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現場力×デジタルで共創する新しい小売の形とは?イオンリテール 西垣氏が語る「両利きのDX」と店舗アセットの活かし方【オムニチャネルDayレポート】

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日本オムニチャネル協会は、年次カンファレンス「オムニチャネルDay」を開催しました。本記事では、同イベントで行われた特別講演「現場力×デジタルで共創する“両利きのDX” イオンリテールの挑戦」の内容をご紹介します。

登壇したのは、イオンリテール株式会社 取締役 常務執行役員 営業・デジタル担当(当時)の西垣幸則氏と日本オムニチャネル協会 専務理事の逸見光次郎氏です。現場出身の西垣氏は、「現場最優先経営」を信条に掲げてきました。圧倒的な顧客接点とデータを持つ同社が、AIやデジタルをどのように活用し、顧客満足の向上と働きやすい職場環境の実現を両立させているのか。講演では、同社が進める「両利きのDX」の全貌が語られました。

圧倒的アセットと「現場最優先経営」の重要性

講演の冒頭、西垣氏はイオンリテールが持つ強力な経営資源について説明しました。
同社は全国に約370店舗、総売り場面積約650万平方メートルという巨大な顧客接点を有しています。さらに年間約8万件におよぶ購買データ(ID-POS)を蓄積し、現場で価値を提供する従業員は約12万人にのぼります。

しかし一方で、2030年に向けて最低賃金の上昇による人件費の増大や、労働人口の減少といった課題が確実に迫っています。こうした環境変化に対して西垣氏は、デジタルの活用によって業務の生産性を高め、その結果として生まれた時間を「人への投資」に振り向ける戦略を提示しました。接客など本来の価値創出につながる業務に時間を充てることで、顧客満足の向上と従業員のモチベーション向上を同時に実現する考えです。

写真:イオンリテール株式会社 取締役 常務執行役員 営業・デジタル担当(当時)の西垣幸則氏

現場を進化させるイオンリテールの戦略「両利きのDX」

イオンリテールでは、店舗という最大のアセットを活かしながら、現場の従業員が主体的に動ける環境づくりを進めています。講演では、デジタルと現場力を掛け合わせることで成果を生み出している具体的な取り組みが紹介されました。

代表的な事例の一つが、顧客自身が商品をスキャンしながら買い物できる「レジゴー」などの仕組みです。セルフレジの普及によってセルフ比率は70%に達しましたが、一方でサポートが必要な顧客のために有人レジも必ず残しています。効率化を進めながらも顧客体験を損なわない設計が徹底されています。

さらに、AIの活用による業務効率化も進めています。勤務計画の作成ではAIを導入することで作業時間を約70%削減。発注や価格設定についてもAIが提案を行う仕組みを整備し、経験の少ない従業員でも業務を進められる環境を構築しました。

顧客向けの取り組みでは、アプリを中心としたリテールメディアの強化も進めています。AIによって顧客を171種類の趣味嗜好に分類し、ライフステージに応じた最適な情報を届ける仕組みを構築しました。顧客にとっては有益な情報が届き、メーカーにとっては購買につながる広告機会となる、いわゆる「三方良し」のリテールメディアを目指しています。

また、現場主導のデータ活用も特徴的です。データ分析基盤「ADaM Portal」を導入し、店舗の従業員自身がデータを分析できる環境を整備しました。その結果、伝統的なギフト商品の売上が低迷する中、担当者がデータから「MZ世代向けの食のカタログギフト」に需要があることを発見し、売り場を改善することで売上回復につながった事例も生まれています。

日本オムニチャネル協会 専務理事の逸見光次郎氏

次世代の店舗経営に向けたメッセージ

講演の最後に西垣氏は、AIアシスタント機能を組み込んだ従業員用端末の導入構想について言及しました。
この仕組みにより、どの従業員でも売り場や業務を横断して対応できるようになり、「店舗全体のワークモデルの最適化」を実現したいと語ります。逸見氏は、西垣氏が営業とデジタルの双方を統括する立場にあるからこそ、顧客満足を高める“攻め”と、働き手の環境を改善する“守り”の両方を実現する「両利きのDX」が成立していると評価しました。講演は、小売の未来を示唆するメッセージとともに締めくくられました。

本記事では講演内容の一部のみを紹介しました。動画ではより多くの具体的な事例や背景が語られています。ぜひ下記の動画から、講演全体をご覧ください。

※西垣氏は2026年3月にイオン東北の代表取締役社長に着任予定

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