株式会社SmartHRは、人と組織のためのバックオフィスシステム「SmartHR」のARRが300億円に到達したと公表しました。従業員ポータル領域の拡大が成長を牽引し、2025年6月から2026年5月におけるフリー・キャッシュフローは17.5%となりました。提供開始から短期間で利用が広がったAIアシスタントが、問い合わせ対応の自動化などで利用企業を増やし、ARRの押し上げに寄与しています。2015年の提供開始以降、労務とタレントマネジメントを結合させた拡張が続き、2023年2月にARR100億円、2025年4月にARR200億円を経て、2026年7月に300億円へ到達しました。今後は売上1,000億円の達成を目標に、M&Aや戦略投資の活用を加速し、SaaSに加えてITコンサルやBPOの強化にも取り組むとしています。
ARR300億円までの軌跡と資本配分の方針
SmartHRは、労務のペーパーレス化や業務効率化を支える機能を起点に、人的資本経営を推進するタレントマネジメント機能まで対象を拡大してきました。2023年2月にARR100億円へ、2025年4月にARR200億円へと増加し、継続的なプロダクト拡大の取り組みを背景に、2026年7月に300億円へ到達しています。バックオフィス全体を支えるサービスとしての浸透が進み、新機能の投入が成果につながった形です。資本配分では、2030年の売上1,000億円を見据えてM&Aと戦略投資の活用を強め、フリー・キャッシュフローが17.5%となったことを示しています。SaaS事業の深堀りに加えてITコンサル領域への参入やBPO事業の強化にも取り組み、事業ポートフォリオの拡大を進めています。こうした方針は、サービスの提供価値向上と中長期の収益基盤の強化を同時に進めるものです。
従業員ポータル領域の拡大とAIアシスタントの利用伸長
2025年7月に提供を開始したAIアシスタントを含む従業員ポータル領域は、提供から短期間でシェアを拡大しました。2026年7月時点でARR10億円を突破し、株式会社SmartHRにおける新たな事業の柱に位置付けられています。本領域は、お知らせ機能、メッセージ、汎用申請、200万インストールを超えるスマホアプリなどで構成され、従業員と人事・労務担当者、バックオフィス間のコミュニケーションを支援します。特にAIアシスタントは、提供開始から1年で導入企業数が900社を超え、問い合わせの自動回答が累計15万回に達しました。従業員の疑問に24時間対応し、就業規則や社内規定に基づく回答を提示することで、現場の対応負荷を軽減しています。これらの機能群の導入は、社内手続きを一元化し、運用の標準化と可視化を進める基盤となっています。
人事データとAIを掛け合わせた新プロダクト戦略
株式会社SmartHRは、労働人口の減少や価値観の多様化など構造変化が進む環境を踏まえ、人事データとAIを組み合わせる戦略を打ち出しています。入社手続きから勤怠、評価までの実務をシステム上で行うことで、最新の人と組織のデータが自然に蓄積されます。蓄積データを活用し、AIによる意思決定の支援や業務の自動化を図る取り組みが段階的に進んでいます。背景として、転職等希望者が過去最多となる状況があり、経験や勘に依存しないデータに基づく人材戦略や組織戦略の重要性が高まっています。この方針のもとで、定常業務の効率化、意思決定の高度化、マネジメント支援の3領域にフォーカスした機能が示されています。業務現場から経営までを一気通貫で支える枠組みを整え、組織づくりの新しい標準を目指しています。
名もなき業務を減らすAIエージェントの方向性
人事・労務担当者は、従業員問い合わせ対応や各部署との連携、データ出力など、日々の名もなき業務への対応が求められています。株式会社SmartHRは、こうした業務を従業員側とバックオフィス側の双方から支援するAIエージェントの開発を進めています。従業員向けAIエージェントは、就業規則や社内規定の読み込みに基づき、業務やタスクに関する疑問に24時間自動で回答します。バックオフィス向けAIエージェントは、SmartHR上の各種設定や運用を支援し、担当者がその場で行いたい操作を代替実行したり、一部の定常業務を自動化します。これにより、案内や手続きの標準化が進み、問い合わせの件数や処理時間の削減が期待されます。AIアシスタントの導入実績と利用回数の増加は、これらの方向性の有効性を示すデータとなっています。
データドリブンな意思決定を支える他社比較データ機能
他社比較データ機能は、SmartHRに登録された組織データのうち活用に許諾のあるものを対象に、個人や個社が特定されないよう統計化し、横断比較を可能にする仕組みを展開します。業種や規模に応じた平均年収、年齢構成、部署別比率といった業界水準を把握し、自社の位置付けを客観的に確認することができます。これにより、手間やコストをかけずに、報酬設計や採用計画、組織構成の検討に必要な基礎指標を参照できます。データの匿名化と集計プロセスにはLLMをはじめとしたAIが活用され、統計処理の効率化が図られています。組織の現状を定量的に把握し、方針や施策の検討時に社内外の差分を明確にする土台となります。環境変化の大きい分野において、比較可能な共通指標の提供は実務面での意思決定を加速します。
AI HRBPが示す人材探索とマネジメント支援の展望
AI HRBPは、事業再編や社内人材の育成と登用といった課題に向け、SmartHRに登録された人事データをもとに人材探索を支援します。スキルや経験、素質を掛け合わせた複数条件に合致する人材を横断的に参照し、該当者を見つけるプロセスを効率化します。育成や評価に関わる相談に答えるエージェントとして、管理職のマネジメント業務を支えることを目的に設計されています。データの一元管理とAIの活用により、属人的な判断に依存しない検討が進めやすくなります。これにより、配置シミュレーションや評価の一貫性の確保といった場面で活用余地が広がります。プロダクト群の連携により、採用から定着、評価までの一連のサイクルでの応用が期待されます。
会社情報とSmartHRの提供価値
SmartHRは、労務管理クラウドで7年連続シェアNo.1であり、雇用契約や入社手続き、勤怠や給与計算などの労務をペーパーレス化します。さらに、蓄積データを活用したタレントマネジメントにより、最適な配置や育成を推進し、人的資本経営を支援します。アプリストアサービスのSmartHR Plusにより、個社ごとのカスタマイズ性と安全性の高いデータ連携を実現しています。サービスビジョンとして、worker-friendly 働くみんなが使いやすいを掲げ、生産性の向上と多様な働き方の実現に寄与します。株式会社SmartHRは2013年1月23日に設立され、2015年11月にSmartHRの提供を開始しました。外部システムとの豊富な連携や採用から登録までを一元化する機能も備え、企業のバックオフィス全体を支える基盤の拡大を進めています。
詳しくは「株式会社SmartHR」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















