケート調査から、以下のような結果が導き出されました。 ●VRの活用で、従来の対面研修より運用コストを抑えてチームビルディング研修の実施が可能に
 ・VRを用いた研修は、対面研修と比較すると「スペースの確保」「ブロックの手配や管理」が不要
 ・離れた場所から多くの参加者が参加できることも強み
 ・拠点や研修対象者が多く、対面研修の運用コストが懸念される場合に有効な代替手段となりうる ●VR空間ならではの物理的に制約のない表現が生まれ、各受講者がより自由に自身の内面を表現できるように
 ・VR空間で物理的制約なく作品を制作できる
 ・そのため、対面研修での実施時よりも表現の幅が広がった
 ・また、鑑賞者も自由な視点で他者の作品を確認できる
 ・そのため、多様な観点から意見を交換することができた ●VRによってオンラインでのチームビルディング研修を効果的に実施できる
 ・アンケートの回答では、ブロック(3Dモデル)は自分の内面や世界観など、抽象的な内容を表現するのに適しているという意見も多かった
 ・したがって、相互理解や創造力の育成の用途において強みがあると考えられる
 ・また、アンケートの回答では研修後、他者への関わり方への意識の変化があったことも挙げられた
 ・それにより、チームビルディングやマネジメントに効果発揮が期待できる
 ・イラストなど他の表現と比べてブロックのみのシンプルな表現である
 ・そのため限られた時間でさまざまな参加者が実施する企業研修において有用であると考えられる  参加者アンケートでは、従来の対面研修やオンライン研修と比較して、どのような違いを感じたかが調査されました。以下の5つの観点から質問がなされました(回答者数:計17名)。 1. 研修への積極性
2. 3Dモデルでの表現のしやすさ
3. 研修内容が企業研修に適していたか
4. 研修内容がVR空間に適していたか
5. 今後もVR空間での研修を受講したいか


 以下に、それぞれのアンケート結果を紹介します。 1. 研修への積極性
 研修への積極性についての質問では、ポジティブな回答が約8割を占めました。
図3:VR研修実証実験「研修への積極性」/ドコモgac...

図3:VR研修実証実験「研修への積極性」/ドコモgacco提供

 具体的には以下のような回答があったとのことです。
・自身の操作が多く、かつ作業が他者からも見えることで積極的に取り組む姿勢を持てた  「作業空間の共有」「自身の操作で移動する」という、他のオンラインツールにはないVRの特徴が効果的だったと考察されました。 2. 3Dモデルでの表現のしやすさ
 3Dモデルでの表現のしやすさについて、以下の質問が実施されました。 ・3Dモデル(ブロック)は、ほかの手段(絵や文章、スライド資料など)と比べて自身の考えを伝えやすかったですか?
・3Dモデル(ブロック)は、ほかの手段(絵や文章、スライド資料など)と比べてほかのメンバーの考えを理解しやすかったですか?  その結果、「伝えやすさ」では約6割、「理解しやすさ」では約7割がポジティブな回答をしていたとのことです。また、以下のような意見が多く見られました。 ・「言葉やスライド以上に説得力が増して届いた」
・「感覚的な部分を理解しやすかった」  3Dモデルの表現が抽象的・感覚的な表現に適しているという意見が多く見られたことから、相互理解や創造力の育成の用途において他ツールより強みがあることがうかがえました。 3. 研修内容が企業研修に適していたか
 研修受講で、「業務への取り組み方や意識に変化があったか」をたずねた結果では、約6割がポジティブな回答をしていました。 また、「今回の研修を他のチームや企業におすすめしたいと思うか」の質問に対しては、ポジティブな回答が約7割を占めました。
図4:VR研修実証実験「研修内容が企業研修に適していた...

図4:VR研修実証実験「研修内容が企業研修に適していたか」/ドコモgacco提供

 具体的には、以下のような声が寄せられたとのことです。 ・「他者への関わり方への意識の変化があった」
・「オンラインで共同の作業をする際などに有効だと感じた」  こうした好意の声により、チームビルディングやマネジメントに効果を発揮することが期待されるとしています。一方で、機能や通信面での不安の声もあったとのことです。サービス化にあたり、環境整備のコスト以上の導入効果があることを理解してもらうことが重要になると考察されました。 4. 研修内容がVR空間に適していたか
 また、「研修内容がVR空間に適していたか」との質問に対しては、全員が「適していた」と回答しました。一方、現実世界と比べての「作業の自由度」については、ポジティブな回答とネガティブな回答が拮抗する結果となりました。
図5:VR研修実証実験「研修内容がVR空間に適していた...

図5:VR研修実証実験「研修内容がVR空間に適していたか」/ドコモgacco提供

 VR空間に適しているとのコメントでは、「VRを使用することでより細かいところまで作成できる」点や「場所の制約がない」点がポジティブな意見として挙がっていました。また「作業の自由度」についてネガティブな回答は、ほとんどが操作性の問題を指摘していたとのことです。操作性の改善が不可欠であると分かりました。 5. 今後もVR空間での研修を受講したいか
 最後に、「今後も今回のようなVRを活用した研修を受講したいか」をたずねました。結果は、約9割が受講したいと回答しました。VRという新しい技術に触れるきっかけとなることにポジティブな意見が寄せられたとのことです。  実証実験結果のまとめとして、以下が挙げられています。 ・VR空間での3Dモデルを用いた研修は、物理的な制約なしに作品を制作できる
・そのため、対面研修での実施時よりも、表現の幅がより広がり、運用コストの大幅な減少メリットもある
・企業研修として効果が高いものであることが確認できた
・一方で、VR空間の安定性や操作性など技術的面の向上やVRで研修を行うことの効果の明確化など、VR研修を普及させるうえで解決すべき課題も見えてきた  今回の結果を受けて、今後は、VR空間で研修をすることの強みを活かした研修内容を具体化させていく必要があるとしています。 関連リンク
株式会社ドコモgacco
立命館大学
AVR Japan株式会社
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