株式会社IHIは、フィンランドのICEYE Oyから調達した合成開口レーダー衛星2基の運用を開始し、衛星データの取得に着手しました。衛星は昼夜や天候に左右されず高解像度データを取得でき、海域監視やサプライチェーン保護など安全保障分野で重要な役割を担います。現在、国内外の政府機関や民間企業との間でデータ提供に関する協議を進めているとしています。IHIは最大24基の衛星から成るコンステレーションの構築を見据えており、今回のデータ取得はその達成に向けた重要な節目です。日本として必要な宇宙インフラを自律的に確保し、日本および同盟国や同志国に高品質なインテリジェンスを提供することを目的に掲げています。国際的な地政学的緊張が高まる中で、継続監視と強靭な情報収集体制の必要性が強調されています。
ICEYEとの協定内容とコンステレーションの計画
IHIは2025年10月にICEYEと契約を締結し、安全保障や公共および商業利用を目的とする地球観測衛星データの提供に向け、同社製SAR衛星の調達を進めています。契約に基づき4基の調達を確定し、オプションとして追加20基の製造と運用を計画しています。需要の発掘とユースケースの創出を通じて市場性を見極め、最大24基体制の構築を目指す方針です。残る2基は2026年夏頃から国内で組立と試験を実施する予定で、ICEYEと共同で準備を進めています。これら2基の打上げは2026年度第4四半期を予定とされています。段階的な配備を通じて、観測頻度や撮像キャパシティの向上が期待されます。運用開始済みの2基によるデータ取得と、後続衛星の順次投入が計画全体の推進力になります。
取得データの特性と安全保障分野での価値
SAR衛星はマイクロ波レーダーパルスを用い、雲や降雨の影響を受けにくく、昼夜を問わず高精細な地表画像を生成できます。航路や港湾の監視においては、継続的な船舶追跡や異常検知に資することが示されています。IHIが運用を開始した衛星は安全保障分野での需要に応える性能を備え、海域監視や重要インフラの把握などでの活用が想定されます。ICEYEのコンステレーションは高頻度撮像と低遅延の提供を特徴とし、迅速な意思決定を支える体制が整えられています。IHIは衛星データの提供先に関して政府機関や民間企業と協議を進めており、用途の広がりに応じた活用が見込まれます。継続運用により、蓄積データの時系列分析にも道が開けます。
多様な衛星センサーの統合構想と国際連携
IHIは将来的に、SAR衛星に加えて光学センサー、次世代自動船舶識別システムであるVDES、電波収集のRF、赤外線のIR、ハイパースペクトルなどの衛星を追加する構想を示しています。これにより、陸上や海上での作戦活動に必要な目標検出や追跡の能力を強化し、国家安全保障と経済安全保障に貢献する狙いです。センサーの多様化は観測の網羅性と分析の精度を高め、ユースケースの幅を広げます。衛星データや撮像キャパシティの相互共有を通じて、同盟国や同志国との協力を深化させることも目標に含まれています。国際連携の枠組みを活用しつつ、日本発のインテリジェンス基盤の強化に取り組む姿勢が明確です。段階的な拡張を前提に、構成要素の整合と運用設計を進める計画です。
契約衛星の国内組立計画と打上げスケジュール
今回の契約で調達する残り2基は、2026年夏頃に国内での組立と試験工程に移行する計画です。IHIはICEYEと連携し、工程準備を段階的に進めています。打上げは2026年度第4四半期を予定しており、運用中の2基に続く拡張で観測機会が増加します。組立や試験を国内で実施することにより、運用に関わるノウハウの蓄積も期待されます。機能追加や運用最適化を重ね、目標とする最大24基体制に向けた基盤を固めます。データ提供に向けた協議の進展と合わせて、供給能力を引き上げるロードマップが示されています。衛星群の整備は、日本の主権的な宇宙インフラ確立に向けた具体的な前進となります。
IHIとICEYEのコメントと提供実績の補足情報
IHIの代表取締役副社長執行役員で航空・宇宙・防衛事業領域長の佐藤篤氏は、ICEYEとのパートナーシップを通じたデータ取得開始を歓迎し、日本として必要な宇宙インフラを自律的に確保していく重要投資だと述べています。IHIは経営理念に基づき、ものづくり技術を中核としたエンジニアリング力で衛星コンステレーションの整備を主導します。IHIグループが一体となり、陸海空宇宙の多領域で情報収集を行い、ニーズに合わせた分析データを提供する方針が示されています。ICEYEは世界最大かつ高度なSAR衛星コンステレーションを保有し、どのような天候や時間帯でも高頻度撮像と低遅延のインテリジェンスを提供するとしています。防衛や環境モニタリング、保険や緊急対応など多分野の顧客に活用されていることが明記されています。世界各地に拠点を置き、1,000名超の体制で運用していることも紹介されています。
詳しくは「株式会社IHI」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















