Appleが2025年度(2025年9月期)の年次報告書(Form 10-K)で過去最高の年間売上4,161億ドルを記録した勢いは、2026年度第1四半期(2025年10〜12月期)にも続いています。同四半期の総売上は前年同期比16%増の1,438億ドルと四半期ベースでも過去最高を更新し、純利益は421億ドル、希薄化後EPSは2.84ドルとなりました。
サービス部門が1,000億ドルを突破——成長エンジンの主役交代
2025年度の売上をカテゴリー別に見ると、最も注目すべきはサービス部門の躍進です。App Store、広告、クラウドサービス、Apple Music、Apple TV+などを含むサービス売上は前年比14%増の1,091億ドルとなり、初めて1,000億ドルを突破しました。粗利益率は75.4%と製品部門(36.8%)を大きく上回っており、利益構造の改善に大きく貢献しています。この高収益構造はQ1においても継続しており、サービス売上は300億ドル(前年同期比14%増)、粗利益率76.5%へとさらに改善しました。一方、iPhoneはProモデルの好調を背景に同23%増の853億ドルと年次を大きく上回るペースで成長しています。対照的にMacは7%減、ウェアラブル・ホーム・アクセサリーは2%減と苦戦しており、成長の集中が鮮明です。
Appleシリコンと研究開発投資が競争優位の源泉に
クック体制下における重要な戦略的決断のひとつが、自社設計シリコンへの移行です。独自チップの開発・製造を主導することで、電力効率と性能で業界をリードする製品を実現してきました。研究開発費は年次ベースで前年比10%増の345億ドルでしたが、Q1にはさらに加速し前年同期比32%増の109億ドルに拡大しています。Apple Intelligenceをはじめとする次世代機能への投資が本格化していることをうかがわせます。
地政学リスクと関税——中国市場は急回復も先行き不透明
年次決算で課題として挙げられた大中華圏(中国・香港・台湾)の売上は、Q1において前年同期比38%増の255億ドルと急反転しました。ただし関税リスクは引き続き顕在しており、製品粗利益率はタリフコストの影響を一部受けながらも40.7%を確保しています。2026年1月には米商務省による半導体関連のSection 232調査の初期結果が公表されましたが、現時点で追加関税は発動されていません。
法的リスクも経営課題として継続
EUのデジタル市場法(DMA)に関連してAppleは2025年4月に欧州委員会から5億ユーロの制裁金を科され、現在も複数の法的手続きが進行中です。Epic Games訴訟では2025年差止命令が第9巡回区控訴裁判所で一部支持・一部修正され、リンクアウト購入へのコミッション課金が認められる形で決着が近づいています。米国では独占禁止法に基づく司法省訴訟も継続しており、グローバルな規制対応が引き続き経営課題となっています。
「サービス高収益化×自社シリコンによる差別化」という成長戦略は、Q1の結果によって一層強固に裏付けられました。関税・規制という不確実性を抱えながらも、Appleはその二本柱を着実に太らせています。






















