売上高100億円を目指すことを、企業自らが宣言する——そんな取り組みが令和7年5月8日の申請受付開始からわずか1年足らずで、3,083社(2026年5月28日時点、100億企業成長ポータル掲載数)が参加するほどの注目を集めています。「100億宣言」と呼ばれるこの制度は、中小企業の飛躍的成長を後押しするために設けられたものです。
「100億宣言」とは何か
宣言とは、売上高100億円という野心的な目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを企業自ら公表するものです。宣言には、企業概要(足下の売上高・従業員数等)、企業理念・経営者の意気込み、売上高100億円実現の目標と課題、売上高100億円に向けた具体的措置(取組)の4項目を記載します。宣言した企業の内容はポータルサイト上で公表され、取り組みの「見える化」によって成長に向けた機運の醸成を図るものとされています。
なお、宣言できる企業は売上高10億円以上100億円未満の中小企業に限られます。ここでいう「中小企業」とは、原則として中小企業基本法、租税特別措置法、中小企業等経営強化法に基づく中小企業者および特定事業者です。
宣言するとどんなメリットがあるか
宣言企業には複数のメリットが用意されています。一つ目は補助金等の活用です。中小企業成長加速化補助金や経営強化税制の拡充措置などを活用できます。二つ目は経営者ネットワークへの参加です。宣言を行った成長を目指す経営者が、地域・業種を超えてつながれるネットワークが構築されます。三つ目は公式ロゴマーク(商標登録出願中)の活用による自社PRです。
なぜ今、この制度なのか
日本の雇用の7割、付加価値の5割以上を占めるのが中小企業・小規模事業者です。我が国経済がコストカット型経済から脱却し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの正念場において、中小企業の「稼ぐ力」を伸ばすことが不可欠だという認識があります。特に地域経済では、良質な雇用や域内仕入れなど地域にインパクトをもたらす一定規模の企業を創出することが重要であり、売上高100億円の実現がその一つの方策として位置づけられています。
100億企業を生み出すための3つの柱
制度が想定する成長のメカニズムは、「経営者の意思」「事業戦略を磨き売上高を飛躍的に拡大」「成長シナリオを実現できる組織」という3つの要素が循環する構造です。これを支えるものとして、機運醸成(戦略的広報・宣言による波及的拡大)、経営力の向上(ネットワーキング・経営者向け研修)、組織づくり(急成長を支える人材確保・CXO機能等の組織システムの高度化)、成長投資の後押し(成長加速化補助金・経営力強化税制の拡充・リスクマネー供給)の4つが位置づけられています。
売上高100億円という目標は、多くの中小企業経営者にとって簡単には手の届かない数字です。しかしこの宣言は、その目標を「公言する」ことで経営者自身と社員の意識を変え、投資と賃上げを通じたさらなる成長の「きっかけ」にすることを狙っています。制度の活用を検討する際は、ポータルサイトで他社の宣言内容を参照することも参考になるでしょう。
レポート/DXマガジン編集部 權
(出典:経済産業省「100億宣言」関連資料)





















