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コラム

満足度は高いのに、なぜファンが増えないのか?“見えない原因”を可視化する

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顧客の満足度は高いのに、なぜロイヤルティが伸びないのか。その答えを可視化できるのが「ドライバーマッピング分析」です。本記事では、顧客の心を動かす要因を3つの視点から整理し、どこに注力すべきかを明確にする方法を解説します。【ファンをつくる「顧客ロイヤルティ」の科学 #8】

「ドライバーマッピング分析」による強みと課題の可視化

前回まで、「心理ロイヤルティ」を3階層6つの法則で可視化するフレームワークを解説してきました。しかし、可視化された情報はあくまでスタート地点であり、肝心なのはそれをどう読み解き、具体的な行動へとつなげるかです。その第一歩となるのが、「ドライバーマッピング分析」です。この分析は、各ロイヤルティドライバーの現状と潜在的な影響力を一目で把握できる散布図として表現されます。

ドライバーマッピング分析の横軸には、お客様がそのドライバーに対してどれくらい満足しているかを示す「ドライバー満足度」が配置されます。つまり、現状どれだけ高い満足が提供できているかを表します。一方、縦軸には、本分析の核となる指標である「ドライバー琴線感度」が置かれます。この「ドライバー琴線感度」とは、当該ドライバーで高い満足が得られた場合に、お客様の心にどれだけ強く響き、全体の心理ロイヤルティを引き上げる「強みのポテンシャル」があるかを示すスコアです。したがって、「ドライバー満足度」は、このポテンシャルがどれくらい発揮されたかの発揮度合いと解釈できます。

これは、従来の相関係数では捉えきれなかった、顧客が本当に心を動かされるポイントを捉えようとする新しい視点であり、従来の満足度調査では見えにくかった影響力を発見できる点に特徴があります。

さらに、マップ上の各ドライバーを示す円の大きさは、「ドライバー体験率」を表しています。これは、そのドライバーを体験したお客様の割合を示し、そのドライバーが全体に与える「量的インパクト」を可視化します。例えば、ユーザーコミュニティは満足度と琴線感度が高いものの、体験率は低く、量的インパクトは小さい、といった状況も把握できます。

この3つの要素を組み合わせることで、各ドライバーの「強み度合い」を多角的に把握できます。マップは通常、横軸と縦軸の平均値で線を引き、4つの象限に分類されます。

  • 右上の象限に位置するドライバーは、「差別化された強み」を持つと判断されます。ポテンシャルが高く、その発揮度合いも高く、体験率も高ければ「最強のドライバー」と言えます。
  • 右下の右半分の象限のドライバーは、ポテンシャル自体は比較的高くはないものの、それが十分に発揮されており、お客様の満足度が高いことで「強み」となっていると解釈できます。
  • 左上の上半分の象限のドライバーは、ポテンシャルは高いものの、満足度が低く、十分にポテンシャルが発揮されていない「潜在的強み」を持つと判断され、「能ある鷹は爪を隠す」状態に例えられます。
  • 左下の象限のドライバーは、満足度もポテンシャルも低い「注意観察」の領域であり、現時点での優先度は低い場合があります。

この分析から、各ドライバーに対する施策の方向性が見えてきます。

  1. ポテンシャルの発揮度合いを高める 
    「ドライバー満足度」を向上させ、ドライバーを右にシフトさせる施策です。ポジティブ体験を増やし、ネガティブ体験を減らすことが重要です。 
  1. 強みポテンシャル度合いを高める 
    「ドライバー琴線感度」を向上させ、ドライバーを上にシフトさせる施策です。お客様の心に響く「感動体験」を増やすことが鍵となります。 
  1. 体験頻度を高める 
    「ドライバー体験率」を向上させ、円の大きさを大きくする施策です。ドライバーの存在認知度を高め、体験のメリットを訴求することが有効です。 
図:ドライバーマッピング分析

「どのドライバーに注力すべきか」という問いに対しては、このマップが強力な羅針盤となり、差別化の視点、潜在的な影響力、現在の影響度、施策の実現可能性などを総合的に考慮した上で、議論を通じて意思決定します。

筆者プロフィール

渡部 弘毅
ISラボ 代表

日本ユニシス(現 BIPROGY)、日本IBM、日本テレネットを経て、2012年にISラボ設立。一貫してCRM分野の営業、商品企画、事業企画、戦略・業務改革コンサルティングに携わる。現在は心理ロイヤルティマネジメントのコンサルティングを中心に活動。お客様の心理ロイヤルティアセスメントに関する独自の方法論を提唱し、ファンづくりの科学的かつ実践的なコンサルティング手法を展開する。業界団体や学術団体での研究活動、啓蒙活動にも積極的に取り組む。

■ 前回のコラム記事はこちら

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