「今のAIバブルは、インターネット革命というより、産業革命だ。」DXマガジン総編集長の鈴木さんがそう話していました。私はその言葉を聞いたとき、正直よく分かりませんでした。そもそも私は「バブル」を知りません。鈴木さんは社会人として、バブル経済やITバブルなど、さまざまな時代の変化を経験してきました。一方で私は、生まれた頃から不景気が当たり前の時代を生きています。
バブルという言葉は知っていても、どこか昔話のような感覚があります。だからこそ、「今はAIバブルだ」と言われて初めて、自分が歴史的な変化の真っただ中にいるのかもしれないと感じました。
そして、もう一つ気になった言葉がありました。「インターネット革命ではなく、産業革命だ」なぜ鈴木さんはそう考えるのだろう。その意味を理解したくて、私は歴史を振り返りながら、AIによって私たちの仕事がどう変わるのかを考えてみることにしました。
インターネット革命は何を変えたのか
私たちはこれまで、AIをインターネットの延長線上で考えていたのかもしれません。確かにインターネットは社会を大きく変えました。メールは手紙を置き換え、検索エンジンは図書館を変え、SNSは人とのつながり方を変えました。情報が届くスピードは圧倒的に速くなりました。
しかし、仕事そのものはどうだったでしょうか。営業は営業でした。経理は経理でした。記者は記者でした。紙がパソコンになり、電話がメールになった。仕事の進め方は変わりましたが、仕事の本質そのものは大きく変わっていません。では、AIも同じなのでしょうか。
産業革命で起きたのは「効率化」ではなく「仕事の変化」
鈴木さんの言葉を理解するために産業革命について調べてみました。そこで気付いたのは、産業革命の本質は単なる効率化ではなかったということです。第一次産業革命では蒸気機関が登場し、人や馬が担っていた作業を機械が代替するようになりました。
その結果、農村から都市へ人口が移動し、職人は減少し、工場労働者という新しい働き方が生まれました。重要なのは、生産性が上がったことではありません。「人間の役割そのものが変わった」ということです。第二次産業革命では電力や大量生産の仕組みが普及しました。流れ作業による大量生産によって、自動車は一部の富裕層だけのものではなくなりました。
その一方で、工場管理者、エンジニア、サプライチェーン管理者など新しい職業が生まれました。仕事はなくならなかった。ただ、求められる役割が変わったのです。
AIは人間の何を代替するのか
ここで私は、鈴木さんがなぜ産業革命を引き合いに出したのか少し分かった気がしました。産業革命で機械が代替したのは、人間の筋力でした。
ではAIは何を代替するのでしょうか。それは知的労働ではないかと考察します。調査する。要約する。文章を書く。翻訳する。分析する。企画を考える。これまでホワイトカラーの仕事だと思われていた領域に、AIが入り始めています。だから今回の変化は、単なるITツールの進化ではないのかもしれません。
インターネット革命が情報の流れを変えたとするならば、AIは人間の役割そのものを変えようとしている。そう考えると、「AI革命は知的労働の産業革命」という見方もできるのではないでしょうか。
AI時代に本当に変わるもの
これまで私は、AIによって仕事が効率化されることばかり考えていました。記事を書く時間が短くなる。資料作成が楽になる。情報収集が速くなる。もちろんそれも事実です。
しかし鈴木さんの言葉をきっかけに歴史を振り返ってみると、もっと大きな変化が起きているのかもしれないと感じました。産業革命で変わったのは、人間の作業ではなく役割でした。もしAIが産業革命に近い存在だとしたら、私たちもまた役割の変化を求められることになります。
文章を書く人から、問いを立てる人へ。情報を集める人から、人と人をつなぐ人へ。作業をこなす人から、新しい価値を生み出す人へ。そんな変化が始まっているのかもしれません。
鈴木さんの一言から見えてきたこと
今回、鈴木さんの「AIバブルはインターネット革命ではなく産業革命だ」という言葉の意味を考えてみました。もちろん未来のことは誰にも分かりません。しかし歴史を振り返る中で、一つだけ感じたことがあります。AIによって変わるのは、仕事のスピードだけではない。人間の役割そのものかもしれない。だからこそ、今起きている変化はインターネット革命ではなく、産業革命に近いと鈴木さんは考えているのではないでしょうか。
では実際に、AI時代の働き方はどのように変わっていくのでしょうか。次回は、産業革命の歴史から見えてきた「AI時代の働き方」について考えてみたいと思います。

編集者プロフィール
小松由奈
株式会社デジタルシフトウェーブ
メディアコミュニケーション部






















