株式会社帝国データバンクは、全国1,194社を対象に猛暑や酷暑が事業活動へ与える影響と対策状況を調査した。最高気温が35℃や40℃を超える高温日に業務へ支障が出た企業は合計で50.0%に達し、屋外作業の多い建設や農・林・水産で特に高い割合となった。一方で、企業の87.8%がこの1~2年で猛暑・酷暑対策を実施または検討しており、現場の安全確保と生産性維持を両立する取り組みが進んでいる。水分や塩分補給品の支給が最も多く、設備投資や制度整備の動きも確認された。調査期間は2026年7月10日から7月14日で、インターネットにより実施されている。
半数が「支障あり」建設と農・林・水産で影響が顕著に
気象庁が最高気温40℃以上を酷暑日と定義した中、業務の遅延や安全面のリスクが広がっている。支障の内訳は「大きな支障が出た」6.5%と「やや支障が出た」43.5%で、合計50.0%が影響を受けた。業界別では建設が73.6%、農・林・水産が66.7%と、全体を大幅に上回っている。現場では作業効率の低下が生じ、休憩時間の増加や短時間で密度の高い作業への切り替えが行われたという声が寄せられた。自動車・同部品小売では整備工場内で熱中症が発生した事例が挙がり、安全管理の重要性が浮き彫りになった。メンテナンス・警備・検査では発注先の理解と協力が不可欠とする意見があり、取引関係を含めた対策の必要性が示されている。医療・福祉・保健衛生ではポータブルファンや塩飴の配布など、現場の特性に合わせた取り組みがみられた。
好影響の業態も一部で確認、支障がない企業も対策を進める
「支障は出ていない」企業は44.2%で、さらに「好影響を受けた」企業が1.5%となった。避暑地での事業を手掛ける企業は暑い夏を歓迎する姿勢を示し、暑熱対策商品の販売が伸びた卸売からは売り上げへの貢献が報告されている。一方で、支障がない企業でも通勤時の安全確保への懸念や外出時間の調整など、予防的な取り組みが行われている。訪問件数の見直しや移動時の暑熱リスク低減など、業務プロセスの最適化を図る動きがみられた。運輸・倉庫では商品特性に応じた納品スケジュールの調整が行われ、温度管理が難しい期間を避ける工夫が示されている。旅館・ホテルでは高温多湿の環境配慮が行われ、サービス現場での細やかな管理が継続している。
87.8%が対策を実施、水分・塩分補給品の支給が最多で設備投資も進展
対策の実施・検討は87.8%に上り、具体策では「水分・塩分補給品の支給」が61.2%で最多となった。続いて「空調設備や遮熱シート、扇風機の使用・増設」が47.8%で、備品や設備による環境改善が広がっている。規模別にみると、大企業では「熱中症予防・重篤化防止の学習と周知」が61.2%で、全体の41.4%を上回った。中小企業では「休憩時間の追加・延長」「臨時休暇の設定」「営業時間の短縮」など規則・規定の整備が進み、制度面からの安全確保が浸透した。運輸・倉庫では深部体温を測定できる機器の配布が進み、製造や建材分野では飲料水を毎日無償で支給する取り組みがみられた。情報サービスでは二重窓の追加で外気の影響を抑え空調効率の向上に努めるなど、現場の実情に沿った改善が報告されている。
費用負担と協力体制の確立が課題に、柔軟な働き方の整備が進む
労働安全衛生規則改正による熱中症対策の義務化から1年が経過し、企業の対策は定着しつつある。夏の高温化が続く中、作業効率の低下だけでなく従業員の生命を守る観点からも継続強化が求められる。建設では補助がない中で管理費の増加が課題とされ、公的支援の必要性が指摘されている。運輸・倉庫では荷役方法を手積みからパレット利用へ切り替える要請が行われ、負荷軽減と安全性の両立が進められている。情報サービスでは外出時のコーヒーブレイク制度の導入や、水分補給の徹底が施策として機能している。高温時の作業時間短縮や気温ピークの回避など、柔軟な働き方を整備することで、安全と事業継続の両面を支える動きが広がった。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















