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NTT西日本、故障受付に生成AI音声を導入 災害時の電話混雑解消になるのか?

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NTT西日本は、故障や設備トラブルに関する電話受付業務に生成AIを活用した自動受付システムのトライアルを開始すると発表しました。開始日は2026年2月27日で、災害発生時などに増加する問い合わせの混雑を緩和し、応対品質の向上を目指す取り組みです。新システムは利用者の自由発話を解析し、内容を自動で特定したうえで必要事項を追加で尋ねる点が特徴です。着信内容は「故障」と「故障以外」に自動仕分けされ、適切な業務プロセスに接続して一気通貫で対応が進みます。これにより一次対応を自動化し、オペレーターの業務効率化が見込まれます。コールセンターのDXを継続してきたNTT西日本が、受付の中核に生成AIを組み込む新段階に踏み出した格好です。

生成AI音声受付の具体像と運用フロー

導入するのは生成AIソリューション「AI-IVR」を活用した自動音声受付システムです。従来の番号選択式IVRとは異なり、利用者が自然な話し言葉で状況を説明すると、AIが意図を解析して要件を把握します。受付時点で要件を「故障」と「故障以外」に切り分けることで、必要なプロセスに迅速に接続できます。故障以外には不安全設備の申告や設備移設の要望などが含まれ、AIが内容を認識したうえで追加質問により必要情報を収集します。受付から担当部門への引き継ぎや処理開始までを一貫させる設計とし、手戻りを抑える狙いが示されています。音声対話で完結する一次対応の自動化により、オペレーターは緊急度の高い案件や高度な判断が必要な応対に専念できる体制を整えます。

効率化の期待と考慮すべき精度面の課題

一次受付を生成AIで安定運用できれば、応対スピードの改善と解決精度の向上が期待されます。特に自然災害や広域障害などで問い合わせが急増する場面で混雑を抑制し、待ち時間の低減につながる可能性があります。受付データの蓄積は、問い合わせ傾向の分析や設備改善へのフィードバックにも活かせるため、継続的な品質改善の基盤となります。一方で音声認識や意図解釈の精度が十分でない場合、誤分類や再問い合わせの発生リスクが指摘されています。高齢者や複雑な事情を抱える利用者には、人による柔軟な応対の重要性が残るとされています。トライアルの結果に基づいた改善と適用範囲の見直しが、今後の焦点になる見通しです。

コンタクトセンターDXの新段階が示す波及効果

NTT西日本はコールセンター業務のデジタル化を継続して進めてきましたが、今回の施策は受付の中核に生成AIを据える点が新機軸です。受付から適切な業務プロセスへの接続までを自動化するアプローチは、電話受付をコスト部門から戦略的な顧客体験基盤へ再定義する動きにつながります。想定される効果としては、オペレーター配置の最適化、緊急時の体制強化、データ活用によるサービス全体の改善が挙げられます。トライアル運用での実績が示されれば、他業界のコンタクトセンターにも同様の導入が広がる可能性があります。自由発話に対応するAI-IVRの特性は、従来の番号選択式IVRでは拾いきれなかった多様な要件を取りこぼしなく受け止める点が強みです。これにより、受付段階での情報精度を高め、後工程の効率化に寄与する構図が描かれています。

実務運用に向けた進め方のポイント

運用初期は、故障と故障以外の判別精度や追加質問の網羅性を評価指標として設定し、改善サイクルを短く回す体制が重要になります。問い合わせ急増時の優先度制御や、人による即時引き継ぎ基準を明確化し、手動介入のフローを整備することが有効です。受付データの分析では、誤分類の発生要因や再問い合わせの理由を特定し、プロンプトや対話設計の調整に反映することが求められます。高齢者など音声対話が難しい利用者に配慮し、オペレーター直通への導線や別チャネルを併用する選択肢を保持することも検討事項です。加えて、音声データの取扱いと保護体制を整え、活用とセキュリティのバランスを保つ設計が必要です。トライアルの成果に応じて適用範囲を段階的に拡大し、運用コストと顧客体験の指標を継続的にモニタリングする姿勢が安定運用への鍵になります。

生成AI活用が拓く電話受付の将来像

自由発話に対応するAI-IVRは、問い合わせの多様性に応える柔軟性と、プロセス接続まで自動化する実行力を両立します。故障受付のナレッジが蓄積されると、原因候補の推定や必要情報の先回り確認など、応対の先読みも可能になります。一次受付の自動化が定着すれば、オペレーターは付加価値の高い対応に集中できるため、全体の応対品質が底上げされる可能性があります。災害時の混雑を抑えつつ、平時の効率化と品質向上を同時に進める実装は、社会インフラを担う事業者としての信頼性強化にも資する取り組みです。トライアルの成果が可視化されることで、AIを実運用に組み込むための設計知見が広がり、コンタクトセンターの標準像を更新する契機になり得ます。今回の一歩は、電話受付を起点にした顧客体験の再設計を具体化する動きと位置づけられます。

詳しくは「NTT西日本」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

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