ライバル同士の通信会社が、まさかのタッグを組みました。超高速な5Gミリ波ですが、実は電波が直進しすぎて建物の裏に届かない弱点があります。この課題を解決するため、両社が1台の中継器をシェアする前代未聞の挑戦が始まります。電波の常識を覆す、今夏の上野公園での大実験の全貌に迫ります。
競合の壁を越えて1台の装置にフィルターや回路を共用化
KDDI株式会社と株式会社NTTドコモは2026年5月27日、共用中継器の開発を同年5月20日に完了したと発表しました。開発には京セラ株式会社が協力しています。これまで両社は、それぞれ個別に5Gミリ波のエリア拡大を進めてきました。KDDIは2024年12月に独自の無線中継技術を開発しました。西新宿のビル街や高輪ゲートウェイ駅前などでエリアを広げてきた実績があります。一方のドコモは、スタジアムなどのエンターテインメント施設を中心にエリア構築を推進してきました。5Gミリ波は高速で大容量な通信ができる強みを持っています。しかし、電波の直進性が強く、建物などの遮蔽物に弱いという技術的な課題がありました。この弱点を克服し、エリア展開をさらに加速させるため、両社は競合の垣根を越えた共同開発へと踏み切りました。
今回開発された京セラ製の共用中継器は、1台で両社のミリ波に対応します。装置のサイズや筐体を変えることなく、内部のフィルターや増幅回路を共用化しました。これにより、KDDIとドコモの異なる電波信号を同時に中継することが可能になります。各基地局から届く電波は向きや強さが異なります。中継器はそれぞれの信号を自動で検出して、最適なアンテナ面を選ぶスマートな機能も備えています。この共用化により、各社が個別に工事をする場合と比べて、設置スペースや施工費用を大幅に抑えることができます。中継器自体も縦216mm、横216mm、高さ246mm、重さ4.9kgと非常に小型軽量です。一般的なミリ波基地局と比較して、大きさと重さを約7割も削減しており、街路灯などへ設置しても景観を損ねません。
さらに、この中継器は自律的にメッシュ状のエリアを構築する革新的な機能を搭載しています。電波の送受信方向を動的に切り替えるため、面倒な工事設計やアンテナの微調整が不要になります。複数のルートから最も品質の良い電波を自律的に計算して選択します。新しいビルが建ったり樹木が茂ったりして電波が遮られても、瞬時に最適なルートへ切り替わります。両社はこの画期的なインフラの真価を検証するため、今夏から多くの人々が訪れる上野恩賜公園で実証実験を開始します。実際の環境でカバレッジや通信速度などのエリア拡大効果を細かく評価します。設備コスト削減などの運用面における有効性を確かめた上で、今後の実用化に向けた展開を加速させていく方針です。
見解として、ライバル関係にある通信キャリアが、ミリ波特有の弱点を克服するためにインフラの共用(シェアリング)へ舵を切った画期的なネットワークDXです。 個別の設備投資を抑えつつ自律的なメッシュ網でエリアを広げる手法は、コスト効率と都市の景観保護を両立する次世代のインフラ戦略と言えます。
詳しくは「KDDI株式会社・株式会社NTTドコモ」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部





















