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AIが”飲みやすいサプリ”を設計!? 開発期間も短縮する新技術とは

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キリンホールディングス株式会社と株式会社ファンケルは、サプリメントの錠剤設計を支援する「錠剤設計AI」を共同開発しました。サプリ開発で蓄積してきた製剤データを活用し、錠剤の大きさや硬さ、飲みやすさ、溶けやすさといった複数要素を同時に検討できる仕組みです。従来は熟練研究者の経験や勘に加え多数の試作が必要でしたが、データ駆動で最適な処方条件を探索できるようになり、飲みやすく高品質な製剤の開発期間短縮が見込まれます。本成果は2026年4月に国際学術誌Pharmaceuticsに掲載され、新規性と有効性が学術的にも評価されています。研究の狙いは、相反しがちな物性を同時に満たす処方を効率よく導くことにあります。サプリの価値向上と開発プロセスの効率化の両面でインパクトが示されました。

研究の背景と目的 相反する物性を同時に満たす処方探索の高度化

錠剤設計では、飲み込みやすさ、輸送に耐える硬さ、体内での溶けやすさなど、複数の物性要件を同時に満たす必要があります。これらは互いに影響し合い、ある特性を高めると別の特性が損なわれるといったトレードオフが生じやすい領域です。最適条件に到達するには膨大な組み合わせの試作と評価が求められ、時間とコストの負担が大きい課題がありました。共同研究では、各物性を迅速に満たす処方条件の抽出と、無駄の少ない最適解を導出することを目的に据えました。データ化が難しかった経験知を形式知として取り込み、探索空間の大規模化に耐えるアルゴリズムで意思決定を支援する方針です。製剤設計における不確実性を低減し、計画的に高品質な設計に近づけることが狙いとされています。結果として、開発サイクル全体の短縮と品質の安定化が期待されます。

研究方法と結果 製剤データを学習し多目的最適化を実現

開発したAIは、過去の研究や製造の実データを学習し、錠剤の飲み込みやすさ、輸送時の割れにくさに関わる硬さ、体内での溶けやすさといった複数指標を予測します。人手では検討が難しい数千から数万通りの処方条件を高速かつ高精度に比較検討できる点が特徴です。これにより、より早く溶ける、より小さく飲みやすいといった品質向上に資する最適解の算出が可能となりました。担当者に依存しない一貫した設計品質が実現され、製品品質の安定化にもつながります。開発期間の短縮に加え、試作回数の削減による原料ロスの低減も見込まれます。研究成果はPharmaceuticsに“Application of AI in Tablet Development An Integrated Machine Learning Framework for Pre-Formulation Property Prediction”として掲載され、次世代製剤設計技術として評価を受けました。学術的裏付けにより、実務での適用可能性が示されています。共同開発の枠組みが、探索効率と現場実装の両立を後押しした格好です。

開発体制とコメント 現場知と物理情報を統合し実戦力を確保

キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所は、社内の研究発表会での出会いを契機に始まった共同研究で、AIモデル構築とアプリケーション開発を担当しました。錠剤設計の知見やノウハウを、ファンケルの研究員との対話を通じて形式知化し、原料の物性値や製造条件などの物理情報をAIに統合しています。これにより、概念実証に留まらず研究開発現場で使える実戦的なAIの構築を実現したとしています。今後は対象領域を広げ、さらなる価値創出に貢献する姿勢が示されました。株式会社ファンケル 総合研究所 機能性食品研究所 所長の足立知基氏は、より良い組み合わせ探索の難しさや、開発停滞時の判断の迷いといった現場課題を挙げ、錠剤設計AIが解決策になると述べています。AIと人が共に考えることで、開発にやり切ったと自信をもって臨めるとし、予測項目の拡張を通じて価値ある設計を追求していく考えを示しました。現場の意思決定を客観的な予測で支援する体制が整えられています。

今後の展望 グループ横断の独自データを梃子に研究開発を変革

キリンホールディングス株式会社は、グループ各社の専門性と独自データを競争力の源泉と捉え、AIなどの先端技術と掛け合わせて研究開発の変革と新たな顧客価値の創出を目指しています。今回の取り組みは、錠剤設計における経験知をデータとして活用し、人とAIの共創で製品開発の精度とスピードを高めるものです。飲みやすさや品質向上といった体感価値につなげることを重視しており、素材、処方、製造、品質評価といった独自データの利活用を一層推進する方針です。KIRIN Digital Vision 2035で掲げる生産性向上と価値創造の両軸を推し進め、食から医にわたる領域で新たな顧客価値と社会価値の創出を目指すとしています。共同開発で得られた多目的最適化の枠組みは、他の製剤やプロダクト領域にも展開可能性があります。学術誌での評価を踏まえ、実務でのスケール展開に向けた取り組みが期待されます。継続的な機能拡張と予測項目の追加により、設計自由度と品質保証の両立がさらに進む見込みです。

詳しくは「キリンホールディングス株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

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