日本の魅力的な資産を、海外の投資家へメッセージを送るようにスムーズに届けることはできるのか。これまで国内の閉じられたインフラ内に留まりがちだった「デジタル証券(セキュリティトークン)」の市場に、大きな風穴が開こうとしています。国内金融の巨人たちがタッグを組み、世界標準のテクノロジーを掛け合わせた最先端の実験。国際流通の常識を覆す、その驚きの成果を明かします。
国内の安定性とグローバル接続を両立させる「ミラー連携」の画期的な仕組み
株式会社SBI証券、大和証券株式会社、SBI Digital Markets(SBI DM)、Penguin Securities、株式会社BOOSTRYの5社は、2026年7月8日、国内で発行・管理されるセキュリティトークン(ST)の将来的なクロスボーダー(国境を越えた)流通を見据えた実証プロジェクトの成果を公表しました。現在、国内のST市場は着実に拡大しているものの、その流通や販売は基本的に国内インフラや制度の枠内にとどまっており、海外投資家へのアクセスや決済の効率化が大きな課題となっています。今回のプロジェクトでは、日本の多様なアセットをグローバル市場へ届けるため、海外証券会社との業者間取引に限定してパブリックブロックチェーンを活用する、これまでにない検証が行われました。
本実証実験では、国内投資家向けの権利管理は従来どおり、BOOSTRYが主導するコンソーシアム型(関係者限定型)基盤「ibet for Fin」上で行います。そのうえで、海外の証券会社と取引を行うときのみ、対象のSTをパブリックブロックチェーンである「Ethereum(イーサリアム)」上へミラー連携させ、ステーブルコインである「USDC」を用いたDvP決済(証券の引渡しと代金支払いの同時履行)を可能にする構成を採用しました。これにより、日本国内における法的権利の安定性をがっちりと守りながら、パブリックブロックチェーンが持つ高い相互運用性とグローバルな接続性を同時に活かせる仕組みを証明しました。
また、金融機関がパブリックブロックチェーンを扱ううえでの実務的な論点(ネットワーク手数料であるガス代の管理、秘密鍵の管理体制、BCP・コンティンジェンシープラン、日本とシンガポールの金融機関の役割分担、法令・税務上の課題など)も網羅的に整理されました。関係当局や自主規制機関との議論も重ねられ、自主規制機関からは現時点で本プロジェクトに関して「パブリックブロックチェーンの活用に追加の確認事項はない」との連絡を受領しており、実務化へ向けて大きく前進しています。今後は、社債型STの制度課題や不動産STなど他アセットへの展開可能性、ステーブルコイン決済の高度化について検討を継続する方針です。なお、2026年8月4日には本実証の成果を解説するWeb説明会も開催される予定です。
見解として、国内のプライベートな基盤で権利の安全性を担保しつつ、取引時のみイーサリアムやUSDCという世界標準のパブリックインフラへと切り替える「ハイブリッド型」のアプローチは、日本の金融市場を世界へ開く極めて現実的かつ強力な金融DXです。 ガス代や秘密鍵管理といった実務・法務の厚い壁をクリアし、自主規制機関からの事実上のゴーサインを得たことは、次世代のグローバル資本市場の構築に向けた非常に大きな一歩となるでしょう。
詳しくは「株式会社BOOSTRY」をはじめとする各参画企業の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部 戸田






















