日本企業の人手不足が続く中、外国人材の存在感が高まっています。厚生労働省が2026年8月31日に公表した「令和7年外国人雇用実態調査」によると、外国人労働者を雇用する理由として「労働力不足の解消・緩和のため」を挙げた事業所は68.2%に上りました。調査で推計された外国人労働者数は約204万人で、前年の約182万人から増加しました。また、外国人の一般労働者における「月間きまって支給する現金給与額」は29万2,400円で、前年比6.4%増となっています。
DXマガジンでは、企業の経営判断に役立つ各省庁・公的機関の統計や調査データを継続的に紹介しています。今回は外国人雇用の最新データから、日本企業の人材確保で何が起きているのかを見ていきます。
外国人労働者は約204万人、前年から約22万人増加
厚生労働省の調査によると、雇用保険被保険者数5人以上の事業所における外国人労働者数は約204万人でした。前年の約182万人と比べると、約22万人増えています。今回の調査は、雇用保険被保険者数5人以上で、外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所から抽出して実施したものです。そのため、約204万人という数字は、日本国内で働くすべての外国人を直接数えた数字ではなく、調査結果から推計された外国人労働者数です。
在留資格別の構成を見ると、「専門的・技術的分野」が42.1%と最も大きく、前年の38.9%から3.2ポイント上昇しました。一方、「身分に基づくもの」は24.0%、「技能実習」は21.7%となっています。外国人材というと技能実習生をイメージする人もいるかもしれません。しかし今回の調査では、専門的・技術的分野の在留資格を持つ外国人労働者が4割を超えています。
外国人の一般労働者、定期給与は月29万2,400円
外国人の一般労働者における「月間きまって支給する現金給与額」は29万2,400円で、前年比6.4%増となりました。ここでいう29万2,400円は、外国人労働者全体の単純な平均月収ではありません。厚生労働省が「一般労働者」について集計した「月間きまって支給する現金給与額」です。
在留資格によっても給与水準には違いがあります。「専門的・技術的分野」は30万6,500円で、このうち「特定技能」は25万4,100円でした。「技能実習」は21万3,500円、「身分に基づくもの」は34万7,200円となっています。
在留資格によって10万円以上の差もみられることから、「外国人労働者」という一つの括りだけではなく、どのような在留資格や働き方の人材が増えているのかを見ることも重要です。
外国人を雇用する事業所の68.2%が「人手不足」を理由に
今回の調査で特に注目したいのが、企業が外国人労働者を雇用する理由です。外国人労働者を雇用する事業所のうち、「労働力不足の解消・緩和のため」と回答した割合は68.2%で最も高くなりました。前年の69.0%からは0.8ポイント低下したものの、依然として約7割に上ります。
一方、外国人雇用の目的は、単なる「人数の確保」だけではありません。「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」は56.2%で、前年の54.7%から1.5ポイント上昇しました。また、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」は18.1%、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」は14.1%となっています。
人手不足への対応が外国人雇用の大きな理由となる一方、外国人材に日本人と同等以上の活躍を期待する事業所も半数を超えています。
46.2%が「コミュニケーション」を外国人雇用の課題に
外国人材の活用が進む一方、受け入れる企業側には課題もあります。外国人労働者を雇用する上での課題として最も多かったのは、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」の46.2%でした。前年の43.9%から2.3ポイント上昇しています。
「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」は24.8%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」は22.4%、「生活環境の整備にコストがかかる」は21.9%でした。外国人材を採用するだけで人手不足への対応が完了するわけではなく、採用後のコミュニケーションや各種手続き、生活面を含めた受け入れ体制も企業にとって重要なテーマになっていることが分かります。
外国人材を「採用する」だけでなく、働ける環境をどうつくるか
今回の調査では、外国人を雇用する事業所の68.2%が「労働力不足の解消・緩和」を雇用理由に挙げました。その一方で、46.2%が日本語能力などによるコミュニケーションの難しさを課題としています。外国人材の受け入れが広がれば、企業には言語の違いを前提とした社内コミュニケーションや教育、在留資格に関する労務管理など、新たな対応も求められます。
こうした課題への対応策の一つとして考えられるのが、デジタルの活用です。例えば翻訳ツールや生成AIによるコミュニケーション支援、教育コンテンツのデジタル化、人事・労務業務の効率化など、外国人材が働きやすい環境づくりをテクノロジーで支援できる領域はあります。外国人労働者が約204万人に増えた今、企業に問われているのは、単に「外国人を何人採用するか」だけではありません。人手不足が続く中、多様な人材が働き続け、能力を発揮できる組織や業務の仕組みをどう構築するのか。外国人雇用の拡大は、人材戦略と業務のあり方を改めて考えるきっかけになりそうです。
詳しくは「厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査」」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















