はじめまして。あるいは、この1年間連載をお読みいただき、ありがとうございます。Dialogue for Everyoneの大桃です。「今のままでいいのだろうか」そんな漠然とした不安をどこかに抱えながらも、押し寄せる日々の業務や責任に追われ、気づけばまた一年が過ぎていた。この記事を読んでくださっている皆さんの多くが、そんな「動きたい気持ちはあるのに、なかなか動き出せない」というジレンマの中にいらっしゃるのではないでしょうか。
連載開始から1年。全10回の連載も、今回でひとまずの区切りを迎えます。そこで今回は、これまでお伝えしてきた内容のエッセンスを改めて整理し、「そろそろ動き出してみよう」と思えるモードチェンジのきっかけとなるロードマップをお届けしたいと思います。【会社員から社会人へ!50代からのキャリア実践ガイド#11】
セカンドキャリアに向けたアクション。腰が重いのは、あなただけではない
まずお伝えしたいのは、「セカンドキャリアを考える必要に迫られているのは、時代が変わったから」ということです。
かつての日本を支えた「終身雇用」という仕組みは、組織にキャリア(人生)を委ねる「就社」が前提でした。会社の期待に応えることを最優先に、自分の意志を脇に置いて走り続けること。かつてはそれが唯一の「正解」でした。会社の期待に応えることを最優先に、自分の意思や価値観を脇に置いて走り続けることが求められてきました。
そして長い間、それが唯一の「正解」とされてきたのです。
しかし、2016年に『LIFE SHIFT(ライフシフト)』が出版され、「人生100年時代」という考え方が広く知られるようになりました。人生がこれまで以上に長くなる時代において、働き方やキャリアのあり方も大きく変わり始めています。だからこそ今、これまで会社に預けてきた人生の基軸を、もう一度自分の手元に取り戻すタイミングが訪れているのです。
自分の強みは、自分では分からない。周りに見つけてもらうもの
「この先」を考える時に、最初の一歩として避けて通れないのが、”キャリアの棚卸”。しかし実際に話を伺うと、多くの方が「自分の経験は潰しがきかない」とおっしゃいます。その理由の一つは、自分自身を社内で与えられた「役職」や「職種」といったラベルで見てしまっていることにあります。
私たちが越境学習(大人のインターンシップ)の現場で繰り返し目にしてきたのは、「自分の強みは、自分ではなかなか見えない」という事実です。
例えば、
・対立する意見の間に入り、場を整える
・複雑な話を整理し、簡潔な議事録にまとめる
・相手の話を否定せず、じっくり聴く
こうした行動は、多くの人にとっては「当たり前のこと」に思えるかもしれません。しかし、越境体験の場では、それが「ぜひ一緒に働きたい」と思われる価値として評価されることが少なくありません。実際に、自分では気づかなかった“名もなきスキル”を周囲から感謝され、驚く参加者の姿を私たちは何度も見てきました。だからこそ、「キャリアの棚卸しは一人でやらない」。これが、迷いから抜け出すための大切な鉄則なのです。
「手放す」ことで、新しい風が吹き込む
セカンドキャリアへスムーズに移行する人は、必ず「手放すこと」を経験しています。
会社の看板、過去の成功体験、他者からの評価。これらを無理に捨てる必要はありません。しかし、これらは無意識に、自分自身の「枠」を形作り、せっかく未来のことを考えている時にも、この「枠の中」で考えてしまうのです。
副業やプロボノ、地域活動など、今所属している組織とは異なる価値基準の場所に身を置いてみてください。社外の空気を吸うことで、これまで当たり前だと思っていた価値観が少しずつほぐれ、本当に大切にしたい「自分基準」が再定義されます。何かを手放し、心の中に余白が生まれたとき、そこに新しい挑戦やワクワクする機会が自然と入り込んでくるのです。
準備6割で、小さな「偶然」を楽しもう
最後にお伝えしたいのは、セカンドキャリアに「正解」はないということです。
完璧な計画を立てようとするのではなく、「準備6割」でまず動いてみてください。一冊の本、一本の電話、そして一度のイベント参加。そんな小さな「偶然」が、数年後のあなたをまったく違う場所へと連れて行ってくれます。これまで会社に預けてきたのは、仕事だけではなく、もしかすると「人生そのもの」だったのかもしれません。これからは、あなた自身が主役となる物語を歩む番です。
考えすぎず、ときには周囲の力も借りながら、一歩ずつ動いてみてください。その積み重ねの先に、自然と次のステージが見えてくるはずです。
【お知らせ】
日本オムニチャネル協会では、今年度に引き続き「セカンドライフアカデミー」を開講します。今回は、会員以外の方も参加できるオープンな機会としてリニューアルしました。本連載を読んで「ちょっとやってみようかな」と思われた皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

また、次回以降の連載では、皆さんの具体的なお悩みを取り上げていきます。「こんなときどうすれば?」というちょっとしたことでも、ぜひ[こちらのフォーム]からお聞かせください。2026年度は、アカデミーも連載も、皆さんの声を取り入れながら広げていきます。ぜひご一緒しましょう。

筆者プロフィール
大桃綾子
Dialogue for Everyone株式会社 代表取締役
1981年生まれ、新潟出身。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。トリドールホールディングスを経て、2020年創業、40代50代に特化したキャリア自律・越境学習プログラムを展開。 地方企業と都市部人材の副業マッチングサービスJOINS取締役、新潟県産業ビジョン2030委員、広島県呉市中小企業・小規模企業振興会議ワーキンググループ委員などを務める。プライベートでは2児の母。
日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/






















