経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験の見直し状況を公表しました。Society 5.0に対応した人材育成を背景に、試験区分の再編、新設区分の追加、出題範囲の再整理などを進めています。内容は現時点の検討状況であり、今後変更される可能性があります。現行制度は2026年度の試験実施で終了予定で、2027年度から新制度に移行する見通しです。すべての試験区分はCBT方式で実施する予定です。受験を計画する際は、区分ごとの試験時間や出題数、開始時期の違いに留意する必要があります。
見直しの5ポイントと位置づけの変化
見直しは五つの柱で構成されます。第一にデータマネジメント試験が新設され、AI活用を支えるデータ整備と管理の能力を評価し、幅広いビジネスパーソンを対象としてITパスポートの次のステップに位置づけられます。第二にITパスポート試験の出題分野をビジネス、テクノロジ、セキュリティ・倫理に再編し、DXで求められるマインドやデータマネジメント基礎、セキュリティ・倫理の出題を強化します。第三にプロフェッショナルデジタルスキル試験が新設され、応用情報技術者試験と高度試験を大括り化してマネジメント、データ・AI、システムの三区分に再編します。第四に情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験は、科目Aの範囲体系見直しと科目Bの一部変更を行いますが、問う知識や技能の範囲は変更しないとされています。第五に情報処理安全確保支援士試験は、科目Aの体系見直し、マネジメント分野の強化に加え、試験時間と科目Bの出題形式を変更します。いずれも受験検討者に早期に情報提供することを目的として示されています。
新制度の試験区分、試験時間、出題数
新制度では各区分の評価対象と試験構成が明確化されます。ITパスポートは120分で100問です。新設のデータマネジメント試験は、科目Aと科目Bの合計が120分で、Aが48問、Bが12問です。情報セキュリティマネジメント試験は同様に合計120分で、Aが48問、Bが12問です。基本情報技術者試験は科目Aが90分で60問、科目Bが100分で20問です。プロフェッショナルデジタルスキル試験は、マネジメント、データ・AI、システムのいずれも、科目A-1が90分で60問、A-2とBの合計が120分で、A-2が23問、Bが12問です。情報処理安全確保支援士試験は、科目A-1が45分で30問、科目A-2が35分で25問、科目Bが120分で12問です。対象者像は、組織における安全な情報システムの企画から運用支援、調査分析と助言を担う専門家としています。
開始時期、実施方式、試験回数と免除制度
開始時期は、2027年度春頃にITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者が先行し、夏から秋頃にデータマネジメント、プロフェッショナルデジタルスキル各試験、情報処理安全確保支援士が続きます。全区分でCBT方式を採用します。試験回数は、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者は従来通り通年で実施予定です。データマネジメントとプロフェッショナルデジタルスキル各試験は、実施時期と期間を検討中です。免除制度は、プロフェッショナルデジタルスキル各試験で現行の高度試験と同等の制度を設ける方向で検討し、現行の高度試験や情報処理安全確保支援士の免除要件を満たした場合の経過措置による一部科目免除も検討しています。新制度では、基本情報の科目A免除と情報処理安全確保支援士の科目A-2免除は変更予定がないとされています。
今後の予定と準備に役立つ情報
今回の情報処理技術者試験の抜本的改定は、DXが「専門技能」から「全社的な共通言語」へと移行した市場構造の変化を象徴しています。特にデータマネジメント試験の新設は、AI活用を支えるデータガバナンスが、一部の技術者だけでなく全ビジネスパーソンに必須の素養となったことを示唆しています。実務上の重要点は、高度試験の大括り化に見られる「技術の統合」です。DX推進のボトルネックである「部門間の壁」を打破するには、単一の専門性だけでなく、マネジメントとデータを横断的に理解する人材が不可欠です。企業はこれを単なる資格推奨に留めず、自社のスキルマップを再定義する好機と捉えるべきでしょう。2027年度の新制度移行を見据えた人材ポートフォリオの再構築が、今後の競争優位を左右すると考えられます。
詳しくは「経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















