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共通キーワードは「2025年」。DXとSDGsの関係がより深まる社会に

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日本オムニチャネル協会は2021年12月27日、DXマガジンと共催セミナーを開催しました。今回のテーマは「2022年大予測!DXとSDGsのこれから」。多くの企業にとって重要施策となりつつある「DX」と「SDGs」の今後について議論しました。

 今回のセミナーには日本オムニチャネル協会 会長の鈴木康弘氏と、SDGsやサステナビリティなどの分野に精通し、官公庁や地方自治体のアドバイザーを務める指出一正氏が登壇。DXとSDGsについて知見を持つ両者が、それぞれの見解をもとに今後の動静を探りました。
写真:セミナーに登壇したソトコト・プラネット代表取締役...

写真:セミナーに登壇したソトコト・プラネット代表取締役の指出一正氏(写真左)と、日本オムニチャネル協会会長の鈴木康弘氏

 まず鈴木氏が、DXの現状と今後の展望について説明しました。「2021年は多くの企業がDXに取り組みだした。7割を超える企業が、検討中を含めてDXに取り組んでいるという調査結果もある。企業規模が大きくなるほどのその割合が高い」と、現状の取り組み状況を述べました。
一方、ユニークな変化も読み取ります。同氏はイベントやセミナーなどで多数の講演実績があり、2020年と2021年の2年間で100回以上、DXに関する講演をしてきたと言います。そんな中、依頼される講演内容にも変化があると同氏は指摘します。「2020年前半は、デジタル化やリモートワークに関する講演依頼が主だったが、2020年後半になるとDXとは何かといった依頼内容が目立つようになった。さらに2021年前半はDXの取り組み方、2021年後半はDX人材の育成方法といった内容が中心になった。この2年でDXの関心事はより具体的、かつ実践的な内容にシフトしている。DXを実現するための具体的な施策を検討する企業が増えたことを物語っている」と述べました。2022年には大企業の役員向けの講演もあると言い、経営層もDXを真剣に理解しようとする動きが見られると続けました。
では企業がDXで「変革」するためには何が必要か。同氏は次の5つの取り組みに目を向けるべきと指摘しました。
・DX戦略の立案
・戦略スキルの養成
・DX人材の育成
・データの民主化
・2025年の崖の克服
例えば「DX戦略の立案」では、仮説、実施、検証に基づき立案することが必要だと同氏は指摘します。「仮説を立てられない企業は少なくない。これではどんな戦略・施策が有効か、一方でダメだったのかを判断できない。仮説、実施、検証を短サイクルで回し、効果を測定できるようにすることがDXを進める上では必要である」(鈴木氏)と述べました。
データを各部門が使えるようにする環境づくりの必要性も訴求します。「DX推進部門や経営企画などの特定の部署がデータを分析すればいいわけではない。製造や開発、営業、マーケティングなどの各事業部が仮説や検証に必要なデータにアクセスできるようにすべきだ。データの民主化こそDX時代に求められる要素の1つだ。各部門が利用することを想定したデータプラットフォーム構築も検討することが大切だ」(鈴木氏)と指摘します。仮説を検証しやすくするためにデータ活用基盤を構築するとともに、データを使いこなす人材の育成も必要だと同氏は続けました。
続いて指出氏がSDGsの現状と今後の展望について説明しました。「鈴木さんが『2025年の崖』を克服せよと指摘したのと同じく、SDGsの分野でも2025年がキーになる。その理由の1つが、2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)。多くの企業がSDGsの必要性を再認識するきっかけになるだろう。同時に、SDGsの先を考える契機になると思う。多くの企業が現在、SDGsに関心を寄せるようになった。中には具体的な施策として取り組み出す企業もあるだろう。大切なのは、さらにその先を考えられるかどうかだ。具体的な施策はもちろん、何を目指すのか。これらのテーマに沿って企業活動を進められるか。これからの企業の課題の1つになるだろう」(指出氏)と、SDGsの先を考えることの必要性を説きました。
写真:指出氏は、自分で未来を創れる人材を育成すべきとの...

写真:指出氏は、自分で未来を創れる人材を育成すべきとの考えを主張した

 万博を機に、若い世代が未来を模索できる社会になることにも同氏は期待します。「地域を問わず、若い世代が未来をともに創る仲間を集められるようになってほしい。新たな未来を模索するためには、これまでにない柔軟な発想やアイデアが欠かせない。こうした柔らかな考え方を持ち合わせた人が育つ社会になること。これもSDGsによって目指すべき社会の姿の1つだ。企業や地域は若い世代の柔軟な発想を育むための支援などにも目を向けるべきである」と、これからの社会を支える若い世代を育てるための環境整備の必要性も指摘しました。
ではDXとSDGs。一見、関係が希薄なトレンドと思われがちだが、DXとSDGsの関係は今度、どうなるのか。鈴木氏は、「新型コロナウイルス感染症を契機に、リモートワークなどのオンライン化が加速した。地方に移住し、在宅で業務を続ける従業員も見られるようになった。こうした働き方を許容する企業も登場し出した。地方創生がキーワードの1つになるSDGsは、企業のDX推進によって一気に加速すると思う」と私見を述べました。
これに対し指出氏も、「SDGsはDXなしに進められないと感じている。SDGsではさまざまな社会課題解決を模索している。これらを成し得るための手段としてDXは不可欠だ」と同意します。多くの企業が再生可能エネルギーへの切り替え、従業員の新たな働き方の創出、持続可能な産業構造構築に向けたイノベーション創出などの社会課題と向き合うためには、ITやデジタルを徹底活用することが取り組みの根底になると指摘します。
平等な社会を築くのにもDXは一役買っていると鈴木氏は指摘します。「情報に触れる機会は、地域や業界、世代などを問わず、DXによって平等になるに違いない。情報格差がなくなることで教育を始めるとする地域の格差もなくなるはずだ。『東京だから最新の情報を早く取得できる』などの考えは通用しない」と述べます。これにより情報を囲い込むことによる優位性などはなくなると同氏は続けます。「ITを活用すれば、一人で考えるといった行為自体減ってくるのではないか。知見を持つ多くの人と容易につながることで、共創によってアイデアを模索、具現化できるようになる。こうした差異のない社会で企業は何を目指すべきかを考えることが大切だ」と強調しました。
最後に、DXとSDGsの双方を深く理解することの必要性にも訴求しました。鈴木氏は「DXに限ると、ITやデジタルが分からないと言う人は少なくない。しかしこれからは『分からない』が必ずしも通用しなくなると覚悟すべきだ。これはSDGsにも当てはまる。知らないではなく自ら率先して理解するよう努力しなければならない。企業はもとより、そこで働く従業員にとってもSDGsは重要な取り組むだと認識する必要がある」と指摘。指出氏の指摘する「2025年以降のSDGsの先」を見据えて今から準備すべきとまとめました。
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