企業のデジタル化が進むなか、個人情報をどれだけ保有すべきかが新たな経営課題となっています。パーク24グループのタイムズモビリティが運営するカーシェアリングサービス「タイムズカー」は、2026年10月16日、運転免許証などの本人確認書類の画像を、会員登録の確認完了後に即時削除する方針を発表しました。背景には、約660万アカウントの個人情報が漏えいした不正アクセス事件があります。今回の対応は、企業のデータ管理を「長期間保管する」考え方から見直す動きとして注目されます。
約160万件の本人確認書類が漏えい。問われるデータ保有の必要性
タイムズカーでは2026年9月、Webシステムへの不正アクセスによる個人情報の漏えいが発覚しました。漏えいした情報は約660万アカウント分に上ります。このうち約160万アカウント分には、運転免許証などの本人確認書類の画像が含まれていました。対象には現役会員だけでなく、退会済みの利用者なども含まれています。氏名や住所、電話番号、メールアドレスなど、幅広い情報が漏えいの対象となりました。同社は影響を受けた会員への案内を進めています。
従来、タイムズカーは本人確認書類の画像を会員期間中に加え、退会後も7年間保管していました。不正利用が疑われる場合の調査や問い合わせ対応などに活用するためです。しかし、今回の事件を受けて管理方針を変更しました。今後は会員登録の確認が完了した時点で画像を削除します。すでに保有している画像についても、利用者からの申請を必要とせず、2026年10月末までに削除する予定です。情報を長く保管する利便性よりも、保有することで生じるリスクを重視した判断といえます。
今回の事例は、DXを推進する企業にとって重要な課題を示しています。顧客データはサービス改善や業務効率化を支える資産です。一方で、保有する情報が増えるほど、漏えい時の影響範囲も広がる可能性があります。重要なのは、情報を集める目的だけでなく、保存期間や削除するタイミングまで設計することです。本人確認の完了後も画像を保有し続ける必要があるのか。こうした業務上の前提を見直すことも、デジタル時代の企業変革につながります。
DXの本質は、データを大量に蓄積することではなく、必要な情報を安全かつ適切に活用する仕組みをつくることにあります。
今回のタイムズカーの対応は、企業がデータの利便性とリスクを見極め、情報管理のあり方を再設計する重要性を示しています。
詳しくは「パーク24株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部





















