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インタビュー

DX定着の鍵は「人」と「組織」、クラウド型統合プラットフォームを駆使して改革の風土醸成を【日本オラクル 渋谷由貴×デジタルシフトウェーブ 鈴木康弘 特別対談5】

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日本オラクル 執行役員NetSuite事業統括 日本代表カントリーマネージャー 渋谷由貴氏とデジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏が、DXの課題と成功の鍵について議論する対談企画。最終回となる今回は、もっとも重要なシステム導入後の取り組み、さらに人や組織に改革を根付かせ、新たな企業風土をどう築くのかを両氏が議論しました。

人材育成と組織改革なしにDXは成功しない

鈴木:経営者の覚悟や戦略の重要性、業務改革の必要性、さらには改革の土台となるクラウド型統合経営プラットフォームを導入することがDXには不可欠だとこれまで指摘してきました。では、これらを確実に履行しさえすれば改革は成就するのか。答えは「いいえ」です。

一番大切なのは、クラウド型統合経営プラットフォームの導入後。つまり、クラウド型統合経営プラットフォームを徹底的に使いこなし、現状を常に見直し続けられるかどうかです。クラウド型統合経営プラットフォームの導入は、改革に着手するスタートラインに立ったに過ぎないのです。

渋谷:まさにおっしゃるとおりで、DXはクラウド型の統合経営プラットフォームなどのシステムを導入して終わりではありません。その後に「どう使いこなすか」が本当の勝負になります。システムは導入しただけでは単なる道具にすぎず、それを組織として活かし切るためには、やはり会社全体が変わっていかなければ意味がありません。

そして、何より重要なのは「人」です。最終的にシステムを使いこなし、価値を引き出すのは従業員の皆さんですので、働き方や意識の変革に向き合うことこそが不可欠だと思っています。

スタートラインを飛び出した後は、従業員や組織が学び続ける姿勢が欠かせません。変化に追随するために自らをアップデートし続けることが求められます。こうした日々の小さな変化を積み重ねられるかどうかで、数年後の企業力には圧倒的な差が生まれます。

そして、その日々の挑戦を確実に支え、企業の成長を後押しする基盤となるのが、クラウド型統合経営プラットフォームなのです。

鈴木:DX推進の最後のステップは、改革を組織や個人に定着させ、さらに加速させることです。テクノロジーは進化し続けますが、最終的に組織を変えるのは人の意識です。人の意識を変え企業風土を変えていくことこそが、DXを成功させる一番の近道だと考えます。多くの企業が最新のクラウドやAIに投資していますが、実際に成果を出している企業は例外なく人の変革に踏み込み、仕組みと文化の両面を整えています。

渋谷:システムの導入と組織改革を切り離し、まるで別々のプロジェクトのように進めてしまう企業は少なくありません。しかし、本来この二つは表裏一体です。両輪として同時に考え、連動させて進めなければ、プロジェクトそのものが十分な成果を生み出しません。

さらに言えば、人材育成や意識改革も含めて取り組まなければ、改革は一時的な施策で終わってしまいます。継続的に変化し続ける組織をつくることこそ、DXを成功に導くための鍵だと思いますね。

クラウド型統合経営プラットフォームを土台に改革し続ける企業風土を醸成せよ

鈴木:近年は政府もジョブ型雇用を推奨し、成果型の給与体系も広がり始めています。この外部環境の変化に対応し、公平な人事評価を実現することも必要な取り組み例の1つですね。人を起点とした改革を進めるためには、個人の成果や組織の状況を数字で可視化できることが必須です。曖昧な評価や属人的な判断は、今後ますます通用しなくなるし、全社一丸によるDXを阻害しかねません。

渋谷:評価は、やはり数字で測ることが一番フェアだと感じます。経営者が直接「部下のモチベーションを上げよう」と働きかけることには限界がありますが、成果を数字で正しく評価し、透明性をもって示してあげれば、従業員のモチベーションは自然と高まっていきます。

そして、こうした評価の数値化を支える基盤となるのが、クラウド型統合経営プラットフォームです。たとえば「Oracle NetSuite」は、各従業員の取り組みや成果を可視化し、公正で納得感のある評価につなげることができます。数字を軸にした透明性の高いマネジメントは、組織内の信頼を育む大きなきっかけにもなるのではないかと思いますね。

鈴木:日本は人口減少という構造課題を抱えています。これからは海外人材の採用も増えていくでしょう。しかし従来のメンバーシップ型雇用、つまり年功序列や終身雇用では、多様な人材を組織に組み込むことは難しいのです。海外の人材は役割と成果で評価されることを当然と考えますから、ジョブ型への移行は避けられません。こうした社会変化を迅速に受け入れ、その時代に適した仕組みを自社に築くためにも、クラウド型統合経営プラットフォームで自社の現状を可視化すべきだと思いますね。

渋谷:クラウド型統合経営プラットフォームには、会計や人事、生産といった企業活動のさまざまなデータが集約されます。組織を変えていくうえでは、こうしたデータをしっかりと参考にすることが、最も現実的で効果的だと感じています。

「こんな方向に変えてみよう」といった感覚的なアプローチではなく、データに基づいた組織改革こそが、企業価値を着実に高める合理的な方法だと思います。数字を根拠に進める取り組みであれば、従業員の納得感も得やすくなりますし、経営者の意思決定のスピードも大きく向上していきます。

鈴木:さらに重要なのが、DXを推進する過程で育成される「デジタル変革者」です。DXを推進した人材は、ビジネスプロセスとテクノロジーの両方を理解し、全社視点で物事を考えられるようになります。かつて経営企画や海外事業が経営者候補の登竜門だったように、DX推進経験は次世代リーダーを育てる新しいキャリアパスとして機能します。

渋谷:DXを推進する担当者は、一部の部署に固定するのではなく、一定期間でローテーションしていくことが大切だと考えています。さまざまな部門で経営の視点を持った経験を積むことで、個人の視座が自然と引き上がり、組織全体の成長にもつながっていきます。
こうした取り組みこそが、まさに本来あるべき「経営人材の育成」ではないかと思いますね。

鈴木:こうした人材には、改革を推進する手腕が求められます。具体的にはリーダーシップとコミュニケーション力、さらには、ゼロから何かを立ち上げた経験や、大きなトラブルを解決した経験です。こうした経験を持つ人は、自ら答えを導き出し、組織を前に進める力を持っています。業務の専門性を追求することも大切ですが、一方でまったく取り組んだことのない未知の業務に挑戦する機会、大きな壁に立ち向かう経験を従業員に積ませることも必要だと思いますね。

渋谷:そのためには、まず会社として「安心してチャレンジできる環境」を整えることが欠かせません。私が以前お世話になっていた会社では、キャリアは“ジャングルジム”のように、縦でも横でも、どの方向に進んでも良いという考え方が根づいていました。
さらに、3年のあいだに新たな挑戦がなければ部署異動をするというルールもあり、上司の評価項目には「部下にどれだけキャリアチェンジの機会をつくれたか」というKPIまで組み込まれていました。
こうした仕組みによって、社員が前向きに挑戦できる風土が自然と育まれていたように思います。

鈴木:素晴らしい取り組みですね。日本企業が世界と渡り合う競争力を養うには、こうした挑戦を後押しする仕組みや風土、周囲の許容する姿勢が欠かせません。失敗を恐れる文化を乗り越え、挑戦を称賛する風土へと変わることで、ようやく真のDXが進みます。

渋谷:その意味で、単に制度や仕組みを変えるだけではなく、「組織そのものをどう変えていくか」という視点が非常に重要だと感じています。社員同士の関係性や日々の対話の質、そして心理的安全性を高めていくことが、DXをしっかりと根づかせるための土台になります。

鈴木:デジタルはあくまで道具です。それを使い倒すためには、社員が安心して意見を交わせる環境が不可欠です。まさに組織が果たさなければならない役割ですね。

渋谷:加えて、システム導入後の定着には、ベンダー側の継続的な支援も欠かせません。導入しただけで満足してしまうと、せっかくの変化が組織に根づかず、成果につながりにくくなってしまいます。だからこそ、導入企業とベンダーが一方通行の関係ではなく、「共に創っていく」いわば共創の関係性を築くことが、これからの変革にはますます重要になっていくと感じています。

鈴木:ベンダー主導による導入後のトレーニングや他社事例の共有が、変革の定着を後押しします。これが本当の意味で、ベンダーのアフターサポートであり、企業のDXを最後まで責任を持って支えなければならないのではと思いますね。

渋谷:こうした支援を担うのは、まさに「カスタマーサクセス」の役割だと思います。本来、カスタマーサクセスのKPIは“お客様の売上や企業価値をいかに高められたか”に置くべきではないでしょうか。単なるサポートにとどまるのではなく、クラウド型統合経営プラットフォームをどれだけ活用いただき、どれだけ経営に貢献できたのか、そこまで視野を広げて伴走することが、ベンダーに求められる姿勢だと思います。

鈴木:興味深いのは、日本には古くから「四方よし」という商いの思想があることです。買い手よし、売り手よし、世間よし、未来よし。この考え方は、日本ならではのあるべきカスタマーサクセスを描く上で非常に示唆に富んでいますよね。

「Oracle NetSuite」も、単なるクラウド型統合経営プラットフォームにとどまらず、「四方よし」の考え方を大切にしながら、お客様とともに成長していく“共創の道具”へと進化していきたいと考えています。特に「NetSuite」は、成長企業の皆さま向けに設計されており、多国通貨や多国会計にも対応しているため、グローバルを見据える企業にとっては非常に心強い武器になります。

そして、世界中の導入企業の知見とOracle NetSuiteの技術をつなぎ、互いの成長を支える橋渡しとして機能していくことができれば、これほどありがたいことはありません。

鈴木:日本企業が今後世界で戦うためには、「NetSuite」のようなクラウド型統合経営プラットフォームの活用が必須となります。日本はもとよりアジア太平洋地域に注力しているOracle NetSuiteの支援体制は、日本の成長企業にとって追い風になるに違いありません。

渋谷:ありがとうございます。「Oracle NetSuite」のカスタマーサクセスを一層強化し、日本のSaaS企業やパートナーの皆さまとも力を合わせながら、日本から世界で戦える企業をもっと増やしていきたいと考えています。私たち自身も学び続け、皆さまの挑戦を後押しできる存在でありたいと思っています。

鈴木:そのためには、DXを目指す企業同士が集まり、互いに学び、議論し、応援し合う「共創の場」がより重要性を増しますね。こうした場を通して新しいデジタル変革者が育ち、日本が再び世界で戦える日が来ると信じています。

渋谷:同感です。人材育成と組織改革を通じてDXが自社にしっかりと根づき、新たな企業風土を育んでいく企業が、1社でも多く生まれてほしいと心から思います。DXに真正面から取り組んだ先には、必ず明るい未来が開けると私も信じています。「NetSuite」を提供するベンダーとして、そうした未来づくりに少しでもお力添えできれば、本当にうれしいですね。

【関連リンク】
日本オラクル株式会社 NetSuite事業統括
https://www.netsuite.co.jp/

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