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コラム

いつものゴルフ場、何が変わる?予約・料金・コース管理が変えるゴルフ体験

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ゴルフ場のデジタル化が、静かに進み始めています。これまでゴルフ場は、コース管理や接客、予約対応など、多くの場面で人の経験や現場の判断に支えられてきました。しかし近年は、予約、運営、プレー体験といった複数の領域で、デジタル技術を活用する動きが見られるようになっています。本稿では、まず現在確認できる事実を整理し、その上でゴルフ場DXが何を意味するのかを考察します。

DXは運営・集客・体験の領域で進み始めている

現在のゴルフ場DXは、大きく見ると、コース管理や業務効率化といった運営の領域、予約や料金設定といった集客の領域、そしてプレーそのものに関わる体験の領域で進み始めています。ただし、すべてのゴルフ場で同じようにDXが進んでいるわけではありません。導入が進んでいる領域もあれば、まだ発展途上の領域もあります。だからこそ、どこで変化が起きているのかを分けて見ることが重要です。

運営DX:コース管理は“勘”からデータ活用へ

まず変化が見られるのが、運営の領域です。ゴルフ場のコース管理は、芝の状態、天候、土壌の状態、作業履歴など、さまざまな要素を見ながら行われます。これまでは、現場担当者の経験や勘に頼る部分も大きい領域でした。しかし現在では、芝の状態や作業内容をスマートフォンやタブレットで記録し、蓄積したデータを管理に活用するシステムも登場しています。たとえば三和コンピュータは、ゴルフ場向けのコース管理システム「Round Master TURF」を展開し、芝の状態や作業内容を画像とともに記録できる仕組みを提供しています。

また、John Deereもゴルフ場向けに、日々の運営、スタッフ、機器メンテナンスなどをリアルタイムデータで管理するソリューションを提供しています。こうした動きは、コース管理を属人的な業務から、データを活用した運営へと変えていくものです。

集客DX:オンライン予約と柔軟な料金設定が広がる

集客の領域では、オンライン予約の普及が大きな変化です。楽天GORAやGDOなどの予約サービスを通じて、利用者は空き枠や料金を比較しながらゴルフ場を予約できるようになっています。ゴルフ場にとっても、オンライン上で予約を受け付けることは、集客の重要な接点になっています。

さらに、ゴルフ場向けの予約システムでは、日付や時間帯ごとに複数の料金を設定できる機能も提供されています。三和システムの「NT-golf open」では、1つのプランに対して日付や時間などに応じた複数料金を設定できる機能を、ダイナミックプライシングに対応するものとして紹介しています。

このような仕組みにより、ゴルフ場は空いている時間帯の利用を促したり、需要が高い時間帯の価格を調整したりしやすくなっています。価格を一律に設定するのではなく、需要や時間帯に応じて柔軟に設計する発想が広がりつつあります。

体験DX:プレー中の利便性も高まっている

プレー体験にもデジタル化の動きがあります。たとえば、GPS機能を備えたカートナビでは、コース上の距離や高低差、スコアなどを確認できるようになっています。プレーヤーは感覚だけに頼るのではなく、画面上の情報を見ながらプレーを進められるようになっています。

PGMのアプリ「スコア丸」では、カートナビに入力したスコアをアプリで確認できる機能が提供されています。スコア管理やラウンド履歴の確認など、プレー後の振り返りにもデジタルが使われ始めています。これにより、ゴルフ場での体験は、単にコースを回るだけではなく、プレー中やプレー後のデータを活用するものへと少しずつ変わっています。

ここまで見てきた内容は、実際に確認できる技術やサービスの動きです。ただし、これらの技術がどのような意味を持つのかは、事実だけを並べても見えてきません。ここからは、DXマガジンとしての視点で、ゴルフ場DXの本質を考えてみます。

ゴルフ場は「施設」から「データを活用するビジネス」へ

最も大きな変化は、ゴルフ場というビジネスの捉え方が変わりつつある点です。
これまでのゴルフ場は、コースという場所を提供する施設ビジネスとして見られることが多くありました。しかしオンライン予約やアプリ、コース管理システムの導入が進むことで、誰が、いつ、どの頻度で来場し、どの価格帯で予約し、どのようにプレーしたのかといった情報を活用しやすくなっています。

たとえば、来場回数や年齢層、居住地域などのデータをもとに、おすすめプランの提案に活用する構想も出ています。これは、ゴルフ場が単に場所を提供するだけでなく、顧客データをもとにサービスを最適化する方向へ進み始めていることを示しています。

ダイナミックプライシングは収益構造を変える可能性がある

この変化を象徴するものの一つが、ダイナミックプライシングです。需要に応じて価格を変動させる仕組みは、ホテルや航空業界ではすでに広く使われています。ゴルフ場でも、日付や時間帯ごとに料金を変えられる仕組みが整い始めています。これは単なる値引きや価格変更ではありません。空いている時間帯をどう埋めるか、需要が高い時間帯をどう収益化するかという、経営の考え方そのものに関わる変化です。

これまで固定的だった価格設計が柔軟になれば、ゴルフ場は稼働率と単価の両方を見ながら収益を設計できるようになります。つまり、ダイナミックプライシングは、ゴルフ場の収益構造を変える可能性を持っています。

体験DXはまだ途上、次の競争領域になる

一方で、体験の領域にはまだ余白があります。GPSカートやスコア管理アプリなど、プレー中やプレー後の利便性を高める仕組みは出てきています。しかし、予約から来場、プレー、帰宅後のフォローまでを一貫した体験として設計する動きは、まだ業界全体で標準化しているとは言い切れません。

今後は、単に便利な機能を導入するだけではなく、来場前から来場後までの体験全体をどう設計するかが重要になります。たとえば、予約時の提案、当日の案内、プレー中のサポート、プレー後の振り返り、次回来場への導線がつながれば、ゴルフ場は一度きりの利用ではなく、継続的な関係をつくる場へと変わっていく可能性があります。この意味で、体験DXはこれからの競争領域になると考えられます。

ゴルフ場DXは「途中」だが方向は明確

ゴルフ場のDXは、すでに一部の領域で進み始めています。運営では、コース管理や作業記録のデータ化が進み、集客ではオンライン予約や柔軟な料金設定が広がっています。体験の面でも、GPSカートやスコア管理アプリなどにより、プレー中やプレー後の利便性は高まっています。一方で、すべての領域が十分に進んでいるわけではありません。特に、来場前から来場後までをつなぐ体験設計は、まだ発展途上です。

ゴルフ場は今、単なる施設ビジネスから、予約、データ、体験を組み合わせたビジネスへと変わりつつあります。この変化はまだ途中ですが、進む方向は明確です。ゴルフ場DXの本当の価値は、業務を効率化することだけではなく、顧客との関係をどう深め、継続的に選ばれる場をどうつくるかにあるのではないでしょうか。

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