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コラム

【賃金のデジタル払い】PayPayや楽天ペイでの給与受取が本格化、労働者保護の「2階建て構造」と利用時の注意点

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給与をPayPayや楽天ペイで受け取る——そんな働き方が制度として認められています。「賃金のデジタル払い」と呼ばれるこの制度は、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用したいというニーズが一定程度見られることを踏まえて導入されました。利便性の向上という明るい側面がある一方で、正しく理解しておくべき仕組みやルールもあります。制度の概要から実際の利用にあたっての注意点まで、順を追って整理します。

制度の基本:あくまで「選択肢の一つ」

まず最も重要な点として、賃金のデジタル払いは賃金の受け取り方法の選択肢の一つであり、強制されるものではありません。導入した事業場であっても、全ての労働者が切り替えを求められるわけではなく、希望しない労働者はこれまで通り銀行口座等で受け取ることができます。使用者が労働者の同意なくデジタル払いを強制した場合、労働基準法違反となり罰則の対象になり得ます。労働者本人の同意が大前提です。

また、賃金の一部をデジタル払いで受け取り、残りを銀行口座で受け取るという併用も可能です。一度デジタル払いを選択した後でも、銀行口座等への変更はできます。なお、現金化できないポイントや暗号資産での賃金支払いは認められません。

指定を受けた事業者のみが対象

デジタル払いに利用できる口座は、厚生労働大臣が指定した資金移動業者に限られます。2026年2月27日時点で指定を受けているのは以下の4社です。PayPay株式会社(サービス名:PayPay給与受取、受入上限額:20万円)、株式会社リクルートMUFGビジネス(サービス名:COIN+(スタンダード)、受入上限額:30万円)、楽天Edy株式会社(サービス名:楽天ペイ給与受取、受入上限額:10万円)、auペイメント株式会社(サービス名:au PAY 給与受取、受入上限額:10万円)。各社でサービス名も受入上限額も異なるため、利用前に自身の給与額と照らし合わせて確認することが必要です。

なぜ「指定制」なのか——2階建ての保護構造

なぜ誰でも参入できないのかというと、制度は「2階建て」の保護構造を採用しているためです。資金移動業者はまず、資金決済法に基づく金融庁の規制を受けています。これが「1階部分」にあたり、履行保証金の供託やシステムリスク管理など利用者保護に関する措置が求められます。しかしデジタル払いに利用できる業者はそれだけでは不十分で、労働基準法施行規則に基づく「賃金の確実な支払」を担保するための追加要件をクリアした事業者のみに限定されています。これが「2階部分」です。

この追加要件は7つあります。口座残高の上限を100万円以下に設定すること、破綻時に労働者への債務を速やかに保証する仕組みを持つこと、不正な為替取引等により生じた損失を補償する仕組みを持つこと、最後に残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること、ATM等で1円単位の出金ができかつ月1回以上は手数料なしで出金できること、業務・財務状況を適時に厚生労働大臣へ報告できる体制を持つこと、適正・確実な業務遂行に必要な技術的能力と十分な社会的信用を有すること、以上の7点です。この厳格な要件があるからこそ、労働者は安心してデジタル払いを選択できる仕組みになっています。

利用前に確認すべきこと

各サービスの受入上限額は10万円から30万円とばらつきがあるため、月給が上限を超える場合は超過分を別の口座で受け取る必要があります。また、万一指定業者が破綻した際の保証の仕組みや問い合わせ先も各社ごとに異なります。日常的にキャッシュレス決済を活用している方にとっては利便性の高い選択肢ですが、「便利だから」という理由だけで飛びつかず、自身の給与額や生活スタイルに照らして本当に適切かどうかを冷静に見極めることが大切です。制度の詳細や最新の指定業者情報は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

レポート/DXマガジン編集部 權
(出典:厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について)

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