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インタビュー

トレンド高速化の時代に、なぜ現場は変われないのか。Centric Softwareが語るものづくり改革の本質

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AIの進化によって、ファッション・アパレル業界のものづくりは大きな転換点を迎えています。SNSの普及によってトレンド変化は加速し、市場に素早く対応する力が求められるようになりました。一方で、現場では依然としてExcelを中心とした属人的な業務運用が残り、情報分断や意思決定の遅れといった課題も深刻化しています。
こうした中、ファッション・小売業界向けPLMソリューションを提供するCentric Software(セントリックソフトウェア)は、単なるシステム導入ではなく、AI時代を見据えた業務変革・組織変革の支援に取り組んでいます。
今回は、Centric Software(セントリックソフトウェア)セールスマネジャーの福島裕太氏とPresales Consultant – Managerの早坂淳氏に話を聞きました。 両氏は、「AIを導入するだけでは企業は変われない」と語ります。AI時代に本当に求められるものとは何か。ファッション業界が抱える構造課題と、これからのものづくりのあり方について聞きました。

なぜ今、ものづくり改革が必要なのか

――現在のファッション・アパレル業界が抱える課題について教えてください。なぜ今、ものづくり改革が必要なのでしょうか?

福島:アパレル業界の現場では、企画・デザイン・生産・調達など、部門ごとに別々のExcelで情報を管理しているケースが今も主流です。部門間の連携は担当者同士のメールや電話に依存していて、「どのExcelが最新なのか」「あの件どうなった?」と逐一確認しなければ前に進めない構造になっています。

これが単なる非効率ではなく、今は深刻な経営リスクになっています。トレンドの変化スピードが上がっている中で、情報連携に時間がかかるほど意思決定が遅れ、気づけばタイミングを逃して在庫が積み上がる。情報分断は現場の不満ではなく、会社の競争力を削る問題として捉えるべきだと思っています。

――そのような情報散在は、企業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

早坂:例えば、品質表示タグに記載される組成情報や原産国表示、洗濯表示などに誤りがあると、単なる入力ミスでは済みません。販売後に発覚すれば、店頭からの回収、EC掲載情報の修正、取引先への説明、場合によっては全品回収といった対応が必要になります。企画から素材選定、サンプル確認、生産、販売準備まで多くの部門が関わって進めてきた商品が、最後の情報不整合によって販売機会を失い、ブランド毀損や粗利悪化につながる可能性があります。

福島:トレンドの消費スピードはここ数年で明らかに変わっています。以前であれば、シーズン単位で企画を立てれば十分でした。でも今は、企画段階で予測したトレンドが、販売時点では既に鮮度を失っているケースも出てきています。お客様の話を聞いていると、「半年かけて作った商品が売れ残った」という経験は、もはや珍しくない。それだけに、社内の情報連携が遅ければ遅いほど、ビジネス機会を直接失うことになります。これは現場の改善テーマではなく、どれだけ速く正しい判断を下せるかという、経営の問題です。

――その課題を解決する手段として、PLMが重要になるのでしょうか?

福島:そこで重要になるのが、PLM(Product Lifecycle Management)です。企画・デザイン・素材・原価・品質・販売計画まで、ものづくりに関わる情報をひとつの場所で管理し、部門間で常に同じ情報を見ながら仕事ができる状態を作ることが目的です。

ただ、「一元管理しましょう」という話は昔からあります。それでも多くの企業がExcelから抜け出せないのは、汎用的なシステムを入れても「うちの商品管理の仕方と合わない」「現場が使いこなせない」という壁にぶつかるからです。

Centricが評価されているのは、ファッション・アパレル業界のものづくりプロセスに特化して設計されている点です。色・サイズ展開、素材管理、サンプル確認のフローなど、アパレル固有の業務が前提として組み込まれているため、導入後に現場が「使える」と感じるまでの距離が短い。そこが汎用ERPとの最も大きな違いだと思っています。

Centric Software セールスマネジャーの福島裕太氏

「AIで効率化」では変われない

――そうした課題を解決するためにAIによる効率化が注目されていますが、AIを導入すればうまくいくのでしょうか?

早坂:AIは、大量のデータから傾向を見つけたり、デザイン案や需要予測の候補を出したりすることは非常に得意です。一方で、その結果が自社ブランドに合っているのか、今シーズンのMD方針に沿っているのか、原価や納期、品質面で実現可能なのかを判断するのは人です。効率化だけを目的にAIを導入しても、参照するデータや判断基準が整理されていなければ、現場で使えるアウトプットにはなりません。

――AI時代において、企業や人が価値を発揮するためには何が重要ですか?

早坂:AIを効果的に活用するには、プロンプトの工夫ももちろん重要ですが、それ以上に大切なのは、AIが参照する商品情報や業務データの質です。品番、素材、カラー、サイズ、原価、サンプル履歴、品質情報、販売計画といった一次情報が部門ごとに分断されていると、AIは正しい前提を持てません。その状態でAIを導入しても、現場が判断に使える精度の高いアウトプットを得ることは難しいと思います。

これからは、今まで現場に蓄積されてきた経験や勘を否定するのではなく、それをデータと組み合わせて再現性のある判断に変えていくことが重要です。AI時代における人の価値は、AIが出した候補をそのまま採用することではなく、整理されたデータをもとに、ブランドとして何を選び、何をやめるのかを、より早く、より解像度高く判断することにあると考えています。

――つまり、PLMによって整理されたデータ基盤があるからこそ、AIも本来の力を発揮できるのですね。

早坂:その通りです。データが分断された状態では、AIを導入しても、どの情報を正として参照すべきかが曖昧になります。例えば、最新の仕様書、BOM、原価、サンプルコメント、品質情報、販売計画が別々のExcelやメールに存在していると、AI以前に、企業としての判断材料が揃っていない状態です。

PLMの役割は、商品に関わる情報を一元化し、部門間で同じ前提を共有できる状態をつくることです。その基盤があるからこそ、AIは単なる便利なツールではなく、企画・開発・調達・生産・販売を横断して意思決定を支える存在になれるのだと思います。

なぜ現場伴走が必要なのか

――このようなAI時代においてセントリックソフトウェアは、企業とどのように関わっているのでしょうか?

福島:私たちがお客様と向き合うとき、「このシステムでできること」を説明することよりも、「今の御社の業務で、何が本当のボトルネックになっているか」を先に整理することを優先しています。PLMは部門をまたがる基盤なので、どこかひとつの部署が「便利になった」だけでは成功とは言えません。企画から販売まで、情報の流れが変わって初めて効果が出ます。そこまで一緒に考えることが、私たちの役割だと思っています。

早坂: そのために、企画、MD、デザイン、生産、品質、調達、ITなど、ものづくりに関わるさまざまな部門の方に参加いただくワークショップを実施しています。現場の業務を一つひとつ整理していくと、単に「この作業が大変」という話だけではなく、「なぜ同じ情報を何度も入力しているのか」「なぜ部門ごとに正とする情報が違うのか」「なぜ意思決定がここで止まるのか」といった、業務プロセスや組織の仕組み、商習慣に関わる課題が見えてきます。

重要なのは、現場の不満をただ集めることではなく、それを業務プロセスとして可視化し、どこを標準化し、どこを自社らしさとして残すべきかを整理することです。そのうえで、「自分たちのブランドとして、本来どのようなものづくりを目指すのか」を部門横断で共有します。このプロセスを経ることで、PLM導入は単なるシステム置き換えではなく、業務のあり方や意思決定の仕組みを見直す機会になります。

――単なるIT導入ではなく、企業変革プロジェクトに近いですね。

早坂:そうですね。PLMは、特定部門だけの業務システムではありません。商品企画、デザイン、素材開発、原価管理、品質管理、生産、販売計画まで、ものづくりの上流から下流までをつなぐ基盤です。その意味では、ERPと同じように企業全体の業務プロセスに関わる重要なプロジェクトだと考えています。

だからこそ、機能を説明して導入するだけでは不十分です。お客様の現場でどのように使われ、どの情報をどのタイミングで入力し、誰が判断し、どの部門に連携されるのか。そこまで具体化しながら、実際に業務に定着するところまで支援することを重視しています。

Centric Software Presales Consultant – Managerの早坂淳氏

AIはものづくりをどう変えるのか

――最後に、セントリックが描くAI時代のものづくりの未来について教えてください。

早坂:私たちは、AIを業務プロセスの中で活用するための機能として「AI Studio」を提供しています。例えば、ラフスケッチや白黒のデザイン画から複数のデザインバリエーションを生成したり、素材やカラーを指定して着用イメージに近いビジュアルを作成したりできます。さらに、製品の360度表示やSNS向けの動画生成など、企画・デザイン段階でのアイデア検討や社内外への共有をよりスピーディーに進めることが可能です。

福島:重要なのは、これらが単独で動くのではなく、生成したデータをそのままPLM上の商品情報に連携できる点です。デザインの検討がスケッチで終わらず、仕様・素材・原価の検討へ直接つながる。このシームレスな流れが、スピードと精度の両方を上げることになります。AI機能自体は、単体ツールでも使えるものが増えています。ただ、それが業務プロセスの外にある限り、成果は個人の工夫止まりです。PLMと統合されているからこそ、チームとして、会社として恩恵を受けられると考えています。

――AI機能単体ではなく、業務全体とつながっていることが重要なのですね。

早坂: はい。世の中には画像生成や動画生成に特化したAIツールが数多くありますが、それらが商品企画や開発管理のプロセスから切り離されていると、作ったビジュアルが一時的なアイデアで終わってしまうことがあります。Centric Softwareでは、生成したデザインやビジュアルをPLM上の商品情報とつなげ、企画、仕様、素材、カラー、サンプル、販売計画といった後続プロセスに活用できる点が特徴です。

AIを単なるクリエイティブ支援ツールで終わらせるのではなく、商品開発の流れの中に組み込むことで、アイデア創出から商品化までのスピードと精度を高めることができます。そこにPLMとAIを組み合わせる価値があると考えています。

日本企業は今、労働人口の減少、人材不足、現場ノウハウの属人化といった大きな課題に直面しています。一方で、ファッション市場ではトレンドの移り変わりが速くなり、企画から販売までのリードタイム短縮や、在庫・原価・品質を踏まえた素早い判断がこれまで以上に求められています。だからこそ、AIやPLMを活用し、現場の知見をデータとしてつなぎ、企業として判断できる状態をつくることが重要です。
プロジェクトを成功させるまでの道のりは確かに大変ですが、我々がしっかり伴走しますので、「怖がらず一歩踏み出してほしい」ですね。

【関連リンク】
Centric Software(セントリックソフトウェア)
https://www.centricsoftware.com/ja

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