MENU

ニュース

生成AIはもっと安全に使える?新セキュリティ技術に注目

  • URLをコピーしました!

株式会社ZenmuTechは、イージス・アプリケーション株式会社および株式会社Technica AIと連携し、秘密分散技術とRAGを統合した「秘密分散×RAGソリューション」を共同開発しました。機密情報を単独では意味を持たない分散片に変換し分散保管することで、安全な生成AI活用を可能にする基盤です。ZenmuTechは秘密分散エンジン「ZENMU Engine」を提供し、Technica AIがRAGとAI活用基盤の設計と実装を担い、イージス・アプリケーションが顧客課題整理と導入支援、事業推進を担当します。本技術は2026年3月12日に特許出願が完了しており、出願番号は特願2026-39556です。提供対象としては防衛、官公庁、金融、医療、製造業など高いセキュリティ水準を求める分野が想定されています。生成AIの社内活用におけるデータ漏洩や鍵管理、内部不正への懸念を低減することが狙いです。

背景と課題 社内RAG導入で表面化するデータ管理リスクをどう抑えるか

企業内の生成AI活用では、文書を検索参照して回答を生成するRAGの導入が広がっています。一方で、検索用データベースに重要情報が格納されるため、サイバー攻撃に対する盗難リスクが高まる点が課題でした。従来の暗号化では、暗号鍵の厳重管理が不可欠であり、鍵の流出が全データの流出に直結する脆弱性が残ります。さらに、システム管理者など権限保有者が保管データを閲覧できてしまう内部不正のリスクも無視できません。こうしたリスクは、特に高機密領域での生成AI導入の障壁となってきました。今回の共同開発は、データの在り方を変える秘密分散とRAGを組み合わせることで、根本的なリスク低減を図るものです。分散保管や処理時のみの復元といったアプローチで、保護対象を広げつつ可用性を保つ構成が示されています。

技術の中核 秘密分散×RAGがもたらす3つのデータ保護機能

本技術は、ZenmuTechのZENMU EngineとTechnica AIのRAG技術を統合し、データの無意味化と安全な参照を両立します。第一に、ストレージに保存する際、元データを複数のシェアに分割し、それぞれを物理的に離れたサーバに分散保管します。単一サーバからの情報流出では復元できないため、窃取リスクを抑制します。第二に、AIの推論処理が必要な時だけシェアを結合し、メモリ上で一時的に復元して処理後に即時消去します。恒久的な保存領域に復元データを残さないことで、システム内の痕跡を抑えます。第三に、プロンプトや回答、根拠データといった利用履歴も一貫して秘密分散化して保存します。履歴からの機密漏えいを低減する仕組みが備わり、運用面での安心感を高めています。これらの機能は、RAGの柔軟な検索と生成の利点を損なわずに、保護レベルを底上げする設計です。

優位性のポイント ナレッジ・セキュリティを支える耐性と管理容易性

本技術は、重要な知的資産を守りながらAI活用を進める「ナレッジ・セキュリティ」の確立を掲げています。物理分散により暗号鍵の一点管理を避け、鍵の盗難リスクに起因する全件漏えいの懸念を和らげます。また、分散されたシェアの一部が改ざんされると復元自体が成立しないため、データポイズニングなどの改ざん攻撃に対して自己防衛的な耐性を示します。さらに、管理者権限を持つ者であっても、分散片の一部だけでは内容を閲覧できないため、内部不正による情報流出の抑止につながります。これらの優位性は、防衛や官公庁、金融や医療、製造業といった高機密領域での要件に適合しやすい構造といえます。RAGの運用と組み合わせることで、検索対象の拡充と保護の両立を図る点も特徴です。

体制と役割分担 エンジン提供から導入支援までを三社で分担

共同開発の体制は明確に役割が分かれています。ZenmuTechは、データ無意味化と分散管理を担う秘密分散エンジン「ZENMU Engine」を提供します。Technica AIは、RAGおよびAI活用基盤の設計と実装を担当し、情報検索と生成のワークフローを技術的に統合します。イージス・アプリケーションは、顧客課題の整理や導入支援、セキュアAI活用の事業推進を受け持ちます。これにより、技術基盤の確立から実装、導入までをシームレスに展開できる体制となっています。特許は2026年3月12日に出願済みで、出願番号は特願2026-39556とされています。高いセキュリティを求める顧客領域を想定しており、要件定義や運用設計を含めて進められる枠組みが用意されています。

今後の展望 産総研での評価開始と社会実装に向けた段階的推進

2026年4月からは国立研究開発法人産業技術総合研究所において安全性評価が開始されています。今後は権利化に向けた手続きと並行して、プロトタイプの公開や先行導入ユーザーとの実証実験を進め、社会実装に向けた段階的な開発を進行させる計画です。防衛や官公庁、金融、医療、製造業などの領域に対し、RAGの利便性と秘密分散の堅牢性を兼ね備えたAI活用基盤を提供していく方針が示されています。導入にあたっては、利用履歴までを対象にした分散保存の仕組みやオンメモリ復元の運用など、実運用時のセキュリティ要件を満たす構成が想定されています。今後の評価結果やプロトタイプの公開により、具体的な導入モデルと運用手順が明らかになっていく見通しです。

詳しくは「株式会社ZenmuTech」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • 日本オムニチャネル協会
  • 公式LINEメンバー

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる