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コラム

お客様に寄り添い、課題解決に導く営業力を磨け!

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DXが加速し、AIが台頭する現代、ビジネスパーソンに本当に必要な力とは何か。専門知識やスキルだけで成果を出せる時代はすでに終わりを迎えつつあります。これからは上司を説得する、社内で新しい提案を通す、顧客と信頼関係を築く、といった「営業力」を養うことがすべてのビジネスパーソンに求められます。この営業力とは何か。どう養えばいいのか。ここでは、顧客の課題に寄り添い、解決へ導く営業力について考えます。【週刊SUZUKI #158】

「営業」という言葉が持つ響きは、かつての強引な売り込みや、巧みな話術で相手を丸め込むといったネガティブなイメージから、劇的な変貌を遂げています。あらゆる情報が瞬時に比較検討される現代では、単にモノの良さを説くだけの存在は、もはや必要とされないのです。

今、すべてのビジネスパーソンに求められる営業力とは、目の前の相手が抱えている本質的な「課題」を掘り起こし、それを解決へと導く「伴走者」としての力です。営業の心得を学ぶ上でもっとも根幹に据えるべきなのは、「営業とは売る仕事ではなく、助ける仕事である」という定義の転換です。この切り替えこそが、プロフェッショナルとしての第一歩です。

お客様を理解するというプロセスは、決して表面的な情報収集に留まるものではありません。お客様の組織がどんな歴史を歩み、どんな理念を掲げ、市場の荒波にどう揉まれているのか。さらに、担当者がどんな責任を背負い、日々の業務の中でどんな葛藤を抱いているのか。そこまで深く踏み込み、相手の視座に立って世界を眺める「共感的な想像力」を持つことが不可欠です。

しかし、多くの人がお客様を理解する前に自分の伝えたいことを話そうとしがちです。相手の言葉を遮ってまで自説を展開する人も珍しくありません。真に価値ある提案は、相手の沈黙の中に隠された不安や、言葉にすらなっていない潜在的な不満を丁寧にすくい上げるところからしか生まれません。

提案という行為は、いわば「未来の設計図」を提示することです。お客様の現状と解決後の理想的な姿を結び、そこにどのような橋を架けられるのかを論理的かつ情熱的に語るプロセスです。このときの主役はあくまでお客様で、提供される商品やサービスは、その主人公が困難を乗り越えるための「道具」や「武器」に過ぎません。道具の使い方を説明するのではなく、その道具を手にしたお客様が課題をどう解決し、周囲から賞賛され、組織に利益をもたらすのかという「成功の景色」を共有することこそが提案の本質です。

そのためには、自社の商品知識だけでなく、業界全体の動向、競合他社の動き、さらにはマクロ経済の推移に至るまで、幅広い知見を備えるべきです。広範な知識に裏打ちされた理解があって初めて、お客様は「この人なら未来を託せる」という確信を抱くようになります。

なお、こうした姿勢は営業担当者だけが備えればいいわけではありません。社内のエンジニアが新しい技術を導入したいと上司を説得するとき人事担当者が新しい採用方針を各部署に浸透させようとするときなど、さまざまな場面で「相手の課題解決」という営業的アプローチが必要になります。

すべての社会人が営業力を磨かなければならない背景には、個人が孤立して成果を出せる時代が終わり、他者との協働を通じて価値を生み出すことが不可欠になったという現実があります。相手を理解し、その幸福に寄与するための提案を行う…。この利他の精神に基づいた活動こそが、信頼という名の無形資産を積み上げ、結果として持続的なビジネスの成功をもたらすのです。

私たちは、単なる取引を目指すのではなく、相手の人生や事業の転機に立ち会う変革の担い手であるという自覚を持つべきです。その誇りと覚悟こそが、営業の心得の原点であり、私たちが学び続けるべきもっとも尊い姿勢なのです。

【営業の心得 その1】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

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