著名人の顔や声を使い、投資などへ誘導する「なりすまし詐欺広告」。SNSで広告を見る私たちだけでなく、広告を出稿する企業にも関係する対策強化が進んでいます。警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省の7府省庁は、SNSなどを運営する大規模プラットフォーム事業者に対し、なりすまし詐欺広告への対策強化を要請しました。対象はGoogle、LINEヤフー、Meta Platforms、TikTok Japan、Xの5社です。背景には、ディープフェイクなどを使って著名人の肖像や音声を無断利用した広告が流通し、SNS型投資詐欺などの入口として使われている実態があります。
広告主の「本人確認」を確実に
今回の要請で大きなポイントとなるのが、広告主の本人確認です。7府省庁は、広告主の特定や追跡を可能にして詐欺広告の流通を抑えるため、電子的な認証手段の活用を含め、広告主への本人確認を確実に実施するよう求めています。確実な本人確認手段の例として、個人ではマイナンバーカード、法人では商業登記電子証明書が挙げられています。各社には、本人確認をどのように実施するのか、その具体的な内容を2026年10月16日までにデジタル庁へ報告することも求めています。
「AIで作った広告」か確認できる仕組みも
2つ目が広告の透明性です。広告を見る利用者自身が信頼性を確認できるよう、広告主の名称や所在地、身元確認の有無といった情報を確認できる仕組みを求めています。さらに、広告であることに加え、「主に生成AI技術を用いて作成された広告」であることや、なぜその広告が表示されているのかといった情報を確認できるようにするなど、透明性を高める措置も要請しています。AIによって本物と見分けにくい画像や動画、音声を作れる時代だからこそ、「誰が広告を出しているのか」「AIで作られたものなのか」を利用者側から確認しやすくする方向です。
詐欺広告の削除対応も迅速化へ
3つ目が、問題のある広告への削除対応です。刑法や金融商品取引法などに違反するおそれがあるなりすまし詐欺広告について、インターネット・ホットラインセンターや法令を所管する省庁などから削除要請を受けた場合、遅滞なく判断し、迅速かつ適切に削除などの対応を行うよう求めています。各社は、削除した広告の件数や理由、削除要請への対応状況などについても報告することになります。
SNS広告は「誰でも簡単に出せる」から次の段階へ
警察庁によると、2026年1~7月のSNS型投資詐欺は6,566件、被害額は約881.2億円に達しています。今回の要請は法律による新たな義務化ではなく、プラットフォーム事業者に自主的な取り組みの強化を求める行政指導です。それでも、広告主の本人確認、広告の透明性、削除対応という3つの段階で対策が強化されれば、SNS広告を取り巻く環境にも変化が出てきます。企業にとっても、SNS広告は「出稿できればいい」だけではなく、広告主としての身元や広告の作り方について、これまで以上に透明性が求められる時代へ向かっているといえそうです。
詳しくは「警察庁」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















