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コラム

なぜ私たちは「年会費」を払ってまで通うのか? 世界1.4億人を心酔させる「最強のビジネスモデル」の正体

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年会費を支払ってまで買い物に行く。そんな消費行動が日本でも根付きつつあります。コストコです。2026年2月期の直近半期(24週間)では、純売上高は約1,342億ドル(前年同期比9%増)、純利益は約40億ドル(同13%増)に達しました。世界924店舗、カードホルダー数は1億4,720万人。これは単なる「安い大型スーパー」では説明がつかない数字です。コストコには、何か人を引きつける本質があります。

「絞り込む」という逆張りの成長戦略

コストコの取扱商品数は4,000SKU未満と、一般的なスーパーと比べて極端に少ないです。しかしこれは意図的な選択です。少品種に絞ることで大量仕入れを実現し、低粗利でも事業を成立させる構造を作っています。直近半期の売上総利益率は11.17%にすぎませんが、在庫を高速で回転させ、仕入れ代金の支払い前に販売を完了させる効率設計が利益を生み出しています。

自社PBである「カークランドシグネチャー」は今年で誕生30周年を迎え、年間売上は世界全体で約900億ドル(約14.3兆円)に達しています。ナショナルブランドと同等以上の品質を一般的に15〜20%低い価格で提供するというコンセプトは、会員にとって「入会費を払う理由」そのものになっています。関税など地政学リスクへの対応は引き続き経営上の重要課題として明記されており、サプライチェーンの多様化への取り組みも継続しています。

会費収入が示す「選ばれ続ける」強さ

コストコのビジネスモデルの核は、会費収入にあります。直近半期(24週間)の会員費収入は約26億8,400万ドルと前年同期比14%増加しました。有料会員数は8,210万世帯、米国・カナダでの会員継続率は92.1%という高水準を維持しています。

特筆すべきはエグゼクティブ会員の存在です。2025年8月期時点で有料会員8,100万世帯のうち3,870万世帯(約47.8%)がエグゼクティブ会員であり、この層が全世界の純売上の73.6%を生み出しています。購買金額の2%をリワードとして還元するこの仕組みが、購買頻度と客単価を同時に押し上げているのです。「元を取りたい」という心理を逆手に取った設計といえます。会員費収入の成長の約40%は2024年9月から実施した米国・カナダの年会費値上げによるもので、残りは新規入会者の増加によって支えられています。設備投資は通期で約65億ドルを計画しており、新規出店も積極的に継続しています。

なぜコストコは「行くこと自体」が目的になるのか

CEOのロン・ヴァクリス氏は株主向けの書簡で「従業員こそが会社の心臓部」と述べています。米国の時給従業員の平均時給は約32ドル(約5,088円)、福利厚生を含む総報酬は約46ドル(約7,314円)相当に達しており、小売業界でも突出した水準です。2025年度には米国・カナダで1年以上在籍した従業員の定着率が約94%に達しました。従業員満足度が高ければ、売り場に活気が生まれます。この「人」への投資が、コストコ体験の質を支えているといっても過言ではないでしょう。

デジタル面でも成長は加速しています。倉庫受け渡しやコストコトラベルを含むデジタル経由の既存比較売上は前年同期比23%増(2026年2月期Q2時点)と大幅に伸長しており、FY2025時点ではデジタル経由売上が全純売上の約10%に達していました。リアルとデジタルを行き来しながら会員との接点を増やし、来店頻度の高い会員ほどロイヤリティが高いという好循環が生まれています。コストコが売っているのは、商品だけではありません。何度でも戻ってきたくなる「体験」そのものです。

詳しくは「コストコ」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部 權

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