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コラム

【AI駆動開発の衝撃】AIで開発生産性は上がる――その効果と落とし穴

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「つくれなかったもの」が、つくれる時代に入りました。AIの進化により、システム開発の前提そのものが大きく変わり始めています。これまで数ヶ月、あるいは年単位で必要だった開発期間は、AIの活用によって飛躍的に短縮されつつあります。開発におけるボトルネックが解消される中で、企業の競争軸は確実にシフトしています。もはや「いかに早くつくるか」ではなく、「何をつくるか」「どう使い続けるか」が問われる時代です。

開発の高速化が変えた競争の本質

AIによってコーディングやテストの自動化が進み、生産性は劇的に向上します。その結果、これまで相対的に軽視されがちだった領域の重要性が一気に高まっています。

・上流の構想(サービス設計・業務設計・セキュリティ設計)
・下流の品質担保(試験・運用・定着・改善)

開発そのものが高速化したことで、「設計の質」と「運用の強さ」が競争力を左右する構造に変わりました。つまり、単にシステムをつくること自体は差別化になりにくくなり、その前後のプロセスこそが企業の価値を決定づけるのです。

SaaSかカスタマイズか、その問いはどう変わるのか

これまで企業のシステム選択は、SaaSかパッケージカスタマイズかという二択で語られてきました。SaaSは導入スピードやコストの面で優れている一方、個別要件への対応には限界があります。対してカスタマイズは独自性を実現できる反面、時間とコスト、保守負荷が大きな課題でした。しかし、AI駆動開発の登場により、この前提が崩れ始めています。開発生産性が飛躍的に向上したことで、これまで障壁となっていた「時間」と「コスト」が大きく緩和されました。その結果、企業は「標準に合わせる」のではなく、「自社の強みをそのまま実装する」という選択を現実的に取れるようになっています。

一方で、SaaSは依然として有力な選択肢です。システムで独自性を出さず、世の中の標準に追随していくという選択は、企業にとって合理的であり続けます。

重要なのは、「どちらが優れているか」ではない。 「自社の戦略に合っているか」である。

AI時代に問われるのは「使い方」と「設計力」

AIを導入すればすべてが解決するわけではありません。適切な知識やリテラシーがなければ、重大な事故を引き起こすリスクすらあります。これは免許を持たずに車を運転するようなものです。AIは強力であるがゆえに、誤った方向にも高速で進んでしまいます。

さらに、システムが大規模化するほど、その難易度は飛躍的に高まります。多数のAIエージェントを束ね、品質を維持しながら安定運用することは容易ではありません。これは、大規模組織を戦略やマネジメントなしに運営できないのと同じ構造です。

だからこそAI時代に求められるのは、単なる導入ではなく、「設計力」と「マネジメント力」です。AIはあくまで手段であり、価値を生み出すのはビジネス理解と技術に裏付けされた設計力に他なりません。

AI駆動開発は単なる効率化ではありません。それは、「できなかったことが、できるようになる」という本質的な変化です。その先にあるのは、企業ごとの強みがそのままプロダクトとして表現される世界です。標準化か、独自化か。この問いに対する答えは、これまで以上に明確になります。今、問われているのは「何をつくるか」ではありません。

「自社は、どの価値で戦うのか」

その問いに向き合える企業だけが、AI時代の競争を勝ち抜いていきます。

林雅也

株式会社ecbeing 代表取締役社長
日本オムニチャネル協会 専務理事

1997年、学生時代に株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売を行うとともに、インターネット通販の立ち上げに携わる。1999年にはECサイト構築パッケージ「ecbeing」の前身である「ec-shop」を開発し、事業を推進。2005年に大証ヘラクレス上場、2011年に東証一部上場へ寄与。2012年には株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウンの運営およびふるさと納税支援事業を行う。2020年からは日本オムニチャネル協会の専務理事を務め、ECサイト構築パッケージecbeingの導入サイトは1600サイトを超える。

日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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