MENU

ニュース

量子コンピューターでシミュレーションが変わる!三菱電機が大規模計算を爆速化する新アルゴリズムを開発

  • URLをコピーしました!

製造業の設計開発で用いられるCAEの大規模化と高精度化に向け、三菱電機株式会社と株式会社QunaSysが2つの基盤アルゴリズムを共同開発しました。流体や熱、構造、電磁界などの物理シミュレーションで発生する大規模行列計算に対し、量子計算の実行コスト削減と計算精度向上を狙います。従来は行列の量子回路への埋め込み時に正規化係数が増大し、ゲート操作や回路実行回数が膨らむ課題がありました。さらに量子回路設計のためのパラメーター計算にも不安定性が指摘されていました。今回の成果は量子CAEの実用化に向けた前進とされ、モーター開発などでの適用可能性も示されています。なお成果の一部はAQIS 2026で発表予定です。

行列入力の効率化で実行コストを削減

1つ目の基盤アルゴリズムは、ブロックエンコーディングを用いる際に行列の同一値や出現パターンを整理し、共通部分を再利用して差分を組み合わせる表現へ変換します。非ゼロ要素を個別入力すると重複を別々に数えて正規化係数が増大する問題に対し、構造を活かして入力形式を最適化します。どこまで共通部分を再利用できるかを理論解析し、効果を発揮する条件を明確化しました。代表的な物理シミュレーションの行列計算で有効性を確認したとしています。これにより量子回路当たりの操作数や繰り返し実行回数の抑制が期待でき、量子コンピューターで扱いやすい大規模行列処理が可能になります。設計探索や性能評価の高速化に資する基盤となる位置づけです。

量子信号処理の角度列計算を安定化し精度を向上

2つ目の基盤アルゴリズムは、量子信号処理で必要となる角度列パラメーターの計算手順を見直し、丸め誤差や桁落ちの影響を回避する方法です。従来は多項式係数の並びと計算の進め方の組合せに起因して極端に小さい数を扱い、精度が低下していました。新手法では計算の向きを反転し、順序を戻すことで不安定性を抑えます。行列反転、ハミルトニアンシミュレーション、位相推定、固有値フィルタリングで数値実験を行い、高い精度で角度列を求められることを示しました。量子回路設計の信頼性が向上し、CAEに必要な行列操作の再現性が高まります。QunaSysは開発と実装支援を担い、三菱電機は全体設計と製造業での適用可能性を検証しています。

今後の適用領域と発表計画

両社は、流体解析、熱解析、構造解析、電磁界解析など具体的なCAE課題への適用検証を進めます。設計初期段階での多数条件比較や、複雑な物理現象を踏まえた高精度な性能評価の実現を目指す方針です。今回の開発にはJSTムーンショット型研究開発事業の成果も含まれ、2026年8月24日からの国際会議AQIS 2026で発表されます。モーター開発におけるCAE適用の例も示され、製造業の設計と解析に量子コンピューターを活用する量子CAEの実現に向けたロードマップが明確化しました。実課題に即した行列構造と量子回路設計の両面での改善が、計算コストと精度のトレードオフを緩和します。継続的な検証により産業応用の加速が期待されます。

詳しくは「三菱電機株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • DXイノベーション大賞2026
  • DSW

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる