Microsoftは9月2日、AIエージェントを作成できる「Copilot Studio」の最新アップデートを発表しました。今回注目されるのが、プレビュー版として提供される「Memory」です。Memoryを有効にすると、AIエージェントは同じユーザーとの過去のやり取りから関連する情報を保持できます。たとえば、その人の好みやパターンなどを記憶し、その後の会話で活用できるようになります。毎回同じ前提や希望を説明し直すのではなく、過去のやり取りを踏まえて、より継続性のある応答ができるようになる仕組みです。
過去の「好みやパターン」をAIが覚える
これまでAIに仕事を頼む際には、「この形式でまとめて」「この条件を優先して」など、同じ情報を繰り返し伝える場面がありました。Memoryでは、過去の会話から関連する好みやパターンを保持できるため、こうした説明を繰り返す手間を減らせる可能性があります。Microsoftも、Memoryなどによってより豊富なコンテキストを利用することで、ユーザーが同じ情報を繰り返し提供する必要を減らせると説明しています。AIがその場の質問だけに答えるのではなく、過去のやり取りを踏まえて支援する方向へ進んでいます。
メールやTeamsも仕事の文脈にする「Work IQ」
さらにCopilot Studioでは、プレビュー版の「Work IQ」も紹介されています。Work IQを利用すると、GitHub Copilot harnessで動作するCopilot Studioのエージェントは、権限や設定の範囲内で、メール、カレンダーの予定、ファイル、Microsoft Teamsのメッセージ、人物情報などの組織内コンテキストに接続できます。こうした情報を利用することで、たとえばプロジェクトに関連するメールやTeamsのやり取り、ファイルなど、仕事の文脈を踏まえた回答に活用する使い方が考えられます。必要な情報を毎回手作業で探してAIに渡す手間を減らせる可能性があります。
「個人」と「組織」、2つの文脈をAIへ
今回のアップデートでは、MemoryとWork IQという異なる方向から、AIエージェントにより豊富な文脈を与える機能が紹介されました。Memoryは、ユーザーとの過去のやり取りから好みやパターンなどの関連情報を保持します。一方のWork IQは、メールや予定、ファイル、Teamsメッセージなど、組織の仕事に関わる情報をエージェントのコンテキストとして活用する仕組みです。AIエージェントが単に質問された内容だけを見るのではなく、ユーザーや組織に関する文脈を踏まえて支援する方向へ進んでいることが分かります。
すべてのCopilot利用者が使えるわけではない
注意したいのは、今回発表されたMemoryやWork IQが、一般向けMicrosoft CopilotやMicrosoft 365 Copilotのすべての利用者に一律で追加された機能ではないことです。今回の発表は、企業などがAIエージェントを構築する「Copilot Studio」に関するものです。さらにMemoryとWork IQはいずれも現時点ではプレビュー版です。そのため、「今日からすべてのCopilotが利用者の好みを自動で覚えるようになった」という意味ではありません。
AIは「毎回説明する相手」から変わる?
生成AIを仕事で使う際、毎回前提条件や自分の希望、必要な資料を伝えることは小さくない手間です。Memoryによって過去の好みやパターンを保持し、Work IQによって権限や設定の範囲内で組織の仕事に関する情報を利用できるようになれば、その手間を減らせる可能性があります。毎回ゼロから説明するAIから、自分や組織の文脈を踏まえて支援するAIへ。Copilot Studioの今回のアップデートは、企業のAIエージェントが「何を知っているか」だけでなく、「誰のために、どんな仕事の文脈で使われているのか」を踏まえる方向へ進んでいることを示しています。
詳しくは「Microsoft」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















