2025年5月1日現在、日本に在籍する外国人留学生数は408,069人——日本学生支援機構(JASSO)が令和8年5月29日に公表した調査結果で、この数字が明らかになりました。前年比71,361人増(21.2%増)で過去最多を更新しました。一方、同日公表された日本人学生の海外留学数は2024年度で91,054人(前年度比1,875人増、2.1%増)と緩やかな増加にとどまり、過去最多だった2018年度の115,146人には届いていません。この「入超」と「出控え」が同時に進む構図の背景には、継続する円安があります。
円安が「留学先」としての日本を変えた
外国人留学生の増加を出身国別に見ると、その傾向が鮮明です。最多は中国の131,097人(前年比6.2%増)ですが、特筆すべきはネパールの100,239人(前年比54.7%増)です。わずか1年で約3万5千人増加し、中国に次ぐ2位となっています。ミャンマー(前年比77.2%増)、スリランカ(43.7%増)、バングラデシュ(50.0%増)など南アジア・東南アジアからの増加率も際立っています。
これらの国々に共通するのは、日本円に対して相対的に自国通貨が強まっている、あるいは経済成長により海外留学への投資余力が生まれつつある点です。円安が続く日本は、かつてと比べて「留学コストが安い国」になっています。授業料・生活費・住居費など、留学にかかる総費用が他の英語圏留学先より割安に映るという構造が、南アジアを中心とした新興国からの学生を引き寄せています。
増加の中身を読む
在学段階別に見ると、全ての段階で過去最多となりましたが、特に増加が大きいのが専修学校(専門課程)の106,829人(前年比30,427人増、39.8%増)と日本語教育機関の140,174人(前年比32,933人増、30.7%増)です。大学院や大学学部も増加しているものの、増加の主役は日本語学校や専門学校であることがわかります。
日本語教育機関だけで全体の34.3%を占め、最大の在学カテゴリーです。ネパールからの留学生は日本語教育機関においても最多の44,632人を占めており、日本語学習を入口として就労・定住を視野に入れた流れが強まっていることがうかがえます。
「出る日本人」が戻らない理由
一方、海外に出る日本人留学生はコロナ後に回復しつつあるものの、2024年度は91,054人と2018年度の115,146人には及びません。地域別では、アジアへの留学が36,904人(前年比7.0%増)と増加する一方、北米への留学が19,363人(前年比8.4%減)と減少しています。
円安の影響はここでも顕著です。アメリカへの留学生は12,627人と前年比6.6%減、カナダも6,736人で11.6%減となっています。英語圏の学費・生活費が円安で実質的に跳ね上がった結果、日本人学生が北米留学を諦め、比較的コストの低いアジア圏や欧州にシフトする動きが数字に表れています。フィリピンへの留学は15.5%増、中国は15.4%増と、英語圏の代替としてのアジア留学が伸びています。
「留学生40万人」が示す構造変化
外国人留学生の約93.4%はアジア出身であり、その8割超が私費留学生です。彼らの多くは円安という経済的追い風を受けて日本を選んでいます。これは日本の大学や語学学校にとって短期的には追い風ですが、為替が変動した際に流入が急減するリスクも内包しています。
留学生40万人超という数字は、日本が「選ばれる国」になりつつあることを示す一方で、その選ばれ方の中身を問い直す必要も示唆しています。円安による割安感に依存した構造から、教育の質や就労・定住環境の整備など本質的な魅力を高める方向へ——その問いは、人口減少が続く日本にとって避けられないものになっています。
レポート/DXマガジン編集部 權
(出典:経済産業省「100億宣言」関連資料)





















