富士経済は2024年11月14日、次世代物流システム・サービス市場の調査結果を発表しました。同社が発表した「2024年版 次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望」によると、日本国内の次世代物流システム・サービス市場は、ロボティクス、AI、IoTなど先端技術を活用したソリューションの導入が進む中で急成長を遂げると予測されています。特に2030年問題として顕在化する人手不足への対応が喫緊の課題となり、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が期待されています。
次世代物流ロボットシステムの市場は現在、AIを活用したピッキングや荷卸し(デバンニング)の自動化が進み、大型物流センターを中心に採用が増加。デバンニングロボットの本格導入も市場拡大の追い風となり、2030年には2023年比7.4倍の317億円に達すると予測されています。
その他の主要な注目分野は次の通りです。
バース管理システム
トラックの予約や車両誘導を効率化するシステムで、2024年問題への対策として急速に需要が拡大。2023年の市場拡大に続き、2024年以降も生産性向上と長時間労働の解消を目指して導入が進む見込みです。2030年には2023年比5.1倍の163億円市場が予測されています。
WMS(倉庫管理システム)
在庫管理や入出庫管理を担うシステムで、2024年問題を背景に物流センターでの採用が加速。倉庫外システムとの連携によるサプライチェーン全体の最適化が期待されており、2030年には2023年比57.6%増の457億円規模に成長すると見られています。
屋外無人搬送車(AGV)
屋外環境への対応が進み、2030年には2023年比16.3倍の市場拡大が予想されています。特に工場間搬送や屋外搬送で導入が進む見込みです。
WES(倉庫実行システム)
倉庫内のマテハン機器を統合管理するシステムで、パッケージ化された製品の導入が進み、市場拡大が続くと予測されています。
物流業界は、ECの普及や小口配送の増加、オペレーションの複雑化といった課題に直面しており、ロボティクスやAIを活用したソリューションへの投資が急速に進んでいます。特に、2023年にデバンニングロボットの実証実験から本格導入へ移行したことで、自動化の波が加速。2030年までには、物流センターの新設や既存施設のデジタル化が進む中で、より高度な効率化と自動化が期待されています。さらに、国内市場だけでなく、人件費の高い北米やオセアニアなど海外市場への展開も進む見通しです。物流DXの本格化には、複数拠点への横展開を前提とした拡張性の高いシステムやロボットの導入が鍵となり、今後もこの分野は成長を続けると予測されています。
レポート/DXマガジン編集部折川