日本オムニチャネル協会が主催する「オムニチャネルDay」にて、「AIはキタムラの”何”を変えたのか?職人芸DXの真実」と題したセッションが行われました。本セッションでは、株式会社キタムラ 代表取締役社長執行役員の柳沢 啓氏と、株式会社ヤプリ マーケティング本部CMOの近藤 嘉恒氏が登壇し、キタムラにおけるAI活用の本質と、経営変革について語りました。
中古カメラ市場の拡大と「職人芸」の壁
スマートフォンの普及とSNSの発展により、誰もが日々写真に触れる時代となりました。これに伴い、「自分のスタイルに合ったカメラを試したい」という自己表現のニーズが高まり、中古カメラ市場は拡大を続けています。 しかし、キタムラにとって中古カメラの買取査定は大きな課題でした。カメラは歴史が長く3万アイテム以上が存在し、手触りや状態から価値を見極めるには高度な専門知識が求められます。当時、この査定業務を行える「職人」は全スタッフのわずか1%(約50人)に過ぎず、属人化による情報格差や、職人間での査定基準のばらつきが発生していました。
この「職人の暗黙知」を解決するため、AIによる査定システムが導入されました。店舗スタッフがタブレットで商品を撮影し、AIが数秒で査定結果を提示する仕組みです。 導入にあたり最大のハードルとなったのは、AIに学習させる教師データの収集でした。そこでキタムラでは、店舗スタッフに撮影を促し、AIの回答が合っているかを確認してもらうプロセスを取り入れました。最初はAIの精度に反発していた職人たちも、AIが学習して賢くなっていく過程を共にすることで、次第にAIを「部下」や「仲間」として受け入れていったといいます。

AIと人の役割分担がもたらした成果
結果として全店で買取査定が可能となり、買取量の増加と収益拡大に大きく貢献しました。この成功要因について両氏は「業務の分解」を挙げます。査定業務を細分化し、属人的な判断をAIに任せる一方で、「お客様との対話を楽しむ」といった人間にしかできない接客の価値を明確に切り分けたのです。AI導入は単なるツールでの業務効率化ではなく、経営のOSをアップデートする取り組みであることが示されました。
本記事では講演内容の一部のみを紹介しました。動画ではより多くの具体的な事例や背景が語られていますのでぜひ下記の動画で、講演の全体をご覧ください。






















