企業の赤字法人率が6割超とされるなか、2016年度から2025年度の倒産データを用いた集計で、窮境状態と人手不足倒産の相関が業種別に示されました。日本標準産業分類中分類を基に、2026年3月期を起点に経常赤字が3期以上の企業が10%以上含まれる業種を抽出し、中小企業に限定して分析しています。最も窮境度が高く人手不足倒産も発生している業種は学校教育で、赤字企業比率は18.08%、倒産17件のうち2件が人手不足要因で発生率は11.76%でした。次点の社会保険・社会福祉・介護事業は赤字企業比率16.41%、倒産1,780件中176件が人手不足で発生率9.88%です。道路旅客運送業は赤字企業比率14.28%で発生率13.70%と高く、運転士不足が背景にあります。
上位10業種のうち5業種がサービス業他で、飲食店は赤字企業比率13.10%、人手不足倒産発生率4.44%でした。大手を中心にモバイルオーダーや配膳ロボットで省人化が進む一方、中小では投資難や外国人依存が人員確保の制約となります。医療業は赤字企業比率12.74%、発生率8.12%で、地域医療の提供継続に影響が及ぶ懸念が示されています。非労働集約型では、金融商品取引業,商品先物取引業が赤字企業比率14.26%、発生率2.66%、娯楽業は赤字企業比率11.37%、発生率3.04%と低位でした。両業種は競争激化や規制、退出手段としての休廃業・解散の多さなど、市場構造の変化が影響しているとみられます。全体では、人手不足倒産発生率は6.44%で、赤字比率上位業種ほど発生率が高い傾向が確認されました。
窮境状態に直面する業種では、業績の立て直しと人員確保が同時に求められます。人員調整が避けられない場合、失業なき労働力移動の活用により、従業員は職を失わず、受け入れ企業は助成金を得ながら人材確保が可能です。一方で、送り出す側は残存人員での事業再構築が必要となり、逆に受注不振や人手不足が強まる恐れもあります。労働集約型の窮境は人件費やコスト上昇の影響が直撃しやすく、非労働集約型は業種内の環境変化が赤字比率の高さに現れるなど、性質の異なる二つの窮境が併存しています。3期連続で経常利益を取得できなかった企業群にも赤字が含まれるため、実際の窮境は本集計より深刻である可能性があります。
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