「障がいを理由に出会いや交友関係を諦めてほしくない」——そんな想いから生まれたマッチングアプリに、大きな進化の時が訪れました。障がい者向け友活・恋活アプリ「IRODORI」が、全画面での音声読み上げ機能への完全対応を発表。法改正に伴い企業への義務化が進む「ウェブアクセシビリティ」の波を捉え、当事者目線で徹底的に磨き上げられたユニバーサルデザインの舞台裏に迫ります。
改正障害者差別解消法の追い風を受け、全画面での「VoiceOver」完全対応へ
株式会社Cometは、同社が運営する障がい者向け友活・恋活・婚活マッチングアプリ「IRODORI(イロドリ)」において、iOS端末の標準画面読み上げ機能「VoiceOver」への完全対応を2026年6月18日に実施したと発表しました。
2024年(令和6年)4月1日に施行された「改正障害者差別解消法」により、現在、民間事業者に対しても障がいの有無を問わずサービスを利用できる環境を整える「ウェブアクセシビリティ」の合理的配慮が義務化され、強い対応が求められています。イロドリではこれまで一部機能での試験的な対応にとどまっていましたが、視覚に障がいを持つ当事者ユーザーからの熱い要望に応える形で、今回の全画面アップデートへと踏み切りました。これにより、画面を目で確認することが難しいユーザーでも、スマートフォンから流れる音声だけを頼りに、アプリ内のすべての機能を直感的に操作し、快適にパートナーや友人を探すことが可能となりました。
全盲ユーザーとの共同テスト。単なる「テキスト読み上げ」を超えたUIの追求
今回の完全対応において特筆すべきは、開発チームが全盲のユーザーを招き、実際の利用環境に即したリアルな「ユーザビリティテスト」を共同で実施した点にあります。
今回の対応にあたっては、全盲のユーザーを招いたユーザビリティテストを実施。実際の利用環境に近い形で、当事者のフィードバックをもとに以下のような細部まで一つひとつ検証・改善が重ねられました。
- 読み上げの順番: 音声ナビゲーションが混乱しないよう、画面内の視線移動に合わせた最適なシーケンスを再設計。
- 読み上げ対象の選定: 操作に必要なボタンや重要なステータスが音声から漏れないよう網羅。
- 伝える内容の具体化: 「ボタン」という単なる記号ではなく、画面の状態や操作内容を音声だけで正確に把握できる表現へとブラッシュアップ。
2023年のサービス開始以来、「最初から障がいをオープンにして想いを共有できる安心な場所」として支持されてきたイロドリは、2026年に入り15万ダウンロードを突破、累計マッチング数は3万5千組を超え、実際に結婚にいたるカップルも誕生しています。今回の全面的なアクセシビリティ向上は、当事者たちの「出会いの選択肢」を広げるだけでなく、日本のマッチングアプリ市場におけるユニバーサルデザインの新たなスタンダードを示したと言えます。
見解として、出会い系・マッチングアプリにおいて、ビジュアル重視のUI(ユーザーインターフェース)は主流ですが、それが視覚障がい者にとっての巨大な「デジタル障壁」になっていた現実は否めません。 Cometが単なる法令クリアの義務感に留まらず、全盲ユーザーとの協働によって、音声だけで完結する直感的な操作性を構築したことは、誰もが排除されない社会(インクルーシブ経済)をテックの力で具現化する、極めて意義深いDXの好例です。
詳しくは「株式会社Comet」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部 戸田






















