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セミナー

想いを引き継ぐM&Aとは?売り手・買い手・社会が幸せになる「本当の売却戦略」

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DXマガジンは定例セミナーを開催しました。今回のテーマは「想いを引き継ぎ価値を広げるM&A~売り手・買い手・会社・社会すべてが幸せになるM&A~」です。企業の出口戦略や成長戦略として注目されるM&Aですが、その本質や成功のためのプロセスについては、十分に理解されていないケースも少なくありません。

M&Aは「単なる株式と金銭の交換」と捉えられがちですが、本当に価値のあるM&Aとはどのようなものなのでしょうか。また、売り手企業の経営者は、自社の価値を正しく評価してもらうために何をすべきなのでしょうか。

今回のセミナーではM&Aをテーマに、売主側特化のM&Aアドバイザリーサービスを展開するブルームキャピタル代表取締役の宮崎淳平氏をゲストに迎えました。M&Aの本質的な意義や、売り手が目指すべき目標、さらにM&Aプロセスを成功に導くための具体的な戦略について解説しました。

M&Aの本質とは?会社という「子供」を最適な相手に引き継ぐ

セミナー冒頭では、宮崎氏自身の経歴とM&Aに対する考え方の変遷が語られました。宮崎氏はライブドアやセプテーニ・ホールディングスでM&Aの実務を経験した後、2010年代初頭にブルームキャピタルを創業しました。

当時、業界では売り手と買い手の双方から手数料を受け取る「仲介」が主流でした。しかし宮崎氏はそこに違和感を抱き、日本では珍しい「売り手特化型」のFA(フィナンシャルアドバイザー)として事業を展開しています。

宮崎氏によれば、M&Aは「単なる株式と金銭の交換」ではなく、世の中の役に立つものでなければなりません。対象会社にとって本当に価値を生み出す買い手は、世の中に一社しかないと考えるべきであり、その「最適な相手」を見つけることが重要だといいます。

オーナー経営者にとって会社は「自分の子供」のような存在です。M&Aとは、その子供がしっかりと育つ環境へと引き継ぐ行為にほかならないのです。

写真:ブルームキャピタル代表取締役の宮崎淳平氏

売り手が目指すべき目標と「高く売る」ことの意義

では、売り手はM&Aにおいてどのような目標を掲げるべきなのでしょうか。宮崎氏は4つの重要なポイントを挙げましたが、特に重要なのが「会社の売却価値の最大化」と「条件の最適化」です。条件の最適化とは、オーナーのキーマンロック(売却後も社長を続けなければならない期間)期間の最適化、従業員の処遇維持及びインセンティブ設計並びに組織が円滑化する意思決定ルールの確保などを指します。

さらに注目すべきなのが「高く売る」ことの波及効果です。宮崎氏は、高い価格で会社を売却することは、一定の前提条件のもとで、買い手の「高い本気度」と「高いシナジーの期待値」を引き出すことにつながると強調します。例えば、中古のバッグを安く購入した場合と、定価で高く購入した場合では、その扱い方が変わることがあります。それと同じように、買い手も高い金額を投資した会社に対しては「絶対に失敗できない」という強い覚悟を持って経営に取り組みます。

また、高値での買収は、買い手自身が自社との間で大きなシナジーを生み出せると判断している証拠でもあります。その結果、会社の成長が促進され、従業員の幸福にもつながり、社会への価値提供が広がるという好循環が生まれるのです。

写真:株式会社デジタルシフトウェーブの鈴木康弘氏

良いM&Aを実現するためのプロセスと、売り手経営者の「勉強」

セミナー後半では、最適な買い手を見つけるための具体的なプロセスについても紹介されました。
1社のみと相対で交渉を進めてしまうと、最初の提示額に心が動き、本来最もシナジーを評価してくれる買い手(ベストな相手)にたどり着けない可能性があります。そのため、入札(オークション)形式を取り入れたり、銀行や証券会社のネットワークを活用したりして、選択肢を広げることが成功の鍵となります。

しかし宮崎氏が、こうしたテクニック以上に強く訴えたのが「経営者自身の知識づけ(勉強)」の重要性です。M&Aのプロセスには、契約書や条件面において売り手が不利益を被る可能性のある罠が数多く潜んでいます。「30年経営してきた人が、本来の“半分“の価格で会社を売ってしまったとしたら、それは人生の”半分“を捨ててしまうのと同じです。経営者は人生の起床時間のほぼすべてを社業に費やしているからです。」宮崎氏はこう語ります。システム開発や家づくりでも、知識がなければ失敗する可能性が高まるように、M&Aにおいても売り手の経営者自身がしっかりと学び、専門家任せにしない姿勢が求められます。

AI時代のM&Aと今後のトレンド

最後に、モデレーターの鈴木氏を交え、今後のM&A市場の動向やAIの活用について対談が行われました。東京証券取引所の上場基準が厳しくなり、時価総額100億円以上が求められる傾向にある中、IPOのハードルは高まりつつあります。その結果、企業の出口戦略としてM&Aを選択するケースは今後さらに増えていくと予想されます。

また、M&Aの実務におけるAI活用も進んでいます。宮崎氏は自身もAIエンジニアとしての知見を持ち、大量の取引データを読み込ませて解約率などを分析し、企業価値の源泉を特定する等「セルサイド・デューデリジェンス」にAIを活用している事例を紹介しました(宮崎氏注:本事例はどちらかというと機械学習的なアプローチとのこと)。

さらに、PMI(買収後の統合プロセス)においては、これらを円滑に進めるために必要な重要な専門知識分野が複数存在することから、AIに「買い手の責任者」「対象会社の社長」「従業員代表」などのペルソナを与えて壁打ちを行い、リスクやアイデアを洗い出す手法も有効だといいます。

一方で、契約の機微な調整や買い手の熱意を見極めるといった「人と人との接点」においては、依然として人間の役割が不可欠です。売り手と買い手の双方が高いリテラシーを持ち、最適なマッチングを実現することこそが、社会全体を豊かにするM&Aの未来である。そうしたメッセージとともに、セミナーは幕を閉じました。

関連リンク
株式会社ブルームキャピタル
https://bloomcapital.jp/

同社運営の企業価値向上サロン『Bloom Centurion Salon』
https://salon.bloomcapital.jp/

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