「とりあえずECサイトを作れば売れる」と思っていませんか。円安や物価高、人手不足の荒波を乗り越えようと、多くの中小企業がオンライン販売に活路を見出しています。しかし、その足元で「決済の罠」にハマる企業が続出していることが判明しました。売上を左右する「信頼インフラ」の最前線に迫ります。
コストと人手不足の猛攻に「適応」する中小企業とEC運営のシビアな現実
PayPal(ペイパル)が発表した「PayPal 中小企業によるEコマース活用実態調査2026」によると、ECを展開する国内中小企業の経営は外部環境の劇的な変化に直面しています。調査では、49.0%の企業が物価高の影響を、51.3%が円安による仕入れコスト増の影響を受けていると回答しました。さらに社内要因としては38.4%が「人手不足」を挙げており、極めて厳しい舵取りが求められています。しかし、企業側も手をこまねいているわけではありません。半数以上(50.3%)が「販売価格の引き上げ」による適応を進めているほか、新規顧客開拓(41.0%)や賃上げ(31.6%)、採用強化(31.3%)など、攻めの姿勢を見せる企業も多く存在します。
その一方で、成長の柱であるECの運営体制には課題が残ります。ECの運用先はモール型が46.1%を占める一方、独自の自社サイトは29.4%にとどまりました。自社サイト運営における障壁としては以下の点が浮き彫りになっています。
- コストが高すぎる(31.3%)
- 運用に必要な社内の人材がいない(28.9%)
- 集客に不安がある(28.1%)
こうしたリソース不足の中でも、国境を越える「越境EC」に対しては、現在実施している企業(18.4%)と今後予定している企業(28.1%)を合わせて約5割が前向きな姿勢を示しており、AIやグローバル決済を駆使した海外市場への挑戦が模索されています。
55パーセントが直面する決済トラブルの脅威と「信頼インフラ」への昇華
本調査で最も衝撃的だったのは、ECを行う中小企業の55.2%(半数以上)が、過去1年間にオンライン決済に関する何らかのトラブルを経験しているという事実です。具体的な内容としては、決済時のエラーや二重決済、決済後の突然のキャンセル、返品・返金対応の煩雑さ、さらには不正利用などが上位を占めました。顧客がサイト上で安心して購入するために最も重要視する要素として「安全で信頼できる決済方法の利用」(34.5%)がトップに挙がっていることからも、決済環境の不備はそのまま顧客離れや売上機会の損失に直結します。実際に、決済手段を拡充した企業の約3割が売上・購入率の向上を実感しており、決済は単なる支払い「機能」ではなく、顧客との絆を守る「信頼インフラ」としての重要性を増しています。
また、人手不足を補う切り札として注目されるAIについては、すでに約7割の中小企業が導入しており、ChatGPT(47.6%)やGemini(33.5%)などが日常業務を支えています。しかし、導入企業の87.1%が「業務の属人化」や「導入前の業務整理の不足」といった課題を抱えており、ツールを入れるだけでは解決しない組織体制の壁に直面しています。活用の拡大を目指す意欲層(48.7%)と、未導入、または活用の縮小を予定している層(24.8%)との間で、デジタル格差の二極化が急速に進んでいます。
見解として、ECの売上拡大を急ぐあまり、決済周りのセキュリティや安定性を後回しにすることは、バケツの底に穴を開けたまま水を注ぐようなものです。 顧客が心理的抵抗なく財布を開ける「安心・安全な決済基盤」を整えること、そしてAI活用に向けた社内プロセスの標準化を進めることこそが、激変する市場で生き残るための中小企業DXの必須条件と言えます。
詳しくは「PayPal」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部 戸田





















