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コラム

変革の全体地図―IT化からDXへ、4つのフェーズで読み解く企業変革【DXでビジネスを変え、AXで会社を作り直せ 第1回】

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「DXに取り組んでいます」という言葉をよく耳にします。しかし、その実態を聞いてみると、システムを導入したり、紙をデータに変えたりという取り組みを指していることが少なくありません。それ自体は重要なことですが、変革の全体地図から見ると、まだ入口に立っているにすぎません。

ビジネスの変革には大きく「IT化」と「DX」という2つの領域があります。IT化は「オペレーションの世界」であり、目的は「効率化の土台をつくること」です。DXは「経営の世界」であり、目的は「企業変革で勝ち方を変えること」です。この目的の質的な違いを、まず明確に理解してください。

さらに、それぞれの領域には2つのフェーズがあります。IT化 第1フェーズが「デジタイゼーション(Digitization)」で本質は「情報を整えること」。IT化 第2フェーズが「デジタライゼーション(Digitalization)」で本質は「業務を回すこと」。DX 第1フェーズが「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」で本質は「ビジネスを変えること」。DX 第2フェーズが「AIトランスフォーメーション(AI Transformation)」で本質は「会社を作り直すこと」です。

各フェーズの世界平均取組率(2026年初頭)を見ると、デジタイゼーションが80〜90%、デジタライゼーションが60〜70%、デジタルトランスフォーメーションが20〜30%、AIトランスフォーメーションが5〜10%未満です。この数字が示すのは、世界の大半の企業がまだIT化の世界にとどまっており、DXの経営の世界へ踏み込めている企業が少数派だという現実です。

この4フェーズは積み上げ式に連動しています。IT化 第1フェーズで整備したデータがIT化 第2フェーズの業務効率化に使われ、その積み重ねがDX 第1フェーズのデータドリブン経営を可能にし、DX 第2フェーズでAIが学習する素材になります。土台をきちんと作らずに上のフェーズに飛び込んでも、砂上の楼閣になります。

私が経営するデジタルシフトウェーブは、創業以来、業種を超えた数多くの企業のDX支援に取り組んできました。その現場で痛感するのは、「自社がどのフェーズにいるかを正確に把握している経営者が少ない」という現実です。IT化 第1フェーズの取り組みを「DXを推進しています」と語る経営者が驚くほど多く、支援の入口でまず現在地の認識を揃えることが不可欠になっています。フェーズの地図があることで、変革の優先順位と投資の方向性が明確になります。ビジネスは、効率化のIT化から勝ち方を変えるDXへ、そして今、DXはAIを中核として変革をさらに加速させています。本連載を通じて、自社の変革の全体地図を描き直していただければ幸いです。 また、4フェーズを俯瞰することで、変革の「投資配分」も最適化できます。IT化 第1・第2フェーズが不十分なまま、DXフェーズへの投資を増やしても効果は限定的です。逆に、IT化が十分に完成していれば、DXへの投資効果は飛躍的に高まります。自社のフェーズを正確に把握したうえで、今どこに最も投資すべきかを判断することが、変革の費用対効果を最大化します。

「本気でぶつかる」覚悟で、変革の全体地図に向き合ってください。本連載の各回が、その判断の一助になれば幸いです。 変革の地図を持つことで、迷わず進めます。4フェーズという羅針盤を手に、自社の変革の現在地を明確にし、次のフェーズへの一歩を今日から踏み出してください。

【DXでビジネスを変え、AXで会社を作り直せ 第1回】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。

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