DXマガジンは2025年2月6日、定例セミナー「社長がすべき仕事とは~創業4年で上場した識学~」を開催しました。本記事では、このセミナーで語られた内容を、現在の経営環境も踏まえながら振り返ります。
識学の代表取締役社長・安藤広大氏が提示したのは、「社長の仕事はモチベーションを高めることではない」という主張です。人材の流動性が高まり、個人に依存したマネジメントの限界が指摘される今、組織を“仕組みで動かす”という考え方を改めて捉え直す必要があるのではないでしょうか。
モチベーション管理という前提への疑問
安藤氏は、組織における問題の本質は「認識のズレ」にあると指摘します。人はそれぞれ異なる経験や価値観を持っており、同じ言葉や指示であっても解釈が一致するとは限りません。例えば「お客様のために」という一見明確な言葉であっても、その意味する内容は人によって異なり、結果として行動のばらつきや無駄な議論を生み出します。こうしたズレが積み重なることで、組織全体のパフォーマンスは低下していきます。
この課題に対して識学が提示するのが、個々人の意識に働きかけるのではなく、認識のズレを前提とした「仕組み」によって組織を統制するという考え方です。全社員が共通のルールのもとで行動する状態をつくることで、組織としての再現性と安定した成果を生み出そうとするものです。
組織を動かすための「共通ルール」
セミナーでは、こうした考え方を実現するための具体的な要素についても言及されました。組織全体に適用されるルールを明確に定めること、組織図によって役割と評価者を明らかにすること、さらに評価基準を定量的に設計することなどがその中核をなします。これらは単なる管理手法ではなく、社員一人ひとりが自らの役割と責任を正しく認識し、組織の一員として行動するための土台となります。
特に評価制度においては、徹底した結果主義が採用されます。セミナーでは、成果を客観的な数値で判断する重要性が示されました。努力の過程や主観的な評価に依存するのではなく、あくまで結果によって評価することで、組織内の公平性を担保し、言い訳の余地を排除する環境が整えられます。
競争とルールが生む組織の強さ
また、安藤氏は組織内における競争のあり方にも言及しました。競争そのものが重要なのではなく、公正で明確なルールのもとで競争が行われることが不可欠であるといいます。ルールが曖昧なままでは評価への不信感が生まれ、組織は機能しなくなります。一方で、全員が同じ条件のもとで成果を競い合える環境が整えば、社員は自らの責任を自覚し、結果として組織全体のパフォーマンスが向上します。
社長の役割は「仕組みをつくること」
こうした前提に立つと、社長の役割も大きく変わります。安藤氏は、社長やトップリーダーは現場に直接介入するのではなく、組織が自律的に動くための仕組みを構築することに専念すべきであると強調します。現場に細かく指示を出すのではなく、仕組みによって組織全体を動かすことこそが、本来のリーダーシップであるという考え方です。
今の時代における意味
この識学のアプローチは、現在の経営環境とも重なります。人材の流動性が高まり、働き方が多様化する中で、特定の個人に依存したマネジメントは限界を迎えつつあります。その中で求められるのは、誰が担っても一定の成果を生み出せる仕組みです。識学が提示する考え方は、こうした時代における組織運営の一つの方向性を示しているといえるでしょう。
セミナーを通じて安藤氏が繰り返し強調していたのは、「正しい仕組みを整えれば、人は自然に成長し、結果が生まれる」という点でした。従来のように感情やモチベーションに依存するのではなく、合理的かつ客観的な仕組みによって組織を動かすことが、持続的な成長を実現する鍵になるという考え方です。
セミナーでは、識学の理論だけでなく、実際の組織運営にどのように落とし込んでいるのかについても具体的に語られています。より詳細な内容については、セミナーレポートもあわせてご覧ください。























