海上自衛隊が取り扱う部品や弾薬、医薬品、食料までの全物資情報を一元的に把握できる基幹業務システムを、富士通株式会社が2026年5月に提供しました。約4万5,000名が利用する規模で、全国の艦艇や基地、補給拠点の在庫や調達、整備情報をリアルタイムに可視化します。物資の需給を精緻に捉え、調達から補給計画までの意思決定を迅速化することで、継戦能力の強化に寄与する取り組みです。背景には、安全保障環境の変化を踏まえた任務の複雑化と多様化があり、限られたリソースで即応性と持続性を高めることが求められてきました。今回の導入は、データドリブンな運用への転換を支援するもので、運用の省人化や需給予測の活用も視野に入れています。富士通株式会社は、安定稼働と機能改善を継続し、日本の安全保障への貢献を掲げています。
海上自衛隊の物資情報を一元管理し、可視化と迅速な意思決定を実現
本システムは、海上自衛隊の艦艇や航空機などの部品供給、弾薬、医薬品、食料といった多岐にわたる物資情報を統合し、全体像をリアルタイムに把握可能にします。全国の艦艇や基地、補給拠点が保有する在庫や調達状況、整備関連の情報が一体化されることで、任務遂行に必要な情報が適時に共有されます。これにより、調達や整備、補給計画の立案が効率化され、データ利活用に基づく需給予測の活用が可能になります。業務プロセスの標準化や省人化も見込まれ、指揮官による意思決定のスピードが向上します。複雑化と多様化が進む任務環境において、現場の即応性と持続性を高める基盤となることが示されています。結果として、全物資情報の可視化と活用が継戦能力の底上げに結びつく構図です。
SAPのERPを中核にDefense&Securityソリューションを活用 中央省庁で初の導入
システムはSAP社のERP「S/4HANA」をベースに、数十か国以上で実績があるDefense&Securityソリューションを活用しています。中央省庁で初となるSAPのERP導入であり、膨大な物資情報を扱うための堅牢な基盤が据えられました。構築と運用の推進にあたっては、富士通株式会社が全社ERP刷新で培った実践知を活用し、円滑な立ち上げと安定稼働を支援しています。業務要件が多岐にわたる中で、国際的な利用実績を持つソリューションを採用したことは、品質と拡張性の確保につながります。海上自衛隊の規模と複雑さに対応するため、標準機能を生かしながら物資管理と補給系業務の整合性を高めた点が特徴です。今後の機能改善とあわせ、需給予測の精緻化に結びつける取り組みが進められます。
安全保障環境の変化に対応し、データドリブンな運用へ移行
近年の国際情勢の変化を踏まえ、安全保障関連3文書の改訂議論が進む中で、有事における継戦能力の強化が重要度を増しています。そのような状況下で、海上自衛隊の任務は年々複雑化と多様化が進み、限られた人員と物資で即応し続ける体制が不可欠になっています。今回のシステムは、データの一元管理により、必要な情報を必要なタイミングで把握し、全体最適に基づく判断を後押しします。調達から整備、補給に至るまでのプロセスがデータでつながることで、冗長な手作業の削減や重複発注の回避が期待されます。業務全体の可視化は、計画の見直しや優先順位付けを機動的に行う基礎となります。富士通株式会社は継続的な機能改善を掲げ、継戦能力の観点からも実効性のあるデータ活用を支援していきます。
経営メッセージが示す狙いと今後の展望
SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 堀川嘉朗氏は、システム稼働を祝い、ロジスティクス体制の高度化と安定的な任務遂行への寄与に期待を示しました。富士通株式会社 代表取締役社長 CEO 時田隆仁氏は、中央省庁で初めてのSAP ERP導入である点と、膨大な品目を扱う大規模システムに携わる責任を述べています。さらに、同氏はAIを含むテクノロジーの重要性に触れ、日本の安全保障に一層貢献していく姿勢を示しました。富士通株式会社 執行役員専務 パブリック事業 CEO 林恒雄氏は、全物資情報の可視化と管理を実現したデータ基盤が、データドリブンな組織運営への重要な一歩であると位置付けました。同氏は今後、防衛省内の他機関や他官庁への展開も視野に入れ、広範な領域でのデータ活用高度化に貢献する意向を表明しています。継続的な安定稼働と業務効率化、意思決定の迅速化を支援する方針が明確です。
実務での活用ポイントと導入効果を高める観点
全物資情報を単一基盤で管理することは、在庫や補給の現況を正確に捉え、可視化に基づく優先順位の明確化につながります。業務全体のデータを一元的に扱うことで、整備計画と補給計画の整合を取りやすくなり、現場の判断と上位組織の計画を一致させやすくなります。需給予測の結果を日常業務に反映できれば、発注や配分のタイミングが適正化され、過不足の発生抑制が期待できます。さらに、リアルタイム性を生かして状況変化に即時対応できれば、任務への影響を最小限に抑える運用が可能になります。SAPの標準機能とDefense&Securityソリューションの組み合わせは、国際的なユースケースに基づく品質を活用できる点が利点です。富士通株式会社が培ったERP刷新の知見を運用設計に反映することで、導入効果の最大化が図られます。
詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















