富士通株式会社は、非財務情報の分析と開示をAIで支援するサービス「Fujitsu Sustainability Disclosure Navigator」を2026年5月29日に提供開始しました。金融機関と企業の意思決定高度化を掲げる「Uvance for Finance」のオファリングSustainable Financeの一環として位置付けられます。本サービスは、富士通株式会社が自社の非財務情報開示で培ったナレッジとAIを活用し、ESG評価機関の評価項目を踏まえた開示内容の整理や管理を支援します。さらに、国内上場企業1,000社以上の公開情報を用いたベンチマークを行い、株式市場を意識した戦略的な非財務情報開示を可能にします。ESG指数への採用を見据えた開示を後押しする点が特徴です。企業の持続的な価値向上と国内株式市場の活性化に貢献することが意図されています。
背景と課題認識
東京証券取引所が2023年に示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を受け、企業価値向上に直結する情報開示の重要性は増しています。多くの企業が非財務情報の拡充に取り組む一方で、開示要請は複雑化し、自社に求められる項目整理が難しい状況が生じています。競合と比較した自社の開示水準や位置づけの客観的把握が困難で、効果的なベンチマークが進まない点も課題です。その結果、評価に結びつく開示に至るまでに時間と労力がかかり、社内の情報管理体制が未整備なまま属人化に陥りやすい問題が見られます。富士通株式会社はこうした現状に対し、AIと自社の知見を組み合わせ、開示業務の効率化と高度化を両立する枠組みを提示しました。非財務情報の整理と意思決定支援を同時に進めることで、開示の質とスピードの両面を改善する狙いです。
サービス概要とAI活用のポイント
本サービスは、AIが自社および競合他社の非財務情報開示の有無や状況を、複数のESG評価機関の評価項目に基づいて客観的に分析します。これにより、将来のESG評価を見据えた分析や評価向上に向けた示唆が提供され、戦略的な開示を後押しします。学習と参照の基盤には、富士通株式会社が長年の実践で蓄積した非財務情報開示の知見と、国内上場企業1,000社以上の公開非財務情報が用いられます。サービス提供後もアジャイル開発で機能を順次改善し、非財務情報開示を総合的に支援する方針です。ESG評価機関連携を意識した設計により、評価項目の最新動向への追随が容易になります。AIの分析結果を基に、開示の抜け漏れ低減や整合性確保のための運用に展開できる点が特徴です。
特長1 開示項目への対応状況を可視化し一元管理を実現
ESG評価機関が重視する最新の評価項目に対して、自社の開示内容がどこまで対応しているかを整理し、可視化します。統合報告書や有価証券報告書など、複数媒体にまたがる非財務情報を一元的に管理することで、媒体更新時の抜け漏れや不整合を防止します。これにより、調査と確認に要する時間の大幅な削減が期待できます。媒体横断の整合性確保は、評価機関の参照性を高め、評価に資する開示の精度向上に寄与します。可視化されたギャップは改善計画に直結し、優先度付けされた対応が可能となります。結果として、開示プロセス全体の透明性が高まり、運用の属人化リスクを抑制します。
特長2 ベンチマークにより立ち位置と差別化を明確化
国内上場企業1,000社以上の非財務情報をAIで整理し、ESG評価機関の評価に関連する開示箇所を効率的に参照できます。これにより、競合比較の観点から自社の開示水準や差別化ポイントを把握し、戦略的な開示検討が進められます。相対比較の結果は、重点テーマや改善余地の特定に活用でき、資源配分の合理化にもつながります。開示の位置づけを客観的に示すことで、経営層への説明材料としての有用性が高まります。さらに、ESG指数採用を視野に入れた情報の磨き込みが体系的に行えます。市場が求める開示の方向性を、データドリブンで捉えることが可能です。
特長3 専門家知見との連携による支援体制
非財務情報の開示は、評価機関の視点や複数基準を踏まえた判断が求められ、自社のみでの判断が難しい場合があります。本サービスでは、合同会社デロイト トーマツの専門家による知見提供に基づくESG情報開示のアドバイザリーサービスの提供を予定しています。テクノロジーと専門家知見の融合により、高度な企業価値創造の支援体制を構築します。さらに、今後は開示文章案の生成を含むAI機能の拡充が予定されています。運用面の負荷軽減とともに、表現の一貫性や正確性の向上が期待できます。評価項目の更新にも迅速に追随できる体制づくりが進みます。
今後の展望と「Uvance for Finance」の位置づけ
富士通株式会社は本サービスを、非財務情報開示の効率化にとどめず、企業価値向上に直結する意思決定支援へと進化させる方針です。具体的には、ROICやPBRなどの財務指標と非財務活動の関係や因果を分析する機能の拡張が挙げられています。投資家との対話を支援する機能も視野に入れ、企業価値と資産価値の同時向上を目指します。あわせて、AIを活用した開示業務全体の支援機能を強化し、ESG評価機関をはじめとする多様なパートナー企業との共創でエコシステムを拡大します。これらを「Uvance for Finance」のオファリングを通じて展開し、企業の価値向上に資することで日本経済の活性化に貢献する姿勢です。データとAIによる非財務情報開示と企業評価の高度化を実現し、社会と経済の持続可能性を前進させる取り組みが示されています。
詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















