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防災・子育て・決済を1つに なぜ自治体アプリは統合され始めたのか

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自治体アプリの役割が変わり始めています。これまで自治体アプリは、防災、ごみ分別、子育て支援、地域情報配信など、用途ごとに個別に提供されるケースが一般的でした。しかし2025年度以降、一部自治体では、こうした機能を一つのアプリに統合しようとする動きが見え始めています。

背景にある住民接点の課題

背景にあるのは、「住民との接点」をどう作るかという課題です。
従来の自治体アプリは、必要な時だけ使うものが多く、継続利用率の低さが課題になっていました。防災アプリは災害時以外に利用頻度が低く、子育てアプリも対象世帯が限定されます。その結果、自治体ごとに複数のアプリを導入しても、住民からは「何のアプリかわからない」「使い分けが難しい」といった声が出るケースもありました。

注目される「地域スーパーアプリ」

こうした中で注目されているのが、「地域スーパーアプリ」という考え方です。これは、防災、子育て、地域ポイント、キャッシュレス決済、行政情報などを一つのアプリに集約し、地域生活の入口として機能させようとするものです。

実際に、岡山県真庭市では、地域通貨「まにこいん」を中心に、防災や暮らし情報などを統合した「まにあぷり」を展開しています。また、自治体向けサービス各社も、防災、子育て、行政手続き、地域ポイントなどを連携した“自治体スーパーアプリ”の提案を強化しています。

キャッシュレスが日常利用を生む

特に地域ポイントやキャッシュレスとの連携は、自治体アプリの日常利用を増やす重要な要素になっています。これまでは「行政手続きの時だけ開くアプリ」になりやすかった一方、地域ポイントやデジタル地域通貨を組み込むことで、買い物やイベント参加など、普段の生活の中でアプリを使う機会を増やせるためです。

マイナンバーカード連携で進む行政サービス化

さらに近年は、マイナンバーカードとの連携も進んでいます。デジタル庁は、自治体DXの重点施策として「フロントヤード改革」を推進しており、オンライン申請や住民接点のデジタル化を進めています。自治体アプリも、単なる情報配信ツールではなく、行政サービスの入口としての役割が期待され始めています。

行政単独では難しい継続利用

一方で、課題もあります。中国などのスーパーアプリは、決済やEC、SNSなど巨大な民間経済圏を基盤に発展してきました。しかし日本の自治体では、行政単独で利用頻度を高め続けることが難しく、継続的な運営やUI改善、住民定着などが課題になっています。そのため現在は、自治体だけでなく、地域金融機関、小売、交通事業者などと連携し、“地域全体のサービス基盤”として構築しようとする動きも出始めています。

DXの本質は住民接点の再設計

DXの本質は、単なるデジタル化ではありません。今回の自治体アプリ統合の動きも、本質的には「行政サービスを生活導線の中にどう組み込むか」という住民接点の再設計と言えます。防災、子育て、キャッシュレス。一見別々だった機能を生活基盤としてつなぐ動きは、今後の自治体DXの重要テーマの一つになりそうです。

レポート/DXマガジン編集部

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