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コラム

業務の課題を原因や優先度で分類、3つの方法で課題解決を模索せよ

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業務改善に取り組む上で不可欠な業務フロー図。業務の無駄を洗い出し、業務を平準化するのに有効な手法です。では、顕在化した業務の課題をどう整理すべきか。整理の方法を解説します。なお、本連載はプレジデント社「成功=ヒト×DX」の内容をもとに編集しております。

課題を整理する4つのプロセス

 前回は、業務フロー図を作成するポイントと、各業務の担当者へのヒアリングの進め方を紹介しました。では、業務の流れと課題が明確になったら、次に取り組むのが「課題の整理」です。 参考:前回の記事/業務フロー図を作成する際のポイントはこちら
業務の流れと課題を丸裸にする業務フロー図の描き方  ポイントは、類似する課題をグルーピングすることです。まずは大きな分類でグルーピングし、課題の原因を意識してさらに細かく分類します。  課題の整理・分類は、業務フロー図と全体を俯瞰し、根本となる原因を探りながら実施することが大切です。もし課題だけを見て整理・分類すると、原因の究明や解決も表面的なものになってしまいます。課題を慎重に精査し、表面上は見えない原因を探るようにします。

課題を優先度で整理する

 課題を整理・分類したら、「緊急度・優先度のマトリクス」に分類します。これは優先順位を付ける際のフレームワークです。横軸を緊急度、縦軸を重要度にし、2つの評価をもとに優先順位を付与します。
図1:緊急度・重要度のマトリクス

図1:緊急度・重要度のマトリクス

via 出典:プレジデント社「成功=ヒト×DX」
 このフレームワークでは、第1領域から第4領域までの4つに課題が分類されます。各領域は具体的にどんな課題が当てはまるのか。以降で詳しく解説します。 第1領域:緊急かつ重要
 もっとも優先順位が高い課題が対象になります。クライアントからクレームがあったときの対応は第1領域に該当します。  第1領域で大切なのは対応スピードです。対応が遅れると利益の損失に直結します。逆に言えば、大きな損失を招かない課題は、第1領域に含まれません。 第2領域:緊急ではないが重要
 2番目に優先順位が高い課題が対象になります。例えば、戦略を検討したり、インプットしたりする時間が第2領域に該当します。  緊急度を伴わない課題のため、多くの人は後回しにしがちです。しかし未来に向けた投資になるので、意識的に優先度を高めることが大切です。 第3領域:緊急だが重要ではない
 3番目に優先順位が高い課題が対象になります。例えば、クライアントが関わる報告業務などが第3領域に該当します。  クライアントが関わる以上、対応は必要ですが、必ずしも利益に直結しない課題が含まれます。効率よく解決する方法を模索するのが望ましいでしょう。 第4領域:緊急でも重要でもない
 もっとも優先順位が低い課題が対象になります。社内報告業務や情報共有など、自社内で完結する課題が第4領域に該当します。  クライアントに影響が及ばない課題のため、後回しにして構いません。むしろ、思い切って削減することも検討すべき課題と言えます。

課題を解決する3つの方法

 課題に優先順位を付与したら、次に課題の解決方法を探ります。課題の解決には、大きく3つの方法があります。 1.該当する業務を止める
 課題となっている業務を止められるかを検討します。  仕事をする限り、業務は延々と増えます。かつては必要だったが今は不要という業務は想像以上に多くあります。昔からの習慣で続けている業務なら、本当に必要なのかを検証すべきです。止めても困らなければ積極的に止めるようにしましょう。 2.アナログな手法で解決する
 アナログで解決する方法を検討します。  例えば、部署間の役割や上下間の権限などによって発生する課題は、部署間の役割を見直したり、権限移譲を進めたりすることで効率化が可能です。とりわけ人が絡む課題はアナログな手法で解決できることが多くあります。 3.システムの力を借りて解決する
 システムを活用して解決する方法を検討します。  ルールが明確だったりパターン化したりする業務をシステム化すると、生産性が劇的に向上します。該当する業務を積極的に探し、システム化することを検討すべきでしょう。  1から3の解決方法は、1から順番に取り組むようにします。課題を早期に解決できるようになるほか、投資対効果の高いDXを実現しやすくなります。

業務改革をプロセス化して組織に定着させる

 業務フロー図の作成から課題の整理、優先順位の付与、解決する方法の検討までの一連のプロセスを「業務改革プロセス」と言います。  このプロセスで気を付けるべきは、思った以上に属人的な部分が多いことです。意思決定やルーティンワークと言われる業務さえ、人の判断で進められていることが少なくありません。属人的であるがゆえ、デジタル化するのは困難です。  DXを実現するには「業務改革プロセス」を自社の中核に位置付けることが不可欠です。新たなアイデアや改善があれば、この業務改革プロセスを使うようにします。このプロセスを用いることで、誰もが正しい業務改革を継続的に進められるようになります。組織に定着、習慣化させ、多くの人を巻き込むことで業務改革は大きく前進するでしょう。
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本連載は、プレジデント社刊行の「成功=ヒト×DX」の内容をもとに、筆者が一部編集したものです。
プレジデント社「成功=ヒト×DX」
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。

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