2026年2月、デジタル庁は三重県名張市の協力を得て、災害時の避難者受付をデジタル化する実証を行いました。市内52か所の指定避難所で従来行われてきた手書き受付と手作業集計の負荷を軽減し、初動対応の迅速化と支援の円滑化を狙う取り組みです。能登半島地震で自治体職員も被災し初動にあたれなかった課題を踏まえ、限られた人材で年齢層を問わずに運用できる形を目指しました。実証は市民約20名が参加し、避難者役と受付役を担いながら運用手順を確認しました。参加者からは簡単で使いやすいとの声が寄せられ、タブレットやスマホに慣れていれば問題なく運用できる手応えが示されました。名張市危機管理室の稲垣和幸係長は、効率的な受付運営の必要性を指摘しています。
今回の実証で使用したのは、デジタル庁が開発したマイナンバーカード避難者受付アプリです。タブレットにマイナンバーカードやiPhoneのマイナンバーカード、運転免許証をかざすと氏名や住所が自動でデータ化され、紙の記入や手入力による煩雑さを削減します。何も持たずに避難した人には受付用ICカードを発行し、その場で情報登録が可能です。アプリはインターネット回線が遮断された環境でも動作し、停電や通信途絶時でも受付を継続できます。デジタル庁防災担当の神澤貴紀プロジェクトマネージャーは、事前準備が不十分な自治体でも現地に持ち込めば直ちにデジタル受付を開始できると説明しています。これにより発災直後の職員と住民の負担を抑え、受付精度と速度の両立が期待されます。
受付で収集したデータはアプリ上で一括管理され、後から配慮事項を追加入力できます。アレルギーや持病などの情報を検索して把握でき、個々のニーズに合わせた支援に結びつけられます。避難所で集約したデータは市の災害対策本部と共有され、避難者名簿の一覧化や各避難所の人数、属性の把握に活用されます。さらにマイナンバーカードなどを用いた出入り確認により、避難者の所在や避難所の稼働状況を詳細に把握できます。市民からは毎年の防災訓練でアプリ運用に慣れれば実践できるとの声があり、運用定着の可能性が示されました。名張市は、避難所以外にいる人の把握にもポータブルかつオフラインで活用できる可能性に言及しています。
名張市の稲垣係長は、行政と住民が力を合わせて合格点を取れる対応が重要だと述べ、今回の実証がその一歩になったと総括しました。人命救助や二次被害防止のためには初動対応の迅速化が鍵となり、避難者受付のデジタル化は限られた人員と時間の中での有効な手段となります。導入にあたっては、タブレットの準備や運用手順の平時訓練、受付役の役割分担、オフライン運用の確認、受付用ICカードの配備計画といった実務の詰めが効果を高めます。実証で得られた運用知見を訓練と連動させることで、発災時の業務継続性と支援のスピード向上が期待できます。デジタル庁は今後も防災分野のデジタル化を進める方針です。
詳しくはデジタル庁の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















